
標茶区の構内でドローンの操縦方法の講習会を開催しました。
これまで、あまり使ったことのない職員向けに実施したもので、飛行計画の作成から機体の点検、周囲の安全確保、操縦時の注意点などについて、参加者それぞれで実際にドローンを飛ばして確認しました。
若干風があったため、位置情報による補助があっても、機体が流される感覚も体験しました。
今後、業務で積極的に活用し、調査精度の向上や効率化につなげていきたいと思います。
標茶区の構内でドローンの操縦方法の講習会を開催しました。
これまで、あまり使ったことのない職員向けに実施したもので、飛行計画の作成から機体の点検、周囲の安全確保、操縦時の注意点などについて、参加者それぞれで実際にドローンを飛ばして確認しました。
若干風があったため、位置情報による補助があっても、機体が流される感覚も体験しました。
今後、業務で積極的に活用し、調査精度の向上や効率化につなげていきたいと思います。
残雪も日に日に解けて、春の雰囲気が漂う新年度、安全を祈願して入山式を有志で執り行いました。
林道のぬかるみが落ち着いたら、山での作業も本格的に再始動です。
標茶区構内はまだ雪に覆われているのですが、3月8日、日当たりの良いの木の根元にフクジュソウ(Adonis ramosa)が咲いているのを見つけました。
小雪傾向のまま立春を迎え、このまま冬が終わるかと思っていたらドカ雪が降りました。
ほとんど雪がなかった十勝地方では1日で1mを超える記録的な積雪となったそうですが、北海道研究林も標茶区は24cmから64cm、白糠区は8cmから一気に107cmの積雪となりました。
湿気を含んだ重たい雪で、朝から重機が大活躍しています。着雪による造林木への被害も心配です。
最後に残しておいた固定標準地調査サイト、湿性林の調査を行いました。
冬以外はぬかるみで歩きにくいため、凍り付くのを待って決行しました。ここ数日よく晴れて氷点下10度を下回る日が続いていたので、足元のコンディションはまずまず。その分気温は低く、谷底で日当たりも悪く、時折雪がちらつき寒さは厳しかったです。
途中、地上1m程度のホザキシモツケの藪の中に鳥の巣を見かけました。鳥は種ごとに異なる巣を作るのですが、主がいないと何の鳥が作ったものか分からないことも多いです。この巣から旅立った雛たちは今頃大きくなって、どこか遠くで羽ばたいているのかもしれません。
野生動物と車両の衝突事故は、人命と生物多様性保全に関わる大きな問題です。このような事故を防ぐためには、過去の事故データを分析し、有効な対策を議論することが重要と考えられています。しかし、欧米と比べてアジアではこのような研究はまだ少ない傾向にあります。また、これまで各国では主に道路での事故(ロードキル)について研究が進められてきており、鉄道事故(レールキル)はあまり注目されてきませんでした。
本研究では、環境省が北海道で収集した 31 年分の道路と鉄道での事故記録を活用し、希少鳥類であるオジロワシ、オオワシ、タンチョウの車両事故における時空間的動態の解明を目的としました。交通事故はこれらの種の存続を脅かす要因として以前から認識されていましたが、今まで学術的な分析は実施されてきませんでした。そのため、今回の研究を通して北海道内における事故発生パターンおよび各種における特徴を科学的に理解し、事故対策へ役立つ情報を得ることを目指しました。
本研究ではまず、環境省が 1991 年から 2021 年にわたり北海道で収集した道路と鉄道での事故記録を提供いただきました。この記録の中から、車両との衝突が保全上のリスクとして懸念されているオジロワシ、オオワシ、タンチョウ(いずれも環境省レッドリスト絶滅危惧 II 類、環境省保護増殖事業対象種)のデータを抽出しました。これらの種で衝突事故の時空間的動態を明らかにするために、季節、土地利用、地域を説明変数として年変動を状態空間モデル(用語 1)で解析しました。
解析の結果、北海道全土で回収された個体の期待値は、1991 年から 2021 年の間にいずれの種においても数百から数万倍に増加したことが示唆されました。要因としては個体数の増加、事故発生確率の増加、事故の目撃・報告確率の増加が考えられます。また、それぞれ種において利用している環境や生息地での事故発生件数が多いこと、渡りの性質の違いを反映した季節性があることが示され、事故発生パターンには種間差があることもわかりました。
