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人工林に残された古の巨木

秋も深まってきた今日この頃、固定標準地調査を進めています。固定標準地調査ではプロット内の樹木の直径と樹高を測定し、森の蓄積などを算出します。

トドマツ人工林の調査中、林内に残された風格のある古い株に出会いました。すっかり中は朽ちて(一部焼け焦げて)なくなっていましたが、胸高直径1mを超えるミズナラであったと思われます。ここが造林地になる前、演習林になる前、さらには軍馬補充部になる遥か前からこの地を見守ってきたかと思うと畏敬の念を覚えます。

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紫金山・アトラス彗星

10月16日17時39分、紫金山・アトラス彗星が標茶区からも観測できました。

肉眼では何となくぼんやり尾が見える程度でしたが、コンパクトデジタルカメラの15秒露光でもはっきり尾まで写りました。左下の明るい光は金星です。家族にも指さして伝えようとするもなかなか伝わらずもどかしかったのですが、最終的には見つけてくれて安堵しました。

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令和6年度北海道東北地区大学演習林等技術職員研修

10月8日から10日にかけて全国にある大学演習林の技術職員を対象とした研修を標茶区と知床で開催しました。研修には北海道大学から3名、東京大学から2名、東京農業大学から1名が参加し、野生動物と人とのかかわりについて最前線で活動している方から話を聞くなどして知見を広げました。

知床では開拓跡地の森林再生やヒグマの管理に携わる知床財団の職員の方と、自然ガイドを行っている方から、世界有数の密度で生息していると言われるヒグマとの付き合い方、エゾシカ個体数の管理や防除の方法、自然の変化などについて解説を受けました。

標茶区では北海道研究林の概要紹介の後、植栽地や試験地などを現地視察し、各大学との違いや改善点など活発に意見交換しました。

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フィールド 実習

北海道教育大学 山岳生態学実習

9月26日から27日の2日間、北海道教育大学の山岳生態学実習が行われ学生5名が参加しました。

26日から27日の午前にかけて同一支流の3か所で魚類調査を行いました。上流側では水量が少なく網を入れれば容易に採取できていましたが、水量が多く川縁の形も複雑になる中流域以降では網の入れ方や追い込み方を工夫しながら調査を行っていました。

27日の午後からは室内で調査によって得られたデータを解析する手法や解析結果をどのような基準で評価するのかなどの講義を受け、実際のデータを用いて作業を行いました。
講義でも意識するよう強調されていましたが、実習での経験が今後自身でされる研究調査計画の一助になれば幸いです。

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フィールド 実習

北海道大学 生物学実習

9月19日から20日の2日間、北海道大学の生物学実習が行われ学生22名が参加しました。

実習では草本・きのこの観察を行いました。19日来研後すぐ林内に入り、針葉樹 (トドマツ) 人工林を中心に標本作製に適したサンプル選定や採取方法、同定作業の助けとなる採取場所の情報を確認しながらサンプル採取を日が傾くまで行いました。

林内から戻ってから顕微鏡での観察や複数の図鑑から得られた情報で同定作業を、標本を作製する際の注意点を確認しながら標本作製作業をきのこ・草本それぞれで並行して行いました。多くのサンプルを採取したため19日だけでは作業が終わらず、20日の予定を変更して同定・標本作製作業を続けました。

受講生は最初こそ目立つものを恐る恐る採取していましたが、ササ藪の隙間から小さなきのこを見つけ出したり、香りであの草本があるはずと逆算したりと堂に入った作業をするようになっていったことが印象的でした。

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フィールド 実習

酪農学園大学 水圏・地圏総合実習2024

9月9日から12日にかけて、酪農学園大学の水圏・地圏総合実習が行われ、学生20名が参加しました。
10日にアカエゾマツ林で樹幹解析用の試料採取を行ったのち、その周辺で樹木識別を実施しました。
樹幹解析は幹の決まった高さで切り取った円盤を解析するのですが、伐倒は技術職員が行い、その後の手鋸による枝払いやバッテリーチェーンソーによる玉切りと円盤作成は技術職員の指導の下、学生が行いました。

11日は毎木調査、土壌調査、クリーンラーチ植栽を実施しました。
毎木調査はポケットコンパスを使用して、方形プロットを作成するところから行いました。
クリーンラーチ植栽は、傾斜のある場所での作業となり、蒸し暑い中、へとへとになりながらがんばりました。

 

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フィールド 業務

渓流水の採取

北海道研究林では研究補助として定期的に渓流水の採取を行っています。

渓流水中に含まれる成分を測定することで窒素など生態系内の物質循環を調べたり、生物由来のDNAをもとにどんな生物がいるか知ることができます。

気候変動や植生の変化も水質に影響を及ぼしうるものですが、それを把握するには長期にわたるモニタリングが必須です。20年以上継続している調査もあり、今後の研究活用が楽しみです。

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フィールド 実習

京都大学公開森林実習Ⅱ(夏の北海道東部の人と自然の関わり)・ILASセミナー(北海道の昆虫相)2024

8月6日から10日までの5日間、北海道研究林標茶区を主会場に全国の大学生を対象とした公開森林実習Ⅱと、京都大学の1回生を対象としたILASセミナーが同時開催で実施されました。

実習には両実習合わせて18人が参加。天然林と人工林(間伐前後)といった植生による昆虫相の違いをライトトラップやピットフォールトラップを用いて調べたり、道東の自然環境として釧路湿原や川湯のアカエゾマツ林などを見学しました。
霧で見えない時も多いですが、今回は摩周湖がくっきり見えました。日ごろの行いの成果でしょうか。
昆虫採集に夢中な学生も多く、積極的に取り組む姿勢が見られました。

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セグロカッコウ

5月の中旬頃に、標茶区構内で聴きなれない独特な鳴き声(「アカゲラの子育て」にも出ています)が構内に響き渡りました。何だろうと調べたら、セグロカッコウであることがわかりました。セグロカッコウはカッコウ科の旅鳥で、道東では確認記録がありませんが、北日本での観察記録が増えているそうです。(バードリサーチの記事(https://db3.bird-research.jp/news/202106-no2/)より)

見た目はカッコウに似ていますが、尾羽の先に太い黒色の帯があることから見分けられます。
従来の托卵相手が道東には生息していないため、ここで繁殖しているようであれば、新たな托卵相手がわかるかもと思いましたが、7月後半に姿(鳴き声)を消してしまいました。

セグロカッコウ
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下刈は暑い

2021年植栽のクリーンラーチ(カラマツ×グイマツ雑種F1品種)の試験地で下刈をしました。

苗木が下草との競合に負けないよう草刈機で刈払います。個人的な話、下刈り鎌と呼ばれる、長い鎌を使ったことも高校の実習で一度だけあります。

繁茂する下草を除去するので作業のシーズンとしては夏の暑い時期となります。新植地で木陰がないため熱中症のリスクが高く、さらにマダニ、スズメバチに刺される、刃物での怪我といった危険性もあり、草に隠れた苗木を誤伐しないよう神経を使いながら行う(この現場は苗木が大きいので誤伐リスクは低いです)下刈は林業の中でも過酷な作業といえます。

一斉造林で植栽された木が主伐を迎える造林地が多くなる中、機械化が進んできている伐木造材作業に対し、下刈はまだ人の手による部分が多く、造林分野での担い手不足が課題となっています。機械の開発や苗木の植栽方法、地拵えの方法、初期成長の早い品種の開発など省力化に向けた試験が各所で行われていますが、現場に導入されるまではまだ時間がかかりそうです。兎にも角にも、記録的な猛暑の中、今日も下刈をした皆さま、本当にお疲れ様でした。