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イベント お知らせ

(終了しました)第4回 美山×研究つながる集会開催のお知らせ

開催終了しました。たくさんのご参加ありがとうございました。

第4回 美山×研究つながる集会
「地域を元気にするタネをみつける〜人口減少社会における担い手不足と向き合う〜」を2024年3月3日(日)に京都丹波高原国定公園ビジターセンターにて開催します。詳細は以下の通りです。またチラシはページ下部にてダウンロードできます。

日時:2024年3月3日(日)13:00〜16:00
場所:京都丹波高原国定公園ビジターセンター
形式:ハイブリット(会場+オンライン)
主催:「森里連環学に基づく豊かな森と里の再生」研究会、京都丹波高原国定公園ビジターセンター運営協議会
協力:京都大学フィールド科学教育研究センター芦生研究林

目的:定住者支援・観光にもとづく地域振興などを先進的にすすめてきた美山町。しかし、コロナ禍を経て、過疎・高齢化が引き続き進行し、農業・教育・福祉・社会サービスなどの多方面で変化が生じ、担い手不足が深刻化しています。
 美山×研究つながる集会は、研究者と美山町の関係者、美山町関係者同士、そして研究者同士が交流し、そこから地域の課題を解決する協働の取組が発展することを趣旨として、2020年から開催してきました。
 第4回目は、人口減少・担い手不足に直面するコミュニティでは何が起こり、それをどのように捉えたらいいのか、をテーマとして設定し、課題共有、課題解決にむけた取組の紹介、協働促進を目的とします。
 人口減少社会における地域振興コンサルティングを各地で手掛けてきた嶋田俊平さんから話題提供をいただきます。そして美山町内での取組を展開している団体に取組事例を介いただき、議論をします。




 人口減少・担い手不足に直面するコミュニティでは何がおこり、それをどのように捉えたらいいのか。
 人口減少をどこまで食い止められるのか?関係人口が増えれば課題は解決されるのか?不可避だとすれば、どのようなコミュニティを構築すべきなのか?成否を分けるポイントは何なのか?我々は何をどのように目指すべきなのか?こうした問いをみんなで考え、共有する時間を目指します。
 加えて、コロナ禍で疎遠になった研究者と地域のつながりの促進や、地域振興を目指す新たな取組の共有も目指します。


石原 正恵 芦生研究林 林長

参加対象者:美山町住民、美山町の団体にご所属の方、美山町で研究している(研究しようと考えている)研究者・学生

プログラム
司会:赤石大輔(大阪産業大学)
13:00-13:05   開会挨拶  
13:05-13:10   企画説明  石原(西岡)正恵(京都大学芦生研究林 林長)
13:10-14:10(60分)   「ふるさとの夢をかたちに〜地域に価値を生み出す持続可能な事業モデル」嶋田 俊平氏(株式会社 さとゆめ 代表取締役・オンライン講演)





 「すべての人がふるさとに誇りを持ち、ふるさとの力になれる社会」を目標に、地域の戦略策定や計画づくりだけにとどまらず、その先にあるマーケティング戦略や商品開発、販路開拓、そして施設運営、組織経営まで、一気通貫で支援する「伴走型コンサルティング」会社「さとゆめ」を創立。
 日本各地40か所以上の地域に関わる。著書に「700人の村がひとつのホテルに 「地方創生」ビジネス革命」(2022年)。

株式会社 さとゆめ 代表取締役 嶋田 俊平 氏

休憩
14:20-14:35(15分)  「美山町の振興会の取組紹介」下伊豆 仁史氏(美山町地域振興連絡協議会会長)
14:35-14:50(15分)  「知井振興会の課題」河野 賢司氏(知井振興会事務局長)
14:50-15:10(20分)  「美山まちづくり委員会の取組」大野 光博氏(美山まちづくり委員会委員長)
15:10-15:50   意見交換
15:50 閉会挨拶 徳地直子(京都大学フィールド科学教育研究センター・教授) 

