カテゴリー
学生実習

京都大学「ILASセミナー:有人宇宙学実習」実習報告

 2023年8月20日-21日

 有人宇宙学実習が行われ、合計9名の学生が参加しました。この実習は地球上の多様な環境について知り、人類が地球外惑星や宇宙空間で生活するために必要な環境について学ぶことを目的としています。
 
 芦生研究林では、森林環境について学び、森林生態系の維持について必要なことを理解するため、講義および野外実習が行われました。

 1日目に枡上谷にある環境省モニタリングサイト1000の調査プロットへ行き、そこで行われている調査の説明を受けた後に、毎木調査を体験しました。その日の夜は、枡上谷の毎木調査データを使って、炭素蓄積量の推定を行いました。

 2日目は集水域全体を防鹿柵で囲った試験地を見学し、シカの過採食に起因する森林生態系の機能や生物相の変化について学びました。例えば、芦生研究林ではシカの過採食が生じるようになって、不嗜好性植物のバイケイソウが増えました。その後、その植食者であるバイケイソウハバチが増えました。こうした見学を通じ、変動、回復力、レジリエンス、代替安定状態など生態系の特性を学びました。
 
 最後に、土井隆雄先生(宇宙飛行士)が「巨大な生命体」と称した大カツラを見学しました。

 学生たちは、森林生態系の巨大な構造や複雑性や生態系としての特性を学び、そうした環境を人工的に作り出すことができるかを議論しました。

 土井先生は人類の進化のなかで宇宙進出を位置づける有人宇宙学を語られ、芦生研究林の教職員も壮大なスケールの視点に学ばせていただきました。