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白い花

5月に入って桜前線が到着したと思ったら、一気に初夏の装いとなりました。

新緑の林内でひときわ目を引く白い花。エゾノウワミズザクラが満開です。桜といってもソメイヨシノやヤマザクラとは異なり、ブラシ状にたくさんの花をつけます。辺りには花の香りが漂い、昆虫たちも忙しそうに花から花へ飛び回っていました。

林床には特徴的なフォルムのオオバナノエンレイソウが咲き始めました。シュロソウ科の多年草で、葉も萼片も花びらも3枚づつつけることから、「3つのユリ」を意味するTrilliumという学名がエンレイソウ属にはつけられています。発芽から年ごとにつける葉を少しずつ大きくさせ、開花に至るまで10年以上かかる気の長い植物です。

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お知らせ イベント

初夏の花観察会 プチフラワーソン2023のご案内

北海道研究林では市民の皆様を対象に、白糠区で初夏の花観察会を開催します。

5年に1回(前回は2022年度)、北海道全域で野の花を一斉調査する北海道フラワーソンに準じた内容で行うもので、林内に咲いている花を探してリストアップし、種構成や開花時期の変化を参加者の皆様と一緒に調べます。

植物に詳しくなくても参加可能です。研究林スタッフと観察のポイントを確認しつつ、図鑑片手に花探しに挑戦しましょう。

新型コロナ感染症の状況によっては、中止する場合がございます。

  • 開催日時
    • 2023年6月18日(日)10:30-16:00(受付開始10:00)
    • 小雨決行
  • 開催地
    • 京都大学フィールド科学教育研究センター北海道研究林白糠区
    • 受付会場は管理棟前(白糠町西2条8-1-10)
      • 駐車場あり、白糠駅への送迎あり
  • 定員
    • 12名(応募多数の場合は抽選)
  • 参加費
    • 無料
  • 持ち物
    • 山歩きのできる(汚れてもいい)服装、歩きやすい靴、雨具、筆記用具、昼食、(適宜)虫よけ、図鑑等
  • 申込方法
    • 参加希望者全員の氏名、生年月日、住所、電話番号、送迎希望の有無を明記し、はがき、もしくはメールにてお申し込みください。メールの件名は「観察会申し込み」としてください。小学生以下のご参加は保護者同伴でお申し込みください。
  • 申込締切
    • 5月31日必着。抽選結果は6月6日までに郵送、もしくはメールにてお知らせします。
  • 申込先
    • (郵送)〒088-2339 北海道川上郡標茶町多和553 京都大学フィールド科学教育研究センター北海道研究林
    • (メール)hokuken(@マーク)mail2.adm.kyoto-u.ac.jp
  • 問い合わせ先
    • (電話)015-485-2637
    • (メール)hokuken(@マーク)mail2.adm.kyoto-u.ac.jp

当日はイベント保険に加入しますが、保険の範囲を超える補償はできない場合があります。参加される際は、マスクの着用等感染拡大の防止にご理解、ご協力をお願いします。個人情報は当イベント運営のみに使用します。

秋には標茶区でも自然観察会を開催予定です。

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春の林道巡視

標茶区は冬に土壌が凍結します。凍結すると水分がより深い土壌中から氷に引き寄せられます。

春になると凍ってカチコチだった路面が表面から解け、さらに冬の間の積雪が融解することで、たっぷりと水を含んだ路面はとても緩くなり、春の大型連休あたりまで車両の通行ができません。

緩んでいた路面も落ち着いた様子だったので、例年より若干早いですが林道の巡視に行きました。

冬の間の強風や着雪によって発生した倒木や、無数にある落枝、林道に残されたシカの角を除去し、路面、路盤に異常がないかも確認しました。研究者や学生が安全に利用できるよう、受け入れの準備を進めています。

車に乗っては少し移動して降り、中腰で枝を拾っては路外に捨ての繰り返しです。室内仕事が続いて体がなまったところにこの作業。疲れがにじむ四十路の背中です。

そして、そんな作業をした翌日には得てして大荒れの天気になるものです。

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白糠の春の妖精

白糠区構内にキバナノアマナとアズマイチゲが咲いていました。

春の訪れとともに開花し、夏までには地上から姿を消す花たちを「スプリング・エフェメラル(春の儚いもの)」、「春の妖精」と呼びます。先日投稿したフクジュソウ以外にエゾエンゴサクやニリンソウ、カタクリなども同じような生活史を持つ仲間です。

他の大型の植物が開葉する前に光合成と繁殖を済まして、地下の栄養器官や種子に栄養を蓄えるもので、儚いと呼ばれるような弱い印象とは裏腹に積極性と見切りの潔さが特徴といえます。

次々に花が咲く様子は散歩をして目にも楽しい季節です。

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キタミフクジュソウ

全国的に駆け足で桜前線が北上していますが、標茶区も例年よりやや早く3月15日にキタミフクジュソウが開花しました。4月を迎える前に構内ではたくさん咲いています。

他に開花している植物がない中、ハエの仲間などの昆虫が花に訪れています。フクジュソウには蜜腺はなく、パラボラアンテナのような花びらを太陽に向けることで熱を集め、そこに昆虫が引き寄せられて花粉を運んでもらっているそうです。