申し込み方法
1)会場参加:事前申し込み不要
2)オンライン参加:申込フォーム(Googleform)から申し込んでください。

申し込みフォームはこちら→https://forms.gle/y92PUFFHmx4tLC1s9 2月29日締切

2024年3月1日にご登録いただいたメールアドレス宛にZoomのURL・参加方法等をご連絡いたします

過去に行った美山×研究つながる集会については以下をご覧ください。
第1回:2020年2月21、22日 「どうしたらいい?地域と研究者のしあわせな出会い」
第2回:2021年2月21日 「つながることから始める・始まる!」(オンライン開催)
第3回:2023年2月28日 「大学と地域をつなぐッ!」(ハイブリット開催)

なお、2022年は新型コロナウイルス感染拡大予防のため開催を中止しました。

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お知らせ

「大学の森」が見た森と里の再生学-京都芦生・美山での挑戦

 2024年1月22日に、『「大学の森」が見た森と里の再生学-京都芦生・美山での挑戦』が京都大学学術出版会から出版されました。



『「大学の森」が見た森と里の再生学-京都芦生・美山での挑戦』
石原 正恵・赤石 大輔・徳地 直子 編

A5並製・420頁
ISBN: 9784814005048
発行年月: 2024/01
本体: 3,600円(+税)

【内容】
祖先が私たちにつないでくれた、この豊かな森と里。
これらを私たちのあとに生まれてくるすべての人につないでいきたい。(本書より)

 シカの食害・地球温暖化により変わる森、過疎・高齢化に直面する里。日本各地が直面するこれらの課題は互いにつながっている。だから、学問の垣根を越えて、研究者と社会の垣根を越えて、一緒に考え行動しよう。こうした視点に基づき、100年続く大学の森である芦生研究林と地元美山町を舞台に、理系から文系までの研究者が、地域住民・行政・企業などと、森と里の共再生を目指し本気の超学際研究に取り組んだ。

 本書では、研究成果の紹介だけでなく、「言うは易く行うは難し」の超学際研究の始まりから展開の裏側を描く。多様な価値観と立場が交錯する中での協働のコツや苦労、研究者の変化、継続のヒントまで。

 「本書を読んだ方が,「こいつら,あほやなぁ.自分たちにもこれくらいできるわ」と思ってくださり,豊かな森と里の再生にむけて,楽しくみんなで学び合いながら手を取り合っていけたら,編者らとしては本望である.」(本書より)

【目次】
はじめに [徳地直子]
序 章 芦生の森から生まれるつながり [徳地直子]
第1章 大学・市民・植物園の連携で希少植物を守る [阪口翔太]
 コラム 芦生研究林におけるナラ枯れ [山崎理正]
第2章 回復力を失った森林生態系の再生にむけて[石原正恵]
第3章 トチノキの利用と保全の両立を目指して [坂野上なお・石原正恵]
第4章 ツアーガイドと行う地域の生物多様性調査 [赤石大輔]
 コラム ガイドのニーズと研究者のニーズ [赤石大輔]
 コラム 美山町のエコツーリズム [赤石大輔]
第5章 地域資源ブランドによる農産加工品の高付加価値化 [内田恭彦]
 コラム 芦生地域の産業の変化 [内田恭彦]
 コラム 中山間農業地域の現状 [内田恭彦]
第6章 地域が目指すツーリズムの姿を探る [清水夏樹]
第7章 地域との協働を育むプラットフォームづくり [福島誠子・赤石大輔]
 コラム 山の健康診断 [赤石大輔]
 コラム 屋久島学ソサエティ  [福島誠子・赤石大輔]
 コラム 協働のプラットフォームづくりの背景 [福島誠子・赤石大輔]
終 章 豊かな森と里の再生に向けて [徳地直子・赤石大輔・石原正恵]
 コラム 地域ステークホルダーとの対話の技法 [石原正恵]
あとがき [石原正恵・赤石大輔・徳地直子]

*本書は、公益財団法人日本生命財団の協力により刊行されました。
 著者リスト他、書籍の詳細は、京都大学学術出版会ウェブページはこちらをご覧ください。

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フィールド

「菌類ワークショップ」開催報告

 菌類多様性研究の促進と若手研究者の育成を目的として、フィールド調査とディスカッションを行うワークショップを10月27-29日に開催しました。ワークショップは、教育関係共同利用拠点「人と自然のつながりを学ぶ森林フィールド」の事業の一環として行いました。

