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フィールド 業務報告

モニタリングサイト1000堆積落葉層および土壌採取

7月23日に、モニタリングサイト1000(以下、モニ1000という)に係る調査を行いました。モニ1000は「日本の複雑で多様な生態系の劣化をいち早くとらえ、適切に生物多様性の保全へつなげる」ことを目的に、環境省が2003年に始めた事業で、全国に1000か所以上の調査地(サイト)があります。当試験地は2007年より森林・草原調査のコアサイトの一つとして、毎年調査を行っています。今回は堆積落葉層および土壌の動態を把握するため、これらの採取を行いました。この採取は甲虫調査の一環として行っています。堆積落葉層は堆積有機物層ともいわれ、A0層と表記されます。A0層の性状により、その下に続くA、B層といった土壌層への水の浸透性(浸透能)が変わります。A0層は、25cm四方の枠を基準に、その範囲内の有機物を、剪定鋏や根切りナイフ等を用いながら、採取します。土壌層に近くなるほど、有機物が細片化し、土壌層との境が判りにくくなります。土壌は3年に一度の頻度で、先に採取したA0層の下部に、採土円筒(約100cc)を土壌の上面と一致するまで埋め込み、根切りナイフ等を用い円筒の下面を押さえながら引き出します。円筒からはみ出た礫や樹木等の根を取り除き、採取します。
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text/長谷川 敦史

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フィールド 業務報告

簡易搬器を用いたロープ集材技術に関する現地検討会の実施

上賀茂試験地では、本学の技術職員および教員のほか、他大学や教育機関の関係者や一般の方と共同で里山整備に取り組んでいます。その一環として、一部のマツ林を里山(広葉樹林)に転換する施業を進めており、その際に生じるマツ材の搬出や地拵え等において、簡易搬器やポータブルウィンチを活用し作業効率を高めています。そこで、今回は他の研究林・試験地の技術職員が集まり、これらの集材装置を使用した材(以下、荷という)の搬出および集積技術の向上・普及を目的とした現地検討会を実施しました。初日はガイダンスの後、技術資料として集材装置の設置や動作に関する動画を視聴し、現場でのイメージトレーニングを行いました。その後現地に移り、各器材の設置を手分けして行い、集材にかかる各工程や集材する荷と搬器との位置関係、安全面を再度確認しました。昼食の後、一度荷の吊り上げから移動、荷下ろしまでの工程を手分けして行い、ロープの張りや、牽引作業の調整を行いました。その後、職員が各工程間を移動し終えたところで終了となりました。翌日は、前日の作業風景を撮影した動画を用いて反省会を行いました。工程の中で、危険なポイントを洗い出し、次回以降への改善点を整理して無事検討会を終了することができました。

text/長谷川 敦史

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フィールド 日誌

タケ類の開花について

上賀茂試験地では、国内外の様々なタケ・ササ類を育成しています。2024年の3~4月頃にウンモンチク(雲紋竹、Phyllostachys nigra Munro f. boryana Makino)とクロチク(黒竹、Phyllostachys nigra Munro v. nigra)、7月にはモウソウチク(孟宗竹、Phyllostachys pubescens Mazel ex Houz.)が開花しました。前2者は、1949年に京都植物園(現京都府立植物園)から株分けされました。両者ともマダケ属でマダケの仲間は120年に一度開花するともいわれています。モウソウチクは、1957年に京都市伏見区で開花した個体から種子を採取し、翌年に植栽されました。前回の開花から67年目にあたります。

text/長谷川 敦史

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ナラ枯れ防除シート施工

4月19日に研究調査対象木にナラ枯れ防除のためのシート施工を行いました。ナラ枯れは、ブナ科のナラ類やシイ・カシ類などが病原菌(Raffaelea quercivora)とこの菌を媒介するカシノナガキクイムシ(Platypus quercivorus)によって枯死する伝染性の病気です。このカシノナガキクイムシが、ナラ等の樹幹にアタックして穿孔できないようにする方法の一つとして、このシート施工が広く普及しています。施工にはシートを2種類用い、下部から上部に向かって巻き付けます。下部にはビニールハウス用シート(非接着性)を根張り等も含めて巻き付け、それより上部には接着性のある梱包用シートを巻き付けていきます。できるだけ上部まで施工し、要所にはシートがはがれないようガムテープやガンタッカーで固定します。試験地では、2006年に初めてナラ枯れ被害が発生し、2010年度をピークにその後徐々に減少し、一旦終息しましたが、昨年度にこの対象木の近接地に再び発生がみられました。

text/長谷川 敦史

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ウツクシマツ見本樹の伐採

今年1月に京都市内で記録的な積雪がありました。上賀茂試験地でも積雪による見本樹の被害が発生し、中でも滋賀県旧甲西町(現湖南市)の自生地から教育研究のため導入した現存するウツクシマツ3本のうち1本が幹折れの被害にあいました。当初は枯れずに耐えていましたが、今夏にかけて次第に葉が褐変し、とうとう枯死しました。貴重な見本樹が一つ失われ、非常に残念ですが、現存する2本を今後も維持していきたいと思います。
※伐採作業は、有資格者が十分安全に配慮し行っています。

text/長谷川 敦史