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2023実習 学生実習

自然環境演習(京都精華大学人間環境デザインプログラム1回生)

6月3日(土)に京都精華大学人間環境デザインプログラム1回生を対象に、第二回目の自然環境演習が実施されました。今回はフォトグラメトリについて学び、写真や動画を利用した3Dモデルの作成体験が行われました。今回の実習内容は昨年建築基礎実習として行われましたが、今年より自然環境演習の一環で実施されています。
 午前10時より実習が始まり、京都精華大学のAndrea Urushima教員から実習の概要説明が行われました。その後、大阪産業大学の赤石大輔教員による講義が行われ、これまでに上賀茂試験地などで作成された3Dモデルの紹介などが行われました。次に、京都精華大学のAtticus Sims教員による講義が行われ、京都の伝統や文化を保存するために作成した3Dモデルについて紹介がありました。
フォトグラメトリについて学んだ後は、スマートフォン用アプリのLuma AIを利用して、学生それぞれが選んだ対象の動画撮影を行い、3Dモデルの作成を行いました。最後に作成した3Dモデルについて解説があり、午後0時半ごろに実習を終了しました。
昨年の実習ではAgisoft Metashapeを利用していましたが、3Dモデルの生成については、AIの発展により毎年のように新しいソフトウェアが開発されているそうです。この分野は常に新しい情報を収集していくことが大事であるとのことでした。当日は荒井技術職員が記録および実習補助にあたりました。
2回目の自然環境演習はこちら

文/荒井 亮

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2023実習 学生実習

2023年合同ILASセミナー

5月20日にILASセミナーが行われました。今回は「北海道のきのこの多様性と生き方」「芦生研究林の菌類多様性に触れよう」「里山の物質循環 ―燃料・肥料・食料から考える ―」の3テーマが合同開催されました。午前中は、はじめに舘野教員から上賀茂試験地の概要説明が行われ、続いて松岡教員からきのこの講義が行われました。講義終了後にシイタケ圃場の見学、資料館の見学、シイタケ駒うち体験、薪割り体験を行いました。駒うちや薪割りは普段体験できない事だったからなのか、受講生は楽しみながら取り組んでいました。午後からは林内を散策しながら樹木やきのこの識別を行いました。見つけたきのこは採取して最後にみんなで同定を行い終了しました。安全管理及び記録・薪割り・駒うち指導のために西岡技術職員が同行しました。

文:西岡裕平

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2023実習 学生実習

森林基礎科学実習Ⅰ

森林科学科2回生を対象に、樹木の葉や枝の特徴を把握し識別方法を学ぶ実習が4月18日と5月9日の2回に分けて行われました。識別は林道を歩きながら葉や樹形・樹冠を観察し、2時間ほどの道のりの中で、約25種の樹木について山崎教員の解説を聞きながら、受講者は樹木の特徴を写真で収めたりメモを走らせたり、それぞれの方法で記録していました。観察終了後には識別テストが行われ、各自取ったメモを参照しながらテストに挑戦しました。4月18日は大橋技術職員が、5月9日は西岡技術職員が、それぞれ授業の安全管理及び記録、技術補助に当たりました。

文:西岡裕平

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2023実習 学生実習

森林に対する環境意識(放送大学面接授業)

 2023年5月20、21日に、吉岡崇仁教員による放送大学京都学習センター面接授業「森林に対する環境意識」が行われました。この授業は専門科目(自然と環境)として開講され、9名の受講者が参加しました。試験地の植物・林相観察を通して、人間と植物・森林との関わりについて考え、環境に対して人間が抱く「環境意識」について考察すること、環境哲学や環境倫理学、さらには環境経済学にも触れながら、その意識のもとで森林の価値を判断していることを体系的に把握することを目的にしています。
 初日は、試験地に自生している一般的な1 0種類の樹木の枝葉サンプルを用いて、葉の形状や枝への付き方等の見分けるためのポイントを習得する樹種同定を行いました。その後、試験地の紹介を兼ねた講義「森林の成立条件」が行われ、温量(暖かさの)指数および降水量の関係から、どのような森林が成立し得るかを学び前半が終了しました。後半は、歩きながら自生している樹木個体を観察し、識別のスキルアップを目指しました。野外実習の後は講義が行われ、環境の価値を考えるうえで、個人の価値観と環境への意識が重要であり、様々な価値判断がなされることなどが解説されました。さらに環境経済学や環境倫理学の観点から環境の価値を考えるための理論や方法を学びました。