 講師として、橋本陽 (理研BRC)、山本航平 (栃木県立博物館)、升本宙 (信州大学)の3名を迎えました。参加者は、全国の大学・大学院から10名が集まりました。

 フィールドワークでは、講師が研究対象とする菌類を調査・採集する様子を参加者が間近で見学することで、野外での探索や観察のポイントを直接教わりました。その後、屋内に移動し、採集した標本の顕微鏡観察や講師の講義、参加者の研究紹介を行いました。菌類の観察方法や菌類研究の最新トピックの共有に加え、参加者の研究や菌類研究の今後についての熱い議論が展開されました。

 参加者からは、「講師と菌類目線で林内の散策が出来て新たな発見があった」、「菌類を研究する同世代の学生間でたくさんの議論を交わすことができて良かった」という感想をもらいました。

 今回採取された標本の中には、未記載種や日本新産種と考えられるものも含まれます。調査や今後の解析によって、芦生研究林の菌類多様性の解明が進むことが期待されます。今回のワークショップを通じて、参加者自身の研究の発展や、将来の共同研究や新たな研究の方向性などを考えるきっかけになったのではないでしょうか。菌類研究の奥深さや面白さに参加者が触れるきっかけになれば嬉しく思います。

 こうしたフィールド研の研究林・試験地を利用したワークショップは、対象生物やテーマを検討しながら今後も継続的に開催する予定です。今後の開催に関しては、フィールド研や芦生研究林のホームページやSNSで情報発信します。

 
 たくさんのきのこがありましたが、今回の参加者の興味は下の写真のように、きのこらしくない見た目のきのこや地衣類(と地衣類につく菌類)、病原菌などにあったようです。

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イベント お知らせ

(終了しました)「どうする?私たちと森とのつながり!」京都丹波高原国定公園ゼミ第四講 開催のお知らせ

 

沢山の方にご参加いただきありがとうございました。(2023/12/18 追記)

12月17日に京都丹波高原国定公園ビジターセンターにて行われる講演会にて、石原林長が「森の恵みはどう変わってきたか:資源から心の豊かさへ」というテーマで講演を行います。芦生研究林を事例に木質資源利用から研究・観光・教育利用、さらに森林生態系サービスとその先の展開などを講演する予定です。
 ご興味のある方は、ぜひご参加いただければ幸いです。

 詳細及び申し込みにつきましては京都丹波高原国定公園ビジターセンターのHPからご確認ください。
 なお、芦生研究林では申し込みの受付をしておりません。申し込みは全て京都丹波高原国定公園ビジターセンターで行っていますので、ご注意いただきますようお願いいたします。

 以下からチラシ(pdf:1.1MB)をダウンロードできます。

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映画「唄う六人の女」の公開にむけて

石原正恵(芦生研究林林長)
2023.10.23



 2023年10月27日公開予定の映画「唄う六人の女」の森のシーンのいくつかは芦生研究林内で2022年に撮影されました。芦生研究林は大学の教育研究の場として京都大学が管理しています。

 この度映画撮影を許可したのは、映画のテーマが、芦生研究林、そしてその所属部局である京都大学フィールド科学教育研究センターのミッションである「森里海連環学」に通じるところがあったからです。

 「森里海連環学」の「里」というのは人間社会を指します。つまり、森・ 川・ 海と人間社会がつながっている、しかしそのつながりが失われ変化してしまった結果、生態系や人間社会に大きな問題がおこっている。それを様々な学問分野や社会の皆様と協働し、解決を目指していく、それが「森里海連環学」です。

 我々は毎日、この芦生研究林で教育研究活動と森の保全を行っています。ほぼ毎日森と向き合って仕事をしています。しかし、日本国民の大多数はこうした農山村から遠く離れた大都市に暮らし、森と日々の暮らしとのつながりを感じることもなく暮らしています。
 
 かつて、森は、炭・薪などのエネルギー、肉・魚・木の実・きのこなどの食料、木材など、我々の生活に不可欠な資源を供給し、信仰の対象でもあり、文化が形成される場でもありました。しかし、そのような暮らしを現在でも続けているのは農山村でも一部の人だけとなってしまいました。そして、森は、地球温暖化やシカの食害など、遠く離れてくらす人々も含めた人類による環境改変により、多くの問題に直面しています。我々を含め日本の森林研究者の共同研究(環境省モニタリングサイト1000)から、日本の森林において、今まで見られていた寒い気候を好む樹種が減り、より暖かい地方の樹種が増えていることがわかってきました。また日本各地で増えたシカが下草を食べ尽くし、様々な植物や昆虫などが姿を消していっています。皆さんの日々の生活と森はつながっているのですが、それに気づきにくいので、なおさら問題解決が難しいのです。

