10月18日標茶区で、しべちゃアドベンチャースクール ステージ5「2町村交流 秋の野外活動」を開催しました(標茶町教育委員会との共催)。
小学生6名・中学生1名、スタッフである高校生4名と一緒に、雨上がりの少し寒い秋の林道を散策しました。
ネイチャービンゴゲームのマス目を埋めながら、見つけた動植物やきのこなどを観察しました。



10月18日標茶区で、しべちゃアドベンチャースクール ステージ5「2町村交流 秋の野外活動」を開催しました(標茶町教育委員会との共催)。
小学生6名・中学生1名、スタッフである高校生4名と一緒に、雨上がりの少し寒い秋の林道を散策しました。
ネイチャービンゴゲームのマス目を埋めながら、見つけた動植物やきのこなどを観察しました。



8/6-10の5日間、北海道研究林標茶区で、全国の大学生を対象とした公開森林実習Ⅱと、京都大学の1回生を対象としたILASセミナーが同時開催され、両実習合わせて12名の参加がありました(京都大学7名、京都工芸繊維大学2名、龍谷大学・京都女子大学・同志社大学各1名)。
期間中の気温は7月のように30℃を超えることはありませんでしたが、雨に降られ日程を変更することとなりました。
8/7は、雨のため研究林内で行う予定だったチェンソー体験を屋内で行い、講義室で植物の同定方法を学んだ後、午後からは標茶町博物館を見学しました。



8/8は、アカエゾマツ人工林2カ所(間伐前、間伐後)と天然林において、植生調査・昆虫相調査(ライトトラップ・ピットフォールトラップ設置)を行いました。



8/9は、昆虫相調査(各種トラップ回収)・捕獲した昆虫の分類・データ解析を行いました。



予定していた、摩周湖・硫黄山・釧路湿原などの見学はできませんでしたが、北海道の自然を少しでも感じられていればと思います。
白糠区の林内、標茶区の構内見本林で、シウリザクラが咲いていました。
エゾノウワミズザクラと同様、花が長い総状の花序に密集してつき、白いブラシのように見えます。
エゾノウワミズザクラは雄しべが花弁より短く、シウリザクラは雄しべと花弁の長さはほぼ同じだそうです。
どちらの花も、ソメイヨシノやオオヤマザクラと同様、花弁は5枚です。
(エゾノウワミズザクラ・シウリザクラは、バラ科ウワミズザクラ属。オオヤマザクラはサクラ属。サクラ属やウワミズザクラ属などを、まとめてスモモ属と分類することもあるようです。)


出勤途中、エゾリスが地面を探っていました。
見ていると、30秒ほどでオニグルミの実を掘り出し、口にくわえて近くの木に登っていきました。









エゾシカのライトセンサス中に、エゾクロテンを目撃しました。
林内に仕掛けたセンサーカメラにはよく写っていますが、実際に出会うことは稀です。
低い枝の上に1分ほど留まった後、幹を駆け上がっていきました。







6/16(日)標茶区で初夏の花観察会を開催し、13人にご参加いただきました。
2022年に標茶区で行った北海道フラワーソン(全道開花調査)と同様に調査し、研究林の林道や沢沿いで、85種(開花74種)の植物を確認しました。
午後は開花している植物を1人1種採取し、事務所へ戻り標本を作成していただきました。朝は小雨が降っていましたが、天気は回復し、昼休みには子ぎつねが2匹姿を見せてくれました。
参加者からは、「はこべ、むぐら類などたくさんの種類の判別が興味深かった」「同じような花でも、色々な種があり難しかったが楽しかった」「ハコベなど区別のつきにくい花を覚えるのは難しい」などの感想をいただきました。
観察会で発見した花(抜粋)はこちら
(ミヤマザクラは果実)
北海道研究林では市民の皆様を対象に、標茶区で初夏の花観察会を開催します。
5年に1回(前回は2022年度)、北海道全域で野の花を一斉調査する北海道フラワーソンに準じた内容で行うもので、林内に咲いている花を探してリストアップし、種構成や開花時期の変化を参加者の皆様と一緒に調べます。
植物に詳しくなくても参加可能です。研究林スタッフと観察のポイントを確認しつつ、図鑑片手に花探しに挑戦しましょう。
当日はイベント保険に加入しますが、保険の範囲を超える補償はできない場合があります。個人情報は当イベント運営のみに使用します。
秋には白糠区でも自然観察会を開催予定です。
朝、構内を歩いていると、微かに「カジカジカジカジカジカジ・・・」という音が聞こえ、あたりを見回すと、エゾリスがオニグルミの枝を齧っていました。
しばらく齧るのに集中しているようでしたが、こちらに気付くと、枝を伝って地上に降り、雪の上を走り去っていきました。
後で写真を確認すると、きのこを齧ってる様子が写っていました(写真:右下)。
エゾリスは、主に植物食で、キノコ類、樹皮下の菌類、昆虫なども食べるそうです。



