現在、2026年度公開森林実習I「近畿地方の奥山・里山の森林とその特徴」の受講者を募集しております。
参加を希望される場合はこちらをご覧の上、
特別聴講学生として受講する場合は2026年6月15日(月)
特別聴講学生とならずに受講する場合は2026年7月13日(月) までに必要書類をご提出ください。
現在、2026年度公開森林実習I「近畿地方の奥山・里山の森林とその特徴」の受講者を募集しております。
参加を希望される場合はこちらをご覧の上、
特別聴講学生として受講する場合は2026年6月15日(月)
特別聴講学生とならずに受講する場合は2026年7月13日(月) までに必要書類をご提出ください。
芦生研究林の貴重な植生を維持することを目的に、下記日程で銃器による捕獲を行います。
つきましては入林者の安全を確保するため、下記のとおり終日入林を禁止します。
実施日:令和8年4月28日(火)、5月1日(金)(予備日)
実施日は終日銃器捕獲を行いますので、大変危険です。
下記日程におきまして時間に関係なく絶対に研究林内へ立ち入らないで下さい。
In order to preserve the valuable vegetation of the Ashiu Research Forest, we will be conducting a cull using firearms on the dates listed below.
Therefore, to ensure the safety of visitors, access to the forest will be prohibited all day on the dates listed below.
Dates: Tuesday, April 28, 2026; Friday, May 1, 2026 (Reserve Date)
As firearm-based trapping will be conducted all day on these dates, the area is extremely dangerous.
Please do not enter the research forest under any circumstances on the dates listed below, regardless of the time of day.
(元)京都大学人間・環境学研究科
相関環境学専攻
増田 和俊
芦生研究林は西日本最大級の天然林が残っており、1000種を超える維管束植物が生育しているなど極めて種多様性の高い地域として知られています。その中には各種レッドデータブックに記載されるような希少植物が多数生育していますが、これらの希少植物の多くはもともとの個体数が少ないうえ、2000年前後より問題となっているニホンジカの食害によって絶滅の危機に瀕しています。私たちは、こうした希少植物の地域絶滅を回避するため、自生地から種子を採取して食害の危険性がない安全な避難場所で栽培する「域外保全」を行っています。
適切な域外保全を行うにあたって、気を付けなければならない点の1つに採取する種子親の血縁関係があります。一般に生物は血のつながりが近い(クローン、兄弟など)もの同士が交配すると、その子孫の成長や繁殖に悪影響が出ることが知られています。従って、せっかく野外でたくさんの種子を採ってきても、それらすべてが同じ親由来の兄弟であった場合は、世代更新が上手くいかずに域外保全集団が途絶えてしまうかもしれません。このような危険性を回避するためには、事前に域外保全を行う個体やその親が持つDNA情報から血縁関係を調べる遺伝分析が必要です。しかし、従来の方法では種ごとに解析をカスタマイズする必要があることやデータ取得に時間と手間がかかることから、スピーディーに保全を進めにくいという欠点がありました。最新の遺伝分析手法の1つ(MIG-seq法)はこれらの欠点を改善できる可能性があったため、私たちはこの手法が域外保全に適用できるかどうかを、芦生研究林に自生し京都府絶滅寸前種であるヒメシャガ(アヤメ科)を研究対象として調査しました。
ヒメシャガの自生地は研究林の奥深くであり私たち研究者だけではアクセスが難しかったため、現地調査の際は林内に詳しい技術職員の皆様にご同行いただきました。自生地から採取した種子は大学の圃場で栽培し、これらの血縁関係を調べるため種子親に対して遺伝分析を行いました。その結果、最新の手法は従来の手法と遜色なく域外保全に適用でき、例えば現地では別株だと思っていた種子親の中にクローンが含まれていることや、ある種子親由来の種子は全て母親と父親が同じである自殖によって生まれたことなどが分かりました。今後は今回使った遺伝分析手法を他の希少植物に対しても用いることで、域外保全を行う種を増やしていきたいと考えています。