 こうしたことを伝えたくて、我々は日々活動していますが、接するのは学生さんなど森へ関心のある方がほとんどです。どうすれば、渋谷のスクランブル交差点や道頓堀におられる皆さんが森に思いを馳せて、少しでも森の価値や課題、自分自身とのつながりに気づいてくれるのでしょうか。

 「唄う六人の女」では、森や農山村に関心のなかった登場人物が、最終的にはそれらの価値に気づいていく映画とみることもできるのではないでしょうか。またエンターテーメントして本映画を見ていただけた皆さんが、森の素晴らしさやそこに棲む生き物たち、そして皆さんと森のつながりに気づいていただくという二重の気づきがあるのではと期待しています。さらに、本映画で描かれる開発は、かつて芦生の森において計画されたダム建設とも重なります。われわれ人類が森とどのような関係を結んでいくのかというテーマを提示してくれています。
 
 また本映画は我々にも気づきを与えてくれました。それは、本物のちからです。CG技術によって実物以上に美しく幻想的な自然が描かれている映画はたくさんあります。しかし、本映画に描かれる森は、日々我々が活動し、「美しい、幸せだなあ」と思っている本物の森がそのままに描かれています。改めて、フィールドの力に自信を持ち、またこの森を未来の世代に引き継いでいかなければならないと思いを強くしました。

 もう一点は、アカデミアと芸術・エンターテーメントという異なる分野の人の交流が可能ということです。撮影による環境負荷についてもご理解いただき、柔軟に撮影シーンや方法を検討いただきました。撮影方法や場所から、現場まで歩くルートに関してまで、撮影スタッフ、芦生研究林、ガイドさんの間で事前に度重なる打ち合わせを行い、調整や工夫をしてまいりました。ご理解・配慮いただきました石橋監督、撮影スタッフや俳優の皆様にお礼申し上げます。この経験は我々に全く異なる分野の皆様との理解・協力が可能であると改めて感じさせてくれました。

 では、そんな森を見たいという皆さまへ。芦生もりびと協会のガイドツアーをご利用いただくことで撮影現場の森をご自身で体験いただくことができます。遭難を防止し、貴重な自然を守り、そして農山村の持続的な観光産業を守るためにも、ガイドツアーをご利用頂きますようお願いいたします。また芦生の森を守り、森の秘密を解き明かす研究を進め、若い世代を育てるために、芦生研究林基金へのご寄付をぜひお願いいたします。

Suzuki SN, Ishihara MI and Hidaka A (2015) Regional-scale directional changes in abundance of tree species along a temperature gradient in Japan. Global Change Biology, 21: 3436–3444. DOI: 10.1111/gcb.12911.

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学生実習

大阪公立大学「緑地保全学研究グループ実習」実習報告

 2023年10月17日~10月19日

 上記日程で大阪公立大学の実習「緑地保全学研究グループ実習」が行われ、学生15名が参
加しました。

 1日目は森林軌道で植物採集、2日目は大規模防鹿柵の見学と植生調査、3日目は幽仙谷か
ら落合橋の区間で植物採集を行いました。
 参加学生は植物への関心が高く、普段は見ることができない日本海型の植生を意欲的に学
んでいました。
 
 3日間とも秋晴れに恵まれ、紅葉が始まった芦生研究林の植生を堪能してもらえたと思い 
ます。

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学生実習

京都大学「森林利用学実習」実習報告

9月25日-9月29日

 上記日程で京都大学農学部の実習である2023年度「森林利用学実習」を開催しました。初日は南丹市美山町大野にて美山森林組合の伐採現場を見学し、プロセッサやスイングヤーダといった高性能林業機械の見学、伐採から市場までの木材の流れ等を作業員の方の説明を聞きながら見学しました。
 2日目は研究林内にてコンパス測量を用いた森林調査プロットの設定、毎木調査、樹木位置おとし、樹幹投影図作成を行いました。
 3日目は研究林にて、職員による立木伐採の見学、輪切り体験、木材の現存量調査を行いました。最終日は、講義室にて3日間のデータのまとめ、発表を行った後、北桑木材センターに向かい、社長による木材市場の説明、見学を行い実習終了となりました。