 二日目は、まず一日目の樹木実習の復習も兼ねて、受講生より、いくつかの樹種で作成した死環(葉に熱を加えると、葉の細胞が破壊されるが、酵素の活性が維持されている部分では、細胞内のタンニンと空気中の酸素とがこの酵素により反応し、黒色に変化する現象)が紹介されました。その後は事務所から樹木観察をしながら、炭焼き窯や公開森林実習Ⅲ等で活用している里山実習地を見学しました。散策後は、講義「環境意識調査法について」が行われ、数値化できない環境意識の計り方に関して、一般人を対象にした社会調査事例をもとに紹介されました。フィールド科学教育研究センター(フィールド研)が実施した「木文化プロジェクト」の成果からは、国産材や間伐材に対するイメージ、住宅用木材に国産材を使用する際に支払うことができる価格が、居住環境等の属性が異なる回答者によってバリエーションを持つことなどが説明されました。フィールド研のメインテーマである森里海連環学を進めるうえで、環境意識が重要なファクターでもあることなどが説明され、最後にディスカッションとまとめが行われました。両日とも長谷川技術職員が実習の安全管理及び記録、サポートを行いました。

record and text/長谷川 敦史

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2022実習 学生実習

公開森林実習III −森林・里山の生態系サービスを学ぶ−

10月15日から12月10までのうち5日間の日程で、他大学学生を対象とした公開森林実習Ⅲが実施されました。この実習は今年度で3年目になり、これから新たな里山を作り上げて、維持管理していくために必要な作業について、実習計画を自ら立案できるノウハウを修得するとともに、計画の実施を自らの責任で行う能力を醸成することを目標にしています。初回(10月15日)は、午前に赤石教員によるガイダンス及び舘野教員による試験地概要と講義が行われました。午後は最初に見本林の見学や薪を燃料として効率的に使用する方法を体験し、その後、炭窯を見学して製炭方法を学び、製炭用材の重量を計測しました。最後は里山を作るための実習地(19林班)に足を運び、これからの管理方法や方向性の議論を行いました。
2回目(10月22日)は、はじめに吉岡教員による講義「森林・里山に対する人々の思い」が行われました。講義終了後、標本館の見学が行われた後に昼食となりました。午後からは、炭となる原木の重量計測並びに原木を炭窯に詰め込む作業が学生らによって行われました。その後、里山実習地の19林班に移動し、舘野教員からコナラのバイオマス調査に関する説明後、技術職員によるコナラの伐倒作業を見学しました。学生らはコナラの樹高測定や枝葉の切り取りおよび回収を行った後、幹、枝、葉のそれぞれの重量を測定しました。
3回目(11月19日)は株式会社HighLogic代表取締役の小森 優美氏を迎えて、国内の生糸や野草などを使った染物に関する講義が行われました。また自社の商品がどのように若い世代に受け入れられているか、エシカル、SDGs、地産地消などについても話がありました。講義終了後、シイタケの収穫、クチナシとクロクルミを使った草木染を行った。お昼休みに収穫したシイタケを焼いて舌鼓を打ちました。午後からは、コンポスト作成班、草刈り班、歩道作成班の3班に分かれ、コンポスト班と草刈り班は19林班、歩道作成班は20林班に向かいそれぞれ作業を行いました。
4回目(11月26日)は、午前に舘野教員による講義「里山の物質循環」が行われました。午後からは炭窯で実習を行い、はじめに大橋技術職員から、炭焼きを行っている間の炭窯や煙の温度や色の変化、その変化に応じた空気量の調整などについて解説が行われました。解説後、炭の窯出し作業や炭切りの作業、炭の重量計測の作業を行いました。炭窯の窯出し体験の後は、19林班の実習地に移動し、前回の実習で作成したコンポストで堆肥づくりを行うための落ち葉はき作業、道づくりのための伐開作業、最終回で植樹を行う場所の刈払い作業を行いました。
5回目(12月10日)の午前は、舘野教員の指導でバイオマス計算の演習が行いました。アロメトリ-式を使って胸高直径から樹高を算出し、バイオマスを測定することで、上賀茂試験地内の木質バイオマスの推定を行いました。そこから、一般家庭の年間利用エネルギーを賄う木質バイオマスの量から、何軒の家庭を上賀茂試験地で維持できるかを求め、里山の持続可能な利用についての理解を深めました。午後は19林班に移動して、今後の里山整備の方向性についての議論を行いました。その際に学生からの提案で、これまで19林班で果樹の植樹を行なってきたが、今後はさらに計画的に何を植えるべきか考える必要があること、上賀茂の景観や気候に適した、また周辺の在来植物等への遺伝的な撹乱を引き起こさないような樹種を選定すべきという方針がまとまりました。
5日間の実習を通して、里山として森林を様々に利用する方法や里山の生態系サービスに関する学術的知見を体験的に学びました。上記日程では、技術職員7名が安全管理及び記録、技術指導を行いました。

文:上賀茂試験地技術職員