京都大学 大学院 理学研究科
生物科学専攻 動物行動学研究室
惣田 彩可
鳥類は食物連鎖の上位に位置しており、自然環境の変動を反映する指標となる生物です。広大な面積の原生的な森林を残す芦生研究林には、多様な鳥類が生息していることが期待されます。一方で、2000年以降はニホンジカが増加したことにより、下層植生が減少してしまっています。これにより、下層植生を利用する種が減少することが懸念されています。
芦生研究林の鳥類相を体系的に調べた研究は、1971年のものと1989年のものが最後であり、合計108種が記録されています。しかし、これらの記録はシカの食害によって芦生研究林の景観が大きく変化する前のものであり、研究林の鳥類相の現状は明らかになっていません。そこで、私たちは、芦生研究林内を歩きながら観察した鳥類を記録するルートセンサス、かすみ網を用いて鳥類を捕獲する標識調査、さらに文献調査を行い、2000年以降に記録された鳥類を整理しました。
その結果、芦生研究林には16目44科123種の鳥類が生息することが明らかになりました。1971年と1989年の記録と比較すると、23種が新たに追加された一方で、8種は今回の調査では確認できませんでした。新たに確認された種の一つであるソウシチョウは外来種であり、芦生研究林には2006年以降に定着したと考えられます。また、今回の研究で記録された種のうち、ノジコ、ウグイス、コルリ、ヤブサメなどの下層植生を営巣や採餌に利用する種は、今後の個体数の減少が懸念されます。
今回の研究で記録された123種のうち、環境省レッドリストに掲載されていたのは17種、京都府改訂版レッドリスト2021に掲載されていたのは45種でした。このことから、全国的にも、京都府内においても、芦生研究林は鳥類の多様性保全において重要な役割を果たしていると考えられます。
本研究は、芦生研究林の公募研究事業のご支援を受けて行いました。研究の遂行にあたり、ご協力いただいた皆様に感謝申し上げます。









上段左からヨタカ1・ヤマドリ1・ジュウイチ1、中段左からキバシリ1・アカゲラ2・クマタカ2、下段左からアカショウビン3・カヤクグリ3・ゴジュウカラ4
撮影者:1梶田あまね、2堀尾岳行、3國近誠、4谷口正一
<掲載論文>
惣田彩可, 梶田あまね, 梶田学, 今井健二, 堀尾岳行, 坂根勝美, 谷口正一, 國近誠, 藤井睦美. (2025) 芦生研究林における鳥類相の現状:改訂目録と保全への示唆. 森林研究. 84:11-20. http://hdl.handle.net/2433/298306
11月5日~7日にかけて、近畿大学農学部環境管理学専門実験・実習Ⅱが行われ、教員2名、TA1名、19名の生徒が参加しました。
この実習は森林生態系を成す植物・動物・菌などの多様な生物のほか、化学物質や無機的環境を含む森林資源について、これを持続的に利用し保全することを目標に、森林管理,林業,生物多様性,地域振興,環境教育など,多面的な視点から学ぶことを目的としています。芦生研究林では、原生的な森林植生、生物相、長期動態プロットなどの研究サイト、植生保護柵などを通じた生態系保全を見学しました。
初日は研究林到着後、芦生研究林の概要及び原生的な森の植生、気候等特徴について石原林長の講義を受けた後、暖温帯林の植生観察をするべく、森林軌道沿いを灰野集落跡地まで見学しました。スギやヒノキの人工林からコナラ、カシ、トチノキ、カエデ等多くの樹種の説明を加えながら熱心に見学が行われました。
2日目は、大面積長期森林動態プロットを見学し、そこでの研究成果を石原林長が解説しました。その後、長治谷で昼食をはさみ、大規模防鹿柵、小型柵の見学を行いました。芦生の山を特徴づけるアシウスギ・ブナ・トチノキについて、シカやクマなど獣害による被害状況について、人と森の関わり(かつて森で生活していた木地師)についてなど、多様な視点から残された貴重な植生と併せて学習しました。学生たちは、植生や芦生研究林の歴史について積極的に質問を行い、解説を聞きながらメモを取ったりと非常に熱心に学んでいました。
最後に見学を行った芦生研究林のシンボルでもある大カツラでは、木の大きさと着生している植物、その種類の多さに驚くとともに、木や植物の持つ力に興味津々の様子でした。
今年は紅葉が遅かったこともあり、学生さんは紅葉を楽しみながら、近大の講義で学んできたことを自然のなかで再確認したりと、五感を使い、とても熱心に受講していました。この実習での経験を活かし、生態系の在り方を多様な視点から考えられる人材となり、森林の持続的利用と保全が進むことを期待しています。




