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学生実習

京都大学「ILASセミナー:森での感動を科学する」実習報告

2024年9月3日から4日の日程で、京都大学の1回生を対象としたILASセミナー「森での感動を科学する」が開催され、9名の学生が参加しました。

この実習では、森林環境が人間に与える精神的な影響を研究することをテーマに、学生が調査を計画、実施するものです。学生たちは森の木々や水、生き物などを見たり触れたりした時の表情を撮影し、AIによる表情分析を使って感情の変化を調べていました。

 ユニークな内容でしたが、学生たちはグループごとに仮説を立て実験し、データを解析して、考察するという研究の基本を実習を通じて学んでいました。

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京都大学「Field Encounter」実習報告

2024年10月20・21日の二日間の日程で 京都大学大学院人間・環境学研究科附属学術越境センター 2024年度第1回「Field Encounter」芦生 が開催され、日本人学生1名、中国人留学生5名の計6名の大学院生が参加しました。

この実習は、「美山町の自然の保全と利用、芦生研究林における研究活動を学ぶ」をテーマに、今年初めて開催されたものです。

1日目、まず京都丹波高原国定公園ビジターセンターにおいて、一般社団法人南丹市美山観光まちづくり協会から「日本一の田舎」をキーワードに観光中心のまちづくりに力を入れている美山町の取組みについての講義を受けました。なぜ美山町がUNWTO(国連世界観光機関)よりベスト・ツーリズム・ビレッジに認定されるほどの評価を受ける観光地域になったのか、その背景にある人口減少問題や、消費者である来訪者だけではなく提供者である住民の視点も大事にした事業展開について学びました。

地元の料理旅館のお弁当を食べた後、かやぶきの里に移動し、地域のガイドさんに案内していただきました。かやぶきの里が国の重要伝統的建造物群保存地区になった経緯や、かやぶき家屋の作りについての解説を受け、さらに循環型社会が営まれていた昔の暮らしについて学びました。

夕方、芦生研究林に移動し、石原正恵准教授 (研究林長) より芦生研究林について、その歴史や現在直面しているシカの過採食をはじめとした諸問題に関しての講義を受けました。また、今年リニューアルオープンした資料館 斧蛇館を見学し、翌日の林内散策に向けてのイメージを膨らませました。

2日目、バスで長治谷に移動、そこからウツロ谷までの見学を行いました。往復約2時間の道中、植生、動物、きのこや生態系について、さらにかつて森を利用した人々の生活が営まれていた歴史についての解説を受けました。また、大規模シカ柵内の様子も見学するとともに、かつての下層植生があった頃の写真と比較することで、1日目の講義で学んだ芦生の現状問題についての再認識にも繋がりました。

下山後、参加大学院生が2日間の振り返りを行いました。今回の大学院生は、心理学・文学や言語学などを専門としており、森に関する研究とは全く異なる分野ですが、「聞くだけではなく実際に芦生の森に入ることで、植物と動物のつながりについて知ることができた」、「森は循環しており、人間も循環の中の一部であることを感じることができた」、「シカ問題と人間社会のつながりが印象深かった」などの感想がありました。また、「理系研究がどのように行われているのか、そしてその大変さを感じた」という文系学生ならではの率直な意見も聞かれました。学術を横断的につないでいこうとされている学術越境センターや、超学際研究教育拠点や森里海連環学を目標とするフィールド科学教育研究センター芦生研究林ならではの実習が実施できたと思います。


 

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京都大学「ILASセミナー :京都の文化を支える森林:地域の知恵と生態学的知見」実習報告

2024年9月11日から13日の日程で、京都大学のILASセミナー「京都の文化を支える森林:地域の知恵と生態学的知見」が開催され、文学部・理学部・医学部・農学部・工学部の1、2回生9名(うち1名はコロナのためオンライン参加)参加しました。

