2026年9月28日、令和8年度全国大学演習林協議会秋季総会がJR博多シティ10階会議室にて開催され、荒井 亮 技術係長および永井 貴大 専門職(技術)が、第28回森林管理技術賞を受賞しました。
本協議会では、大学演習林等において教育・研究の支援や森林の維持管理に貢献した技術職員の業績を称えるため、1998(平成10)年に森林管理技術賞を制定し、翌1999年度から表彰を行っています。令和8年度の表彰者として、京都大学フィールド科学教育研究センターから荒井 亮 技術係長および永井 貴大 専門職(技術)が選ばれました。
授賞理由は以下の通りです。
芦生研究林 荒井 亮 技術係長
技術貢献賞【国際種子交換における植物園との連携による生物多様性研究促進と業務効率化】
荒井氏は、長年にわたり国際種子交換事業に携わり、種子交換業務全般に関する高度な技術と豊富な知識を培ってきた。近年、植物多様性の保全や遺伝資源研究における種子交換の重要性が増す一方、国際手続きの厳格化や植物検疫制度の強化、国際郵便の電子データ化義務などにより、単独での事業継続が困難な状況に直面した。荒井氏はこれらの課題に対し、上賀茂試験地を中心に芦生研究林や北海道研究林等と連携した広域的な種子採種体制を新たに構築し、質・量ともに充実した種子資源の供給基盤を整えた。
さらに、同氏は同様の事業を行う武田薬品工業株式会社京都薬用植物園との意見交換を重ね、双方の強みを活かした連携の可能性を見出し、2024年1月の協定締結へと導いた。本連携において、高度な専門性を要する植物検疫手続きや海外機関との調整・発送事務を同植物園が担うことで、大学側の事務負担を大幅に削減させた。連携初年度(2023〜2024年度)には海外78機関から872種の提供依頼が寄せられ、単独実施時と比較して依頼機関数・種数ともに約2倍へと拡大させるなど、国際的な生物多様性研究の促進と業務効率化の両立に多大な貢献をした。
専門性の高い管理技術の高度化と、持続可能な産学協働による優れた実践例が求められる社会情勢において、研究教育の発展と生物多様性保全を支えていく人材として、活躍が期待できる。
北海道研究林 永井 貴大 専門職(技術)
若手奨励賞【コロナ禍におけるデジタル・コンテンツ制作による教育貢献】
永井氏は、京都大学フィールド科学教育研究センター採用後、森林管理技術や資格の積極的な習得に取り組んできた。特筆すべき功績として、コロナ禍を機に取り組んだデジタル・コンテンツによる教育活動が挙げられる。芦生研究林において360度画像やVR動画等の制作を中心となって推進し、KDDI株式会社や舞鶴工業高等専門学校と協力したVR動画制作を通じて学生教育にも寄与した。これらのコンテンツはオンライン・対面・ハイブリッドの実習や一般向けイベントで活用され、社会教育に大きく貢献するとともに、報告の発表や研修講師を通じて技術職員の技術向上にも寄与した。
さらに、現場技術の鍛錬にも精力的に取り組み、林道補修、重機運転、倒木処理、調査補助などを率先して実施している。教員指導のもと真菌類(きのこ)の識別技術も習得し、芦生・北海道研究林でのインベントリ調査において、未報告9種の確認や融雪早期化に伴う3月の子実体発生の発見など貴重な知見を得て報告を発表した。デジタル技術と幅広いフィールド技術を融合させ多方面で成果を挙げる同氏の功績は極めて大きく、若手奨励賞に誠にふさわしい。
(参考)全国大学演習林協議会 森林管理技術賞
