伊勢 武史

ise takeshi
フィールド科学教育研究センター 森林生態系部門
森林育成学分野 准教授
芦生研究林長
E-mail:ise*kais.kyoto-u.ac.jp(*を@に変えてください)
業績など(教育研究活動DB)

(2014-05-15 公開)

1. 研究分野

 生態学と環境科学についての研究をしています。特に、森林や湿地など世界の様々な陸上生態系の動きをコンピュータシミュレーションで再現する研究が専門です。いま、人間活動の影響によって、自然環境と生態系は大きくさまがわりしようとしています。たとえば、気候変動のため生育する動植物の種類が変化したり、土地開発によって生物のすみかとなる自然環境が失われたりしています。生態系が将来どのように変化するのか、私たち人間の活動と環境保全をどのように両立すべきなのか。これらの問題を解決するヒントをシミュレーション研究から導き、社会へ発信していきたいと思っています。生態系シミュレーションを軸に、各地の森林などでの野外観測や、衛星観測データを用いた生態系の観測などを融合した研究を行っています。

森林のシミュレーション

 私の研究の重要なテーマのひとつは、森林生態系の植物のダイナミクスを総合的にシミュレーションすることです。植物は、そのおかれた環境の日光・水・養分などに応じて光合成し、成長しています。また、植物はタイプの違いによって得意とする環境が異なるため競争が生じ、時間が経つにつれて森林を構成する樹木が変化していきます。これにともない、森林が吸収したり放出したりする二酸化炭素のバランスにも変化が生まれます。このような複雑なシステムを総合的にシミュレーションすることで、未来の森はどうなるのか、人間が森に与える影響はどうなるのかを予測しています。

土壌炭素のシミュレーション

 もうひとつ重要なテーマとして、土壌に含まれる炭素のダイナミクスのシミュレーションにも力を入れています。植物の枯れた枝や葉などは土壌に蓄積され土壌炭素となるわけですが、これを分解しているのは土の中の微生物です。大気中の二酸化炭素は植物の光合成を経て土壌に蓄積され、やがて微生物のはたらきによってふたたび二酸化炭素として大気に放出される。この炭素循環のメカニズムを研究することで、いま重大な問題となっている地球温暖化と生態系とのかかわりについて理解し、将来の予測に役立てています。

社会貢献活動

 研究で得られた知識を社会に還元し、市民のみなさんに分かりやすい形で提供することは私のライフワークです。サイエンスカフェの主催や、講演活動、執筆活動、ラジオ出演などで、生態学のおもしろさと、環境について学ぶことの大切さを市民のみなさんに伝えています。著書に「学んでみると生態学はおもしろい(ベレ出版・2013年1月)」と「地球システムを科学する(ベレ出版・2013年12月)」があります。

2. 好きなもの,趣味

 仕事として専門的に研究していることと、個人的に興味を持っていることとのあいだに明白な境界線はないような気がします。「生命とは何か」「自然とは何か」という本質的な疑問に答えるために生態学の研究をしているかたわら、「生命や自然現象のおもしろさ」にかかわるいろんなことに興味を持っています。最近は特に、もっとも身近な生命である人間について考えているような気がします。人間は何を感じ、何を考え、何を目的として生きているのか。人間は何を好み、何を美しいとみなすのか。こういうことを考えるには、数百万年におよぶ人類の進化という生物学の視点が大事なのかもしれませんね。というわけで、芸術の由来などについて漠然と思索している今日このごろです。


(フィールド研における経歴とページ履歴 情報整理 2015-11-09)
2014-05-01 森林生態系部門 森林育成学分野 准教授
2014-05-01 芦生研究林 担当
2014-05-15 http://fserc.kyoto-u.ac.jp/wp/staff/ise でページ公開
2014-10-09 ページに教育研究活動DBへのリンクを追加
2015-04-01 芦生研究林長