2024年8月19~20日に、京都大学全学部生向けのILASセミナー*「有人宇宙学実習」が開催され、9名の学生が参加しました。
* ILASセミナーは、学部新入生を主な対象として、各学部・研究科・研究所・センター等の本学教員が少人数ゼミナール形式で授業を行う全学共通科目です。問題を見つけ解決するという学問のプロセスを体験し、講義による知識の伝達ではなく、学生が学問することを学ぶ、いわば「京都大学への入門」授業です。
将来、人間がほかの惑星で生活することを想定して、その時に人間の生存のために人工生態系が不可欠になります。この実習では、人工生態系を作るために、本物の生態系として、森林生態系の働きや重要性を学ぶことを目的にしています。
1日目は枡上谷にある環境省モニタリングサイト1000の調査プロットへ行き、毎木調査を体験しました。その日の夜には枡上谷の毎木調査データの解析を行い、森林の炭素蓄積量を推定しました。
2日目は集水域全体を防鹿柵で囲った試験地を見学して、シカによる過食採を通じ、生物間相互作用や、森林生態系の機能の安定性と回復力について学びました。
参加者の多くは森林分野を専門としていませんでしたが、実地で学ぶことで宇宙分野と森林や生態系の関連性を実感してもらえたかと思います。
実習を引率された土井隆雄先生は、世界で初めての木造人工衛星の開発に携わられており、宇宙開発での木材の有用性の話も聞くことができ、木材の新しい可能性を学ばさせていただきました。芦生研究林のホオノキも人工衛星に活用していただくため提供しています。