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2023イベント イベント

里山おーぷんらぼ(第1回)

2023年4月15日に里山おーぷんらぼの1回目が行われ、参加者は13名でした。
オリエンテーションとして講義室で簡単な自己紹介の後、舘野教授からプロジェクトの概要説明が行われました。その後活動拠点になる場所や、活動予定地になる18、19林班の散策を行いました。この日はあいにくの雨模様で、実際の活動は次回以降になる予定です。
講義室に戻った参加者はこのらぼの名称や今後の進め方等を話し合い、1回目が終了しました。
当日は、安全管理及び記録、技術補助として紺野技術職員が同行しました。
2回目の里山おーぷんらぼはこちら

詳しくは「新しい里山・里海共創プロジェクト」のウェブページのお知らせをご覧下さい。

文:紺野絡

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2023実習 学生実習

森林に対する環境意識(放送大学面接授業)

 2023年5月20、21日に、吉岡崇仁教員による放送大学京都学習センター面接授業「森林に対する環境意識」が行われました。この授業は専門科目(自然と環境)として開講され、9名の受講者が参加しました。試験地の植物・林相観察を通して、人間と植物・森林との関わりについて考え、環境に対して人間が抱く「環境意識」について考察すること、環境哲学や環境倫理学、さらには環境経済学にも触れながら、その意識のもとで森林の価値を判断していることを体系的に把握することを目的にしています。
 初日は、試験地に自生している一般的な1 0種類の樹木の枝葉サンプルを用いて、葉の形状や枝への付き方等の見分けるためのポイントを習得する樹種同定を行いました。その後、試験地の紹介を兼ねた講義「森林の成立条件」が行われ、温量(暖かさの)指数および降水量の関係から、どのような森林が成立し得るかを学び前半が終了しました。後半は、歩きながら自生している樹木個体を観察し、識別のスキルアップを目指しました。野外実習の後は講義が行われ、環境の価値を考えるうえで、個人の価値観と環境への意識が重要であり、様々な価値判断がなされることなどが解説されました。さらに環境経済学や環境倫理学の観点から環境の価値を考えるための理論や方法を学びました。

 二日目は、まず一日目の樹木実習の復習も兼ねて、受講生より、いくつかの樹種で作成した死環(葉に熱を加えると、葉の細胞が破壊されるが、酵素の活性が維持されている部分では、細胞内のタンニンと空気中の酸素とがこの酵素により反応し、黒色に変化する現象)が紹介されました。その後は事務所から樹木観察をしながら、炭焼き窯や公開森林実習Ⅲ等で活用している里山実習地を見学しました。散策後は、講義「環境意識調査法について」が行われ、数値化できない環境意識の計り方に関して、一般人を対象にした社会調査事例をもとに紹介されました。フィールド科学教育研究センター(フィールド研)が実施した「木文化プロジェクト」の成果からは、国産材や間伐材に対するイメージ、住宅用木材に国産材を使用する際に支払うことができる価格が、居住環境等の属性が異なる回答者によってバリエーションを持つことなどが説明されました。フィールド研のメインテーマである森里海連環学を進めるうえで、環境意識が重要なファクターでもあることなどが説明され、最後にディスカッションとまとめが行われました。両日とも長谷川技術職員が実習の安全管理及び記録、サポートを行いました。

record and text/長谷川 敦史

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フィールド 業務報告

マツ枯れ防止のための樹幹注入剤施工2023

2023年4月13日にマツ枯れ防止樹幹注入剤を施工しました。薬剤は昨年から施工を開始したマッケンジーで、樹脂流出の少ない時期に施工が限定される従来のマツガード等の薬剤に比べて施工適応時期が広いため、この時期の施工が可能です。施工は4.5~6mm径のドリルで深さ3~8cmの孔をあけて、その孔に薬剤を注入します。幹径によって孔数が変わり、当試験地では省力化のため薬効を2年間持続させるため、2ml/孔としています。昨年は5mm径で5cmの孔をあけて、2mlの薬剤を注入するのに10分程度かかったため、今年度は6mm径で6cmの孔としたところ、2mlを20秒程度で注入することができました。注入後は、孔を木栓や癒合剤で塞ぎますが、孔から樹脂が出てくることを確認するため、後者を採用しています。
また、今年度はゴヨウマツ類に加えて、現存数が減少している2葉マツの一部にも施工しました。今後は他のマツ類や剪定したマツにも施工対象を広げることを検討しています。

text/長谷川 敦史

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フィールド 業務報告

見本樹植栽

苗畑で育成したマンシュウクロマツ(Pinus tabulaeformis Carr.)の新植及び補植と見本樹として植栽していたチョウセンゴヨウ(Pinus koraiensis Sieb. et Zucc.)の移植を2023年3月に行いました。

新植及び補植

マンシュウクロマツは2007年に導入した種子を翌年に播種し、実生苗を10年以上苗畑で育成して3本が現存していました。育成期間が長く樹高が2m以上となったこと、植栽地と土壌環境が異なること、寄植えに近い状態であったこと等を考慮して、昨年10月に根回し(根元周囲の根系をきれいに切断し、細根を多数生じさせ、移植後の活着率の向上および良好な生育を促す技術の一つ)を行っています。2本は見本園に、残り1本はマツ見本林に補植として植栽しました。根回し期間が不十分だったとはいえ、若い個体のため、細根の発生を期待していましたが、新たな根はほとんど見られませんでした。さらに下部に硬い粘土層があるため、地下方向にも根がほとんど伸長していない状態でした。

新植地では、植穴で生じた土とバーク堆肥を混合して土壌改良を行った後、排水性を考慮して高植えとしました。前日に降雨があり、土壌中に水分が十分に含まれていたため、土極め(植栽種の根鉢に土を細い棒などで押し固め、空隙を少なくして根の乾燥を防ぎ、生育不良を起こさないように配慮すること)を行ってから灌水のみとしました。最後に支柱を設置し、一般的ないぼ結びで樹木を固定しました。試験地では、植栽木への獣害被害が懸念されること、獣害防除対策の省力化を図ることから、苗木の育成期間を長く設定しています。

移植

昨年実施した根回し作業から1年が経過したため、細根の発生を期待しながら掘り進めていきましたが、期待した効果は得られませんでした。根鉢は崩れることなく安定していましたが、念のため根巻きを施しました。本来は根鉢を包み込むようにしますが、今回は簡易的に、幅の狭い麻布を放射状に巻き、その上から荒縄を巻き付けました。
移植場所は近接地のため、重機と小型車で運搬を行い、先の新植と同様に改良後の土で埋め戻しを行いました。
4月に入り、順調に新芽が伸長していることを確認できたので、ひとまず移植は成功しました。今後も生育状況を注視していきたいと思います。

record and text / 長谷川敦史

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お知らせ

2023年度春の自然観察会開催中止について

新型コロナウィルス(COVID-19)感染拡大防止のため、2020年度から引続き、今年度も春の自然観察会の開催を中止させていただきます。
皆様のご理解、ご協力をよろしくお願いいたします。