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セミナー「Starlinkと衛星通信の世界:未来を支える新たなインフラの概要」

2023年6月11日に、セミナー「Starlinkと衛星通信の世界:未来を支える新たなインフラの概要」が京都大学フィールド科学教育研究センター会議室およびZoomを用いたハイブリッド形式で開催され、参加者は計43名(うちZoom参加者24名)でした。本セミナーでは、「Starlinkと衛星通信の世界:未来を支える新たなインフラの概要」というテーマのもと、KDDIビジネスデザイン本部関西支社の永田新次様による講義が行われました。

芦生研究林とKDDI株式会社は、芦生研究林の生態系や生物多様性の保全・教育・研究の促進に寄与することを目的に、2023年に包括連携協定を締結しました。2024年度には、石原正恵・松岡俊将がKDDI関西総支社にて、生物多様性に関するセミナーを開催し、企業と大学との共創について講演しました。今回は、KDDI株式会社から私達が衛星通信の可能性について学ぶためにご講演いただきました。

冒頭では、通信衛星の歴史についての解説があり、その後、通信衛星の種類について詳しく説明されました。通信衛星には静止衛星と低軌道衛星の2種類があり、静止衛星は赤道上空約35,000kmの位置に静止して運用されるのに対し、低軌道衛星は地球から約2,000kmの低軌道を周回していることが紹介されました。

次に、Starlinkの概要とその優位性、利用シーンについての説明がありました。StarlinkはスペースX社によって提供されている低軌道衛星ブロードバンドインターネットサービスであり、多数の小型衛星を地球の低軌道(約550km)に配置することで、高速かつ低遅延のインターネット接続を実現しています。これにより、都市部から離れた地域や海上、山間部など、従来の通信インフラが届きにくい場所でも、空が見えていれば安定した通信が可能になると説明されました。

講義終了後には、屋外にてStarlinkアンテナの設置と接続デモンストレーションを行いました。アンテナのサイズは575×511mmで、付属品を含めた重量は約20kgと比較的コンパクトで持ち運びやすいため、能登半島地震の際には避難所などで活用されたとの説明がありました。実際に参加者のほとんどが接続を行い、動画の閲覧においても通信速度は落ちることなく、快適に利用できることが確認されました。

通信技術の進展により、芦生の林内のどこにいてもインターネットや電話が利用できるようになるという、画期的な未来が近い将来実現する可能性を感じさせるセミナーでした。