京都大学東北復興支援学生ボランティア活動

海域陸域統合管理学研究部門 特定准教授 佐藤 真行
森林生態保全学分野 准教授 德地 直子

(1) 第1回京都大学 学生ボランティアの派遣
 2011年8月26日から30日までの間、フィールド科学教育研究センターは京都大学の窓口となり、学生21名と教員1名、技術職員2名、事務職員1名を畠山重篤氏(社会連携教授)を主たる受け容れ先として宮城県気仙沼市の西舞根地区に派遣し、東北復興支援ボランティアに従事した。活動内容は、「海の回復は森の回復から」という森里海連環学のコンセプトをなぞるものとし、労働ボランティアだけでなく、地域の復旧に資するような調査を進める研究ボランティアとして,河川の水質調査と鳥類の生態調査が行われた。
 活動第一日目は、「ひこばえの森」にて広葉樹約70本を植樹した。午後は舞根湾に移動し、津波により消失した養殖筏を製作するための杉丸太の山出しに従事した。
 活動二日目は、前日に山出しした杉丸太を使って筏づくりに従事。大きさ18m×12mの筏を製作した。午後からは、水山養殖場の対岸にある「かき研究所」の被災家屋の瓦礫を撤去し清掃した。夕方には、満潮を利用して、製作した筏を海に送り出した。この日の夕食後、畠山信氏から震災時の体験と、西舞根における復興活動についての講演が行われた。
 活動三日目は、午前は引き続き被災家屋の瓦礫の撤去、午後は牡蠣の種をロープに付ける作業に従事した。実際の作業はこの日で終了であったが、森から海にかけての作業に関わることができ、「森里海連環」に沿った一連の活動が完遂された(なお、2名の技術職員は、3日間とも杉の伐採作業に従事した)。

(2) 第2回京都大学 学生ボランティアの派遣
 2012年3月19日から23日まで、学生23名・教員2名・技術職員2名・事務職員1名が参加した。今回も京大時計台からバスでの移動となり、19日は移動のみとなったが、車内で議論するなど有効に使われた。今回の宿泊場所は、冬季ということもあり唐桑半島の国民宿舎を利用したため、毎夜ボランティア活動のミーティングが可能であった。20日は前回に続き宮城県気仙沼市西舞根地区での森林間伐作業ならびに伐採された木材の運搬に従事した。21日は木材運搬に加えて、牡蠣養殖補助を行った。技術職員はより難関な場所に変えて、杉の伐採に従事した。そして22日は気仙沼高校で高校生向け大学案内を行った。また,学生のうち2名は研究ボランティア活動として津波と地盤沈下の被害を受けた西舞根川沿いの土壌ならびに渓流水調査を行った。
 今回は,海や森での労働作業に加えて,学生が自主的に企画した高校生との交流を行った点に特色がある。第1回ボランティアに参加した学生を中心に,被災地である気仙沼高校教員の方々に連絡をとったり,第2回参加の学生たちに声をかけたりして,計画が立てられた。気仙沼高校で行った進学のための学習方法や大学での生活や研究についてのガイダンスはボランティアの最終日だったが,好評のうちに終わり,引き続きこのような交流を続けることの希望が寄せられた。フィールド研が窓口となり、今年度は2回の学生ボランティア派遣を行ったが,今後も継続していくことの重要性と難しさも確認された。

 2011年度の2度にわたる活動期間中,社会連携教授の畠山重篤氏,NPO法人森は海の恋人の畠山信氏,ならびに受け入れに携わっていただいた皆様に感謝申し上げます。

年報9号  2012年10月 p.7

(参考)東北地方復興支援学生ボランティア案内ページ