突然の大雪で一面雪景色になる可能性もまだあるのですが、日だまりに咲く小さな太陽は春の訪れを告げているようです。

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アカゲラ

標茶区でよく見かけるキツツキのひとつがアカゲラです。

頭と下腹部の赤色がおしゃれです。

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寒い実習にご用心

3年ぶりとなる冬の学生実習「研究林実習Ⅳ」を翌週に控え、山スキーで歩くコースの下見に行きました。

この日の最低気温は-14.0℃で冷え込みは弱かったのですが、最高気温が-7.4℃と上がらなかった上に、強い風が断続的に吹きました。そのため日差しはあるものの非常に寒い山行となりました。

声は風音で遮られ、手はかじかんでメモを取る気力も湧かず、休憩して弁当を食べるよりも早く帰ろうという判断となりました。

参加される学生さんは防寒対策をしっかりとしてきてください。ウールなど速乾、保温性のある素材のインナー(綿や発熱素材は汗冷えの恐れあり)、インナー手袋、ネックウォーマー、目出し帽といった衣類に加え、懐炉、温かい飲み物を入れる保温性のある水筒、雪の上に座ってもお尻が濡れない敷物なども重宝するかもしれません。ポイントは行動中は汗をかかず、止まっているときは寒くないことです。

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土壌凍結の測定

地下から取り出した土壌凍結深度計。地表面から透明の部分までが凍結している。

標茶区のある北海道東部では季節凍土が発生します。

気温が低く、断熱効果のある積雪が少ないと、土壌の熱が奪われて地表面から徐々に凍っていきます。

土壌凍結の進み方を観測するためにメチレンブルー土壌凍結深度計を使用しています。メチレンブルー土壌凍結深度計は、凍結すると青から無色透明になるメチレンブルーの特性を利用したもので、地表下で0℃となっている面の深さを知ることができます。

現在の深さは約35cmで例年より若干浅めのように感じます。ちなみに今朝の最低気温は-18.1℃(ぬるい)、積雪は37cmでした。

凍結の進み方は気温だけでなく積雪状況による部分も大きいようで、年によって変動があります。まとまった雪が降る時期が遅れると凍結が進み、1月中の積雪が20cmに満たなかった2017年から2018年にかけての冬には56cmまで凍結していました。

森林域では土壌中の水分が凍ることで凍上が発生して植物の根がダメージを受けたり、樹木の水分通導を阻害したり、鉛直方向の水分の動態が変わることでそれに伴う物質循環に影響を及ぼすと言われています。

気候変動により冬期の気温が上昇したり、積雪の状況が変化すると季節凍土の発生状況も変化すると予想されます。それが森林の生態系にどういう影響を及ぼすのか、その指標とすべく、”しばれる”朝にも日々観測を続けています。

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直営皆伐カラマツ造材

夕日に照らされながら採材中

直営で進めているカラマツの皆伐も終盤に入ってきました。今は造材(材の太さや質を見て製品ごとに決まった長さに丸太をチェーンソーで切っていく作業)、はい積み(製品ごとに丸太を山にしていく作業)を行っています。

今年の事業地は63年生のカラマツです。胸高直径50cmほどの木もあり、立木1本で2t、玉切した丸太1本でも300kgを超えるようなものもあり機械の力が必須です。効率と安全性の両面で機械のオペレーターと作業者・指示者間のコミュニケーションが重要なのですが、今年導入した無線のインカムはストレスなく会話ができるので効果抜群です。ただ、無意識に発する「よっこいしょ」もばっちり伝えてしまうので注意が必要です。

研究林では齢級の平準化と資源の循環利用を念頭に、徐々に造林地の更新を図っています。皆伐跡地は学生実習での植栽を予定しています。

撮影は午後3時27分。刻々と日没が迫る中、夕日に照らされながら採材する様子です。働く男は絵になると思いますが、いかがでしょう。

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野生動物の自動撮影調査、10月の一押し

北海道研究林では2010年より赤外線センサーカメラによる野生動物の自動撮影調査を行っています。
野生動物の生息実態を把握するとともに、同じ場所、同じ方法で調査を継続することで野生動物の生息状況の変化などを観察しています。

10月の2週間、標茶の6地点で実施した調査ではエゾシカ、キツネ、タヌキ等が多く写っていました。加えて、ヒグマも2回撮影されました。ヒグマは低頻度ながらコンスタントに撮影されています。基本的には夜間に撮影が集中しています。業務で山に入る際には警戒はするのですが、遭遇例はほぼありません。

また、エゾシカの雄2頭が角を突き合わせていると思われる様子が撮影できました。調査の特性上、ただカメラの前を通過している画が多くなり、こういった行動が撮影できるのは貴重なものと思います。