京都は豊かな森林・水などの自然に支えられ、その資源を利用することによって古より発展を遂げてきました。多くの文明が環境破壊と生態系サービスの劣化によって失われた事実とは対照的に、京都の周辺は現在でも多くの森林や渓流が残り、京都の文化を支えています。

本科目は、京都文化を支えるこれらの自然の利用方法や森林に対する人々の知恵を知り、森林と人間の関係を科学的に捉える研究手法を実習を通して学び、人間社会と森林との新しい関係を考えることを目的としています。

1日目は、かつての里山、現在は都市近郊林である上賀茂試験地で行いました。里山の典型的な樹種やナラ枯れを観察し、炭焼き窯を見学し「新しい里山」としてのイオン環境財団との連携事業を学び、チェーンソー体験を行いました。その後、芦生研究林へ向かい、夜は芦生研究林の概要について講義を行いました。講義後は学生さん同士で交流を深めていました。

2日目は、原生的な森林である芦生研究林で、天然林とそこに生育する樹木などの生き物や大規模シカ柵内外の植生の見学を行いました。午後からは、栃の実の生産量や利用に関する調査を行いました。下山してから、「農山村・自然から学ぶことの大事さ」と題して、筑波大学大学院生の森山久美さんに講演していただきました。彼女は、小学生のときに山村留学で美山町に来られ、それがきっかけとなり、筑波大学で野外自然教育の研究をされています。とてもわかり易く、自然教育の意義や、美山町などの農山村や自然から私たちが学ぶことを講演してくれました。

森山さんの講演に対し、「今後の進路についての質問に森山さんが『いずれは博士課程に進みたいけれど、今進んでしまったらこの土地のことを何も知らない研究者になってしまう。』と答えていたのが印象的だった。ただ研究者になるという夢ではなく、そのような研究者になりたいのか、そのためには何が必要か考えている姿を見て、自身も医療の道で研究をしたいと考えているため、研究者には現場のことを知っている、現場のことを考えている、現場やそこにいる人々に寄り添っているという要素が必要だと感じた」との学生さんからの感想もありました。

3日目は、美山町の茅葺の里、京北町の木材市場「北桑木材センター」を見学しました。その後、北白川試験地へと移動し、北山台杉、間伐材を有効利用した建物、材鑑標本を見学しました。

今年は例年以上に、多様な学部の学生さんが受講しており、着眼点が多様でした。例えば工学部の学生さんからは、「今回の授業で得た学びの中でも特に印象に残っていることが、里山での木の生え方、そして森林と建築の木材を通じた関わりです。特に後者については建築物のどの部分にどのような木材が使われるのか、そしてどのような過程を辿って伐採された木が建材として利用されるのかを直接自分の目で見れたことは(就くかはわかりませんが)建築士となった時に大いに役立つと思います。このような体験をさせていただきありがとうございました。」という感想が寄せられました。

「今回の実習で人生で初めてスマートフォンもつながらないような奥山に行った。事前講義で学んだシカの増加の影響は普段生活するにあたってほとんど感じたことはなく、問題の重大性と緊急性はほとんどわからなかったが、実際山に入ってみると、地面にはシカの食害によりほとんど植物は生えていなかったし、樹木の樹皮も食べられてしまっている様子を見ることができて、この問題が実際にどんな影響を与えているか分かった。シカ柵の向こう側と全く様子が異なっていた。そしてこれまで同じような緑としか認識していなかった森林にはたくさんの樹種があり、よく見てみると中には枯れてしまっている木もあって普段の視野の狭さ、知識不足を身に染みて感じた。上賀茂や美山の里山との違いも分かった。里山は実際に人間の生活があって、昔のやり方とは異なるけれども守られている伝統がありこれを私たちは継承していく義務があるのだと感じた。森林にはたくさんの資源があって貴重な財産である。これは必ず守っていかなければならないものだ。初めて他人事ではないと感じた。」