京都大学の広報室の取材がありました。広報誌「紅萠」第48号に芦生研究林の紹介と石原林長のインタビュー記事が掲載されました。
▼Instagram
https://www.instagram.com/reel/DQS8W_zDeL5/?utm_source=ig_web_copy_link&igsh=MzRlODBiNWFlZA==
▼Facebook
https://www.facebook.com/share/r/1PQ1DzSzpC/
▼X
https://x.com/univkyoto/status/1982629927246864670)
また、京都大学の公式SNSに芦生研究林の紹介動画を掲載していただきました。
京都大学 理学研究科
博士課程 福山 亮部
ニホンマムシは北海道から九州にかけて分布する約50cmの毒ヘビで、森林から田んぼ、人家近くまで幅広い環境に生息しています。一般的に本種は夜行性とされており、日中に活動するのは寒い時期や、体温を上げる必要がある妊娠中のメスなど、例外的な条件の時に限られると考えられてきました。しかし実際にはそれに限らない日中の観察例も多く、咬傷被害も昼夜を問わず起きています。本当にニホンマムシは夜行性なのでしょうか?その疑問を解き明かすため、野外のニホンマムシに電波発信機を取り付け、追跡し、いつどこで何をしているのかを昼夜を問わず確認することにしました。

図1. とぐろを巻いたニホンマムシ(Gloydius blomhoffii)
調査地にしたのは芦生研究林の軌道沿いの河川敷と森林です。河川敷は空がひらけており、開放的な一方、森林は木々に覆われ、地表も落ち葉や下層植生で覆われています。調査では9個体のニホンマムシを野外で捕獲し、電波発信機を取り付けたのち、元の場所に逃しました。その後電波を頼りに各個体を追跡し、数ヶ月に渡って記録をとりました。この発信機には温度を測る機能もあり、野外でのマムシの活動体温についても記録をとることができました。
合わせて9個体のニホンマムシについて計295回の記録をとったところ、昼夜共に多くの個体が出現していることがわかりました。出現には昼夜そのものの影響はなく、気温が有意に影響していることがわかりました。ニホンマムシは低温時には石の下や穴の中に隠れており、春や秋は寒い夜間の活動を避け、より暖かい日中の方が高い出現率を示すことが分かりました。一方、夏は気温が上がるため、昼夜どちらでも出現していました。実際に体温を見てみると、隠れている個体は出現している個体に比べ、体温変化が少なく、低温時でも比較的高い体温を維持できることもわかりました。また、調査地に設置した温度ロガーでも、地表部より地中の方が安定した温度変化を示しており、ニホンマムシが地中の穴に隠れることで体温調節をしている可能性が示唆されました。

図2:河川敷の石の下に隠れていたニホンマムシ

図3:月毎の出現率の推移
また、環境によっても出現率が異なり、森林では、河原よりも高い出現率を示しました。森林では落ち葉の色でニホンマムシが目立ちにくいため、捕食者などを避けるために隠れる必要性がなく、より高い出現率を示したと考えられます。

図4:森林の落ち葉の上でとぐろを巻くニホンマムシ
さらに各個体の移動距離や行動範囲についても調べたところ、1年のうち、8、9月に移動距離が長くなることもわかりました。しかしながら行動範囲は比較的狭く、行動圏は平均で1ヘクタール程度の範囲に収まりました。
本研究成果は、これまで主に夜行性だと考えられてきたニホンマムシが、実際には昼夜どちらでも活動する「周日行性」であることを示唆しています。この「周日行性」という概念は近年様々な分類群で報告されており、動物の活動性が古典的に考えられてきた「夜行性」、「昼行性」といった区分にとらわれず、環境や季節に応じて柔軟に変化するものであるという考え方が広まりつつあります。今回の結果は、ニホンマムシの生態を適切に理解するための重要な知見になるだけでなく、動物の活動性に流動性があるという近年のトレンドを補強するものでもあります。
また、ニホンマムシは強い毒を持ち、年間約3,000人の咬傷被害が発生していると推定されています。本種がいつ・どこで・何をしているかという本研究での知見は、マムシ咬傷被害を防止するための重要な基礎情報にもなります。
掲載論文
Fukuyama, R., Mori, A. (2025) Seasonal changes in movement patterns and body exposure frequencies of Mamushis (Gloydius blomhoffii) and their diurnal activity in a mountainous habitat of northeastern Kyoto, Japan. Journal of Herpetology 59(3): 172-178
DOI:https://doi.org/10.1670/23-065
2025年10月6~7日に、京都大学と龍谷大学の合同実習「宇宙森林実習」が開催され、京都大学1名、龍谷大学2名の学生が参加しました。
1日目は枡上谷の調査プロットへ行き、毎木調査を体験しました。その日の夜には枡上谷の毎木調査データの解析を行い、森林の炭素蓄積量を推定しました。
2日目は集水域全体を防鹿柵で囲った試験地を見学して、シカによる過食採を通じ、生物間相互作用や、森林生態系の機能の安定性と回復力について学びました。
参加者の多くは森林分野を専門としていませんでしたが、実地で学ぶことで宇宙分野と森林や生態系の関連性を実感してもらえたかと思います。
実習を引率された土井隆雄先生は、世界で初めての木造人工衛星の開発に携わられており、宇宙開発での木材の有用性の話も聞くことができ、木材の新しい可能性を学ばさせていただきました。芦生研究林のホオノキも人工衛星に活用していただくため提供しています。




