芦生研究林では、多くの大学教員・大学職員が働いています。それぞれに目的意識と使命感を持ち、忙しい日々の中で多くの仕事をこなしています。
石原 正恵
芦生研究林長
フィールド科学教育研究センター森林生態系部門
森林育成学分野 准教授
私が京都大学の4回生のとき芦生研究林に通いはじめ、今年で15年になります。大学院を卒業後、北大や広島大などに所属が変わっても通い続けていますが、それは樹木の「豊凶現象」を調べるためです。「今年は柿が生(な)り年だ」といったことを聞かれたことがあるでしょう。柿に限らず、いろんな種類の樹木で結実量が多い年と少ない年があり、こうした年変動が同種の個体間で同調しています。これが豊凶現象です。私はミズメというカバノキの仲間の樹木260本の開花・結実量を2001年から観測し続けています。樹木の生態を研究するにはとても長い時間がかかります。長期間、観測ができる環境が整備されている芦生研究林だからこそできる研究です。
伊勢 武史
フィールド科学教育研究センター 森林生態系部門
森林育成学分野 准教授
人間の活動が自然県境と生態系にどのような影響を与えるのか、コンピュータシミュレーションによって再現する研究が専門。地球温暖化が森林生態系に及ぼす影響を探るため、芦生研究林の生態系の未来を予測する。人間の活動と環境保全の調和について考える一方、人間のこころの成り立ちや芸術の由来にも関心をもっている。
坂野上 なお
フィールド科学教育研究センター森林生態系部門
森林情報学分野 助教
林業経済学・木材流通論など、社会科学的手法を用いて森林と社会および地域社会との関連を解きほぐす研究が専門。森林資源の管理において不可欠な人間社会の関わりを考察するなど、社会科学分野からの貢献を目指している。
徳地 直子
フィールド科学教育研究センター森林生態系部門
森林育成学分野 教授
森林生態系である植物–土壌系における物質循環の手法を用いた生態系生態学の研究が専門。生物と土壌・水・大気などの非生物からなる複合系を解くために、生物・非生物に共通の貨幣である窒素・炭素などの物質を用いて解明している。