また、コロナ禍の影響をうけた学生時代を過ごし、またデジタル・ネイティブな学生さんたちにとって、芦生研究林での宿泊を伴う実習とはどのような意義を持っているのかを担当教員に改めて認識させてくれる感想もありました。

「今回の実習の本来の意義とは少し関係ない感想にはなりますが、カレー作りや自然の家での宿泊など、小学生の頃に体験した喜びを改めて感じることができました。特にネット環境のない場所で友人たちと過ごす時間は、現代に生きる私たちに大切なことを思い出させてくれました。例えば、トランプゲームを通して生まれた高揚感や、自然の中で過ごすことで得られる心の安らぎなど、デジタル機器に頼らない対話の楽しさを再認識できたことは大きな収穫でした。一実習生が言うのもおこがましい限りですが、人々と触れ合う楽しさを思い出させてくれたこの実習を来年以降も是非続けてほしいと思います。」

「芦生研究林での合宿の、2日目の夜に食べたシカ肉のカレーがとてもおいしかったのもとても印象に残っている。シカの食害による山林での生態系の破壊が大きな問題になっているが、シカ肉のおいしさをもっと広めていくことで、シカの食害を食い止める上での一助になるのではないかと思った。」 学生の皆さん、猛暑のなか、お疲れ様でした。今後社会に出ていっても、森と皆さんの生活のつながりを忘れないでいてほしいと思います。

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京都大学「ILASセミナー :芦生研究林の菌類多様性に触れよう」実習報告

9月23日~25日の日程で京都大学の1回生を対象としたILASセミナー 「芦生研究林の菌類多様性に触れよう」が開催され、5名の学生が参加しました。

この実習は、菌類の子実体 (きのこ) 相調査を通じて、菌類の生き方、森でのはたらき、そして多様性や生態の研究方法について学ぶことを目的としています。

1日目と2日目は冷温帯林の植生を観察しながら、落葉広葉樹林やスギの人工林など異なる植生の場所できのこを探しました。発見したきのこの種類を記録し、一部は持ち帰り図鑑と見比べながら同定作業を行いました。様々な色や形のきのこ、においの強いきのこなど多様なきのこが採集され、同定は五感を活用して進められました。2日目の夜には北海道研究林で開催されているILASセミナー「北海道のきのこの多様性と生き方」とオンライン発表会を行い、それぞれどのようなきのこが採集されたか、また自分の推しきのこを発表し合いました。

3日目は、野外調査を踏まえて菌類の多様性はどのように生まれているのかについて議論し、レポート作成を行い実習終了となりました。学生からは「色鮮やかなものや変な形のもの、臭いが強いものが多いことが意外だった」「菌類の多様性を調べるには、ほかの人物との協力が欠かせないと思った」「普段は目に見えない、気にも留めない菌類が自然の生態系の中でどのように分布しているのか、どんな役割を果たしているのかについて入口だけでも知ることができ、非常に貴重な体験となった」「京都に戻ってからも自然に想いを馳せることができるよう今回の体験をしっかりと心に刻み込みたい」といった感想が寄せられました。

今回作成されたきのこリストや標本は、実習だけではなく、芦生研究林の菌類多様性の解明に向けた研究としても活用されます。 参加した学生たちは、学部がばらばらで、10年以上のきのこ好きから初めてきのこを勉強するという学生まで様々でしたが、互いにコミュニケーションをとり楽しみながら菌類の生態について学べて、きのこや自然を身近に感じることができるようになった事でしょう。

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京都大学「森林利用学実習及び実習法」実習報告

9月25日-9月28日

 上記日程で京都大学農学部の実習である2024年度「森林利用学実習及び実習法」が行われました。この実習は芦⽣研究林において、森林の毎⽊調査、森林の現存量調査、林業に関する知識と技術を習得することを目的として行われています。

