カテゴリー
フィールド 業務報告

簡易搬器を用いたロープ集材技術に関する現地検討会の実施

上賀茂試験地では、本学の技術職員および教員のほか、他大学や教育機関の関係者や一般の方と共同で里山整備に取り組んでいます。その一環として、一部のマツ林を里山(広葉樹林)に転換する施業を進めており、その際に生じるマツ材の搬出や地拵え等において、簡易搬器やポータブルウィンチを活用し作業効率を高めています。そこで、今回は他の研究林・試験地の技術職員が集まり、これらの集材装置を使用した材(以下、荷という)の搬出および集積技術の向上・普及を目的とした現地検討会を実施しました。初日はガイダンスの後、技術資料として集材装置の設置や動作に関する動画を視聴し、現場でのイメージトレーニングを行いました。その後現地に移り、各器材の設置を手分けして行い、集材にかかる各工程や集材する荷と搬器との位置関係、安全面を再度確認しました。昼食の後、一度荷の吊り上げから移動、荷下ろしまでの工程を手分けして行い、ロープの張りや、牽引作業の調整を行いました。その後、職員が各工程間を移動し終えたところで終了となりました。翌日は、前日の作業風景を撮影した動画を用いて反省会を行いました。工程の中で、危険なポイントを洗い出し、次回以降への改善点を整理して無事検討会を終了することができました。

text/長谷川 敦史

カテゴリー
フィールド 日誌

タケ類の開花について

上賀茂試験地では、国内外の様々なタケ・ササ類を育成しています。2024年の3~4月頃にウンモンチク(雲紋竹、Phyllostachys nigra Munro f. boryana Makino)とクロチク(黒竹、Phyllostachys nigra Munro v. nigra)、7月にはモウソウチク(孟宗竹、Phyllostachys pubescens Mazel ex Houz.)が開花しました。前2者は、1949年に京都植物園(現京都府立植物園)から株分けされました。両者ともマダケ属でマダケの仲間は120年に一度開花するともいわれています。モウソウチクは、1957年に京都市伏見区で開花した個体から種子を採取し、翌年に植栽されました。前回の開花から67年目にあたります。

text/長谷川 敦史

カテゴリー
フィールド 業務報告

ナラ枯れ防除シート施工

4月19日に研究調査対象木にナラ枯れ防除のためのシート施工を行いました。ナラ枯れは、ブナ科のナラ類やシイ・カシ類などが病原菌(Raffaelea quercivora)とこの菌を媒介するカシノナガキクイムシ(Platypus quercivorus)によって枯死する伝染性の病気です。このカシノナガキクイムシが、ナラ等の樹幹にアタックして穿孔できないようにする方法の一つとして、このシート施工が広く普及しています。施工にはシートを2種類用い、下部から上部に向かって巻き付けます。下部にはビニールハウス用シート(非接着性)を根張り等も含めて巻き付け、それより上部には接着性のある梱包用シートを巻き付けていきます。できるだけ上部まで施工し、要所にはシートがはがれないようガムテープやガンタッカーで固定します。試験地では、2006年に初めてナラ枯れ被害が発生し、2010年度をピークにその後徐々に減少し、一旦終息しましたが、昨年度にこの対象木の近接地に再び発生がみられました。

カテゴリー
フィールド 業務報告

ウツクシマツ見本樹の伐採

今年1月に京都市内で記録的な積雪がありました。上賀茂試験地でも積雪による見本樹の被害が発生し、中でも滋賀県旧甲西町(現湖南市)の自生地から教育研究のため導入した現存するウツクシマツ3本のうち1本が幹折れの被害にあいました。当初は枯れずに耐えていましたが、今夏にかけて次第に葉が褐変し、とうとう枯死しました。貴重な見本樹が一つ失われ、非常に残念ですが、現存する2本を今後も維持していきたいと思います。
※伐採作業は、有資格者が十分安全に配慮し行っています。

カテゴリー
フィールド 業務報告

マツ枯れ防止のための樹幹注入剤施工2023

2023年4月13日にマツ枯れ防止樹幹注入剤を施工しました。薬剤は昨年から施工を開始したマッケンジーで、樹脂流出の少ない時期に施工が限定される従来のマツガード等の薬剤に比べて施工適応時期が広いため、この時期の施工が可能です。施工は4.5~6mm径のドリルで深さ3~8cmの孔をあけて、その孔に薬剤を注入します。幹径によって孔数が変わり、当試験地では省力化のため薬効を2年間持続させるため、2ml/孔としています。昨年は5mm径で5cmの孔をあけて、2mlの薬剤を注入するのに10分程度かかったため、今年度は6mm径で6cmの孔としたところ、2mlを20秒程度で注入することができました。注入後は、孔を木栓や癒合剤で塞ぎますが、孔から樹脂が出てくることを確認するため、後者を採用しています。
また、今年度はゴヨウマツ類に加えて、現存数が減少している2葉マツの一部にも施工しました。今後は他のマツ類や剪定したマツにも施工対象を広げることを検討しています。

text/長谷川 敦史