構内を歩いていると、微かに「カジカジカジカジカジカジ・・・」という音が聞こえ、
あたりを見渡すと、樹上でエゾリスがオニグルミの実を割ろうと齧っていました。
秋、オニグルミの実が熟す9月以降、通勤時にエゾリスをよく見かけますが、
今はその頃に埋めておいた実を掘り出して食べているようです。
1年で一番冷え込む時期ですが、日脚が伸びてきており、季節は少しずつ春に向かっていきます。




京都大学フィールド科学教育研究センター 杉山 賢子
2022年より、標茶区で外生菌根菌に関する調査を始めました。
我々が普段見かける植物のほとんどは、根で何かしらの菌類と共生しています。中でも、ブナ科・マツ科・カバノキ科など森林の主要な樹種の根に感染し、相利的な養分の授受を行っているのが、今回の研究対象である外生菌根菌です。これら樹木の定着や生育には外生菌根菌との共生が不可欠であることから、外生菌根菌は森林の管理においても無視できない存在といえます。
北海道研究林で植栽されているカラマツ・トドマツ・アカエゾマツといった樹種はいずれも外生菌根菌と共生する樹種です。林にどのような外生菌根菌が定着するかは、その林の樹種組成や土壌環境といった林自体の環境要因に加え、外からどのような菌が加入してくるかといった周囲の林の影響も受けて変化すると考えられています (より広域には気候なども影響)。しかしこれまでの研究では、調査対象となる林自体の環境が着目されることが多く、周囲の林の影響についてはわかっていない部分が大きいです。
外生菌根菌は胞子を飛ばして新たな林に定着します。加えて菌種によって感染可能な樹木分類群が異なるため、どのような距離にどのような樹種組成の林があるかによって加入してくる外生菌根菌の種組成やその定着率が変化することが予想されます。本研究では、異なる樹種組成の林がモザイク状に広がる標茶区において外生菌根菌相の継続的な調査を行うことで、距離と樹種組成の影響を分離して周囲の林の影響を評価していきたいと考えています。
2022年は、標茶区で最も植栽面積の広いカラマツに着目し、同じ樹種でも林分間の位置関係や隣接する林分の樹種組成の違いにより外生菌根菌相が変化するのかを調査しました。調査は地図に示したカラマツ人工林9林分で、6月、8月、11月の計3回行ないました。
調査により、カラマツ林分間で外生菌根菌組成が異なること、その組成の違いは隣接する林分の樹種組成では説明されず、調査林分間の位置関係により一部説明されるということが示されました。しかし、どの林分間で外生菌根菌組成が類似する (または異なる) かというパターンは月によって異なっていました。大まかに、8月は北 (A, B) と南 (G-I) でも組成が似ていたのに対し、11月は北から南にかけて組成が変化していくという傾向が見られました (6月は空間構造見られず)。また、林分間で共有される外生菌根菌OTU (塩基配列の相同性に基づくグループ、今回はおよそ種に相当) 数も月によって変化していました。月により傾向が変わった理由は単年の調査ではわからないため、継続的な調査が必要です。
また、興味深い結果として、林分間で共通のOTUが優占するという結果も得られました。中でも、9林分全てで得られたラシャタケ属のOTU (11月は8林分のみから検出) は、林分ごとの出現頻度も最も高く、カラマツの生育に対する影響が気になるところです。
2022年はカラマツ林のみで調査を行いましたが、周囲の林からどのような菌種が加入してきているかを知るためには、他の樹種の外生菌根菌組成も調査する必要があります。2023年は樹種を増やして調査を継続する予定です。また現在は、定着済みの外生菌根菌に着目していますが、今後、林間での菌の移動分散も評価するべく、方法を検討中です。