9月24日~27日の日程で京都大学の実習「森林利用学実習及び実習法」が行われました。この実習は芦⽣研究林において、森林の毎⽊調査、森林の現存量調査、林業に関する知識と技術を習得することを目的として行われており、農学部3回生及び4回生の学生21人が参加しました。
1日目は南丹市美山町内にて美山町森林組合の伐採現場の見学を行いました。現場で稼働している高性能林業機械の見学や森林組合の職員の方々から現場での体験談や、伐採から市場・工場までの木材流通に関する話など聞くことができました。


2日目は研究林内の人工林にてコンパス測量を用いた森林調査プロットの設定や毎木調査、樹木位置落としを行いました。この実習の前に北海道研究林で行われた研究林実習Ⅲでコンパス測量や毎木調査の方法を学んできた学生も多く参加しており、フィールドでの作業はスムーズに進んでいました。


3日目は2日目に設定したプロットにて、職員による立木伐採の見学、チェンソーでの輪切り体験、木材の現存量調査を行いました。学生たちはチェンソーの扱いに少し恐怖を感じながらも、職員指導の下で安全に操作していました。


最終日は午前中に講義室にて3日間の実習レポートを作成しました。午後からは北桑木材センターに向かい、木材市場に関する説明を受けながら見学しました。

学生たちは、林業現場の⾒学やチェンソー体験などを通して林業作業を学ぶとともに森林の現存量を測定するための基礎的な調査方法や、樹⽊の位置図、頻度分布図の作成などから林分構造についても学ぶ事が出来たのではないでしょうか。
2025年9月22日から24日の日程で、京都大学の「ILASセミナー:芦生研究林に棲む動物たちの探索」が開催されました。本ILASセミナーは、森林に生息する動物の生態への理解、およびそれらが生息する森林生態系というものに対する理解を深めることを目的として、本年度より新たに開講され、農学部、工学部、医学部から計5名の1回生が参加しました。
森林は生育する植物や地形などによって複雑な構造を有し、それぞれの場所を選好する多種多様な動物が生息する場です。しかしながら、本来ヒトの生活圏から離れて生活する野生動物 (特に哺乳類) はなかなか姿を見ることはできない存在であり、容易にはその行動や生態を観察することができません。本実習では、実際に森に入り、様々な調査、研究ツールを用いることによって、動物の存在を可視化できること、あわせて、動物の生活を支える森林植生についても観察や簡単な調査から学ぶ機会を提供することを目指しています。
芦生研究林では、哺乳類、鳥類、節足動物といった動物、および植生を対象とした6つの項目を3日間で実施しました。哺乳類は、生け捕り罠 (シャーマントラップ) を使用した野ネズミの捕獲、自動撮影センサーカメラを使用したカメラトラップによる撮影、および林内での足跡や食痕、糞といった痕跡探しによって、節足動物はピットフォールトラップによる捕獲によって、鳥類はバードウォッチングによって、それら森林に生息する種の特定や生活の一端を探索しました。あわせて、簡易的な毎木調査や下層植生の被度調査を経験し、動物の生息地として重要な鍵となる植生の把握を行いました。
実習を行うにあたっては、対象とする森林棲動物を一人ずつに割り振り、それらについて文献調査を行うという事前課題が出され、1日目の夜にはスライドを用いた発表会を実施しました。それぞれの動物について、分布や生息地、体サイズや食性などの生態、残す痕跡や観察調査方法の例、人間や環境との関わりについての具体的な事例を発表し合い、森林棲動物に関しての理解を深めました。 カメラで撮影されたイガに包まれたクリを採餌するイノシシの様子から「痛くないのか」と想像したり、強烈な匂いを発するタヌキの糞に顔を歪めたり、ピットフォールで捕獲された節足動物の種同定に苦戦したりと、フィールドに入らなければ分からないこと、普段とは異なる経験と学びが得られた実習になったと思います。