オジロワシ、オオワシ、タンチョウにおけるロードキルとレールキル事故は長年懸念されてきましたが、本研究では統計的に事故が増加していることを示し、希少鳥類のロードキル/レールキル問題を客観的なデータを基に議論する重要な基礎を固めることができました。前述のとおり、事故増加の理由としては、(1)個体数の増加、(2)事故発生確率の増加、(3)事故の目撃・報告確率の増加、の三つが考えられ、今後の研究でこれらの要因を一つずつ紐解いていく必要があります。また、オジロワシ、オオワシ、タンチョウの生態学的特性や生息環境が事故発生の推定値の違いとしても反映されていました。このような種差は、各種に特化した車両事故対策に役立てることができる上に、生息域・利用する環境をはじめとした各種の基礎的な生態情報の理解にもつながると期待されます。
このプロジェクトは若手研究者が集まってそれぞれの本業とは別のサブテーマとして動いていたため、プロジェクト専用の予算がない中で、打ち合わせや学会発表を重ね、何とか論文出版にたどり着いたものです。これまでもオジロワシ、オオワシ、タンチョウなどの北海道の大自然を代表する希少鳥類の交通事故増加は専門家の間では示唆されていましたが、データが公にされておらず、経年変化や季節性、土地利用などとの関連性を示した詳しい解析もなされていませんでした。本研究によりデータや解析手法、解析結果を公開でき誰もが利用できるようになったことにより、希少鳥類の交通事故死という喫緊の課題に対して、有効な手段を模索できるようになると期待しています。
状態空間モデル:生き物の個体数の経年変化のような時系列データは、どうしてもある時点の個体数は直前や直後の個体数と似た値になります。そこでそれぞれの年の個体数を直接解析するのではなく、変化量を解析するなどの工夫が必要になります。また同じ年に同じように調査を行っても、偶然によって目撃出来たり出来なかったりしてしまうため、全く同じ個体数が目撃されるとは限りません。このような観測誤差と変化量を同時に推定するためのモデルが状態空間モデルと呼ばれる解析手法です。
秋も深まってきた今日この頃、固定標準地調査を進めています。固定標準地調査ではプロット内の樹木の直径と樹高を測定し、森の蓄積などを算出します。
トドマツ人工林の調査中、林内に残された風格のある古い株に出会いました。すっかり中は朽ちて(一部焼け焦げて)なくなっていましたが、胸高直径1mを超えるミズナラであったと思われます。ここが造林地になる前、演習林になる前、さらには軍馬補充部になる遥か前からこの地を見守ってきたかと思うと畏敬の念を覚えます。
10月16日17時39分、紫金山・アトラス彗星が標茶区からも観測できました。
肉眼では何となくぼんやり尾が見える程度でしたが、コンパクトデジタルカメラの15秒露光でもはっきり尾まで写りました。左下の明るい光は金星です。家族にも指さして伝えようとするもなかなか伝わらずもどかしかったのですが、最終的には見つけてくれて安堵しました。
10月8日から10日にかけて全国にある大学演習林の技術職員を対象とした研修を標茶区と知床で開催しました。研修には北海道大学から3名、東京大学から2名、東京農業大学から1名が参加し、野生動物と人とのかかわりについて最前線で活動している方から話を聞くなどして知見を広げました。
知床では開拓跡地の森林再生やヒグマの管理に携わる知床財団の職員の方と、自然ガイドを行っている方から、世界有数の密度で生息していると言われるヒグマとの付き合い方、エゾシカ個体数の管理や防除の方法、自然の変化などについて解説を受けました。
標茶区では北海道研究林の概要紹介の後、植栽地や試験地などを現地視察し、各大学との違いや改善点など活発に意見交換しました。
8月27日から9月3日にかけて農学部森林科学科3回生を対象とした研究林実習Ⅲが開催されました。実習には25人が参加し、様々なメニューを通じて北海道の森林について学びました。
到着したその日の夜から早速樹木識別実習を行い、京都では見られない樹木などをサンプルと図鑑を見比べながら識別ポイントを確認しました。翌日は白糠区で天然林の毎木調査を行い、図鑑だけでは見ることができなかった森の姿を体感しました。3日目は標茶区のアカエゾマツ人工林で間伐のための選木に向けた各種調査を行い、翌日は間伐から集材、造材、寸検までを見学・体験。6日目に行った植栽も含めて、林業の一連の流れを体験しました。また、キノコ相の観察や高山植生の観察、博物館の見学を通じて、樹木以外の地域の自然や文化についても見識を広めました。
途中、台風による大雨の影響で一部メニューを変更することもありましたが、それぞれの得意分野を生かしながらチームで協力して積極的に取り組む姿が印象的でした。