 伐採現場の見学から始まり、木材の流通を行っている市場を最後に見学することで、立木が伐採されてから売り払われるまでの過程をしっかり勉強できたと思います。また、自分たちも調査、作業を行うことで林業の大変さもわかり、良い経験になったと思います。

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学生実習

京都大学「研究林実習Ⅰ」実習報告

 8月28日-9月1日
 上記日程で京都大学農学部の実習である2023年度「研究林実習I」を開催しました。8月28日午後~8月30日午前と、8月30日午後から~9月1日午前までの前半・後半の2グループに分かれての実習でした。前半グループの参加者は16名で、後半グループの参加者は28名でした。
 前半・後半とも実習内容は同じで、実習1日目は林内の標高が低い場所で樹木識別を行いました。
 2日目は林内の標高が高い場所で樹木識別や、林内の大規模防鹿柵の見学等を行いました。
 また、代表的な樹木の腊葉(さくよう)標本作成を通じて、樹木の観察や識別のポイントを学びました。
 標高により自生している樹種に違いがあることや、鹿の影響による林内植生の変化等を、実地にて学ぶことができたと思います。

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学生実習

人間環境大学「奥山・里山管理実習」実習報告

 2023年8月23日~25日

 上記日程で人間環境大学の学生実習「奥山・里山管理実習」が開催され、学生18人が参加しました。この実習では奥山と里山の森林植生の違いや森林で起きている様々な問題を学ぶことを目的としています。

 1日目は上賀茂試験地で、技術職員の解説で里山や斧やチェーンソーによる薪づくりの見学などを通じて、里山の生態系と暮らしについて学びました。
 2日目は芦生研究林の見学と調査体験を行いました。午前中は林内散策や大規模シカ柵を見学しながら奥山の自然林について学びました。午後からはトチノキの調査、きのこの調査、人の営みと歴史の学習の3班に分かれて、それぞれの研究者の解説で芦生の自然や歴史を深く学びました。
 3日目は美山かやぶきの里で里地での暮らしを見学しました。その後、北白川試験地に移動して、技術職員の解説でj.Pod工法による建物の見学などを行ったあと、実習のまとめと意見交換を行いました。

 この実習では奥山と里山を研究・管理する複数の教職員からの解説がありました。これらの話から、森林の特徴に加えて、それぞれの場所で働く人と森の関りを学んでいただけたら幸いです。

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学生実習

京都大学「ILASセミナー:有人宇宙学実習」実習報告

 2023年8月20日-21日

 有人宇宙学実習が行われ、合計9名の学生が参加しました。この実習は地球上の多様な環境について知り、人類が地球外惑星や宇宙空間で生活するために必要な環境について学ぶことを目的としています。
 
 芦生研究林では、森林環境について学び、森林生態系の維持について必要なことを理解するため、講義および野外実習が行われました。

 1日目に枡上谷にある環境省モニタリングサイト1000の調査プロットへ行き、そこで行われている調査の説明を受けた後に、毎木調査を体験しました。その日の夜は、枡上谷の毎木調査データを使って、炭素蓄積量の推定を行いました。

 2日目は集水域全体を防鹿柵で囲った試験地を見学し、シカの過採食に起因する森林生態系の機能や生物相の変化について学びました。例えば、芦生研究林ではシカの過採食が生じるようになって、不嗜好性植物のバイケイソウが増えました。その後、その植食者であるバイケイソウハバチが増えました。こうした見学を通じ、変動、回復力、レジリエンス、代替安定状態など生態系の特性を学びました。
 
 最後に、土井隆雄先生(宇宙飛行士)が「巨大な生命体」と称した大カツラを見学しました。

 学生たちは、森林生態系の巨大な構造や複雑性や生態系としての特性を学び、そうした環境を人工的に作り出すことができるかを議論しました。

 土井先生は人類の進化のなかで宇宙進出を位置づける有人宇宙学を語られ、芦生研究林の教職員も壮大なスケールの視点に学ばせていただきました。