 初日は南丹市美山町内にて美山町森林組合の伐採現場の見学を行いました。現場で稼働しているプロセッサ等の高性能林業機械を見学することができました。また、森林組合の職員さんから現場での苦労話や、伐採から市場・工場までの木材流通に関することなど、幅広いお話を聞くことができました。美山町森林組合様のご協力により、充実した現場見学になりました。

 2日目は研究林内の人工林にてコンパス測量を用いた森林調査プロットの設定、毎木調査、樹木位置落とし、を行いました。内業として樹幹投影図作成をしました。
別実習でコンパス測量の経験がある学生もいて、フィールドでの作業はスムーズにすすんでいました。
 
 3日目は研究林にて、職員による立木伐採の見学、チェンソーでの輪切り体験、木材の現存量調査を行いました。チェンソーでの輪切り体験では、丸太の切断中にチェンソーのバーが挟まれた学生もいました。丸太をただ輪切りにするという簡単そうな作業でも、実際には切断箇所には様々な力がかかっており、スムーズに切断することすらも難しいということを体験できたと思います。

 最終日は午前中に講義室にて3日間のデータのまとめと発表を行いました。午後からは北桑木材センターに向かい、木材市場に関する説明を受けながら見学しました。こちらも北桑木材センター様のご協力により、充実した見学になりました。

 学生はこの実習を通して、木材流通の川上から川中までを見学することができました。
 また、実習を通して実習の目的通りに、森林・林業に関する知識と技術を得ることができたと思います。

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京都大学「研究林実習Ⅰ」実習報告

8月26~29日の日程で、京都大学農学部森林科学科の実習である2024年度「研究林実習I」を実施しました。8月26日~8月27日と、8月28日から~8月29日までの前半・後半の2グループに分かれての実習でした。前半グループの参加者は29名で、後半グループの参加者は30名でした。

当初は前半・後半ともにそれぞれ2泊3日の予定でしたが、台風接近のため、学生さんの安全を考慮し、急遽1泊2日に変更になりました。芦生研究林の宿泊所は築100年を超えており、老朽化が深刻で、修繕をしているものの、これまでも台風による雨漏りや戸が吹き飛ぶなどの被害が生じています。

前半・後半とも実習内容は同じで、実習1日目は研究林の奥にある標高が高い場所で樹木識別や防鹿柵の見学等を行いました。2日目は研究林の標高が低い場所で樹木識別を行いました。

樹木識別の実習では、代表的な樹木の腊葉(さくよう)標本作成を通じて、樹木の観察や識別のポイントを学びました。標高により自生している樹種に違いがあることや、鹿の影響による林内植生の変化等を、実際に現場で見ることで深く学ぶことができたと思います。

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京都大学学術情報メディアセンター「サイバーフィジカル混成によるフィールド実習記録とその分析」実習報告

 9月9日から9月11日の日程で、標記実習が行われました。
この実習はフィールドワークやフィールド実習を、個人視点カメラや高精細固定カメラ、手持ちの携帯電話カメラなどを用いて記録し、教育に活用するための研究開発の一環として行われています。

 9月9日は研究林到着後に、灰野まで軌道沿いを往復しました。
 実習に参加していた学生はヘルメットにアクションカメラを取り付けており、興味の向いたものへの目線や、解説の様子を撮影していました。灰野から戻った後は、データ処理を行っていました。

 9月10日は林内の防鹿柵の見学や、大カツラの見学を行いました。
 この日も同様に学生はアクションカメラをヘルメットに取り付け、柵の内外の様子や、解説の様子を記録していました。そして下山後にデータの処理を行っていました。

 9月11日は午前中だけデータ処理を行い、午後から大学に戻られました。

 データ処理では、位置情報を取得できる腕時計のデータをもとに、GIS(地理情報システム)上に、時間を持った位置情報とアクションカメラで撮影したデータを統合していました。

 位置情報と撮影日時を併せ持ったデータなので、ある時点、ある場所における芦生の環境を記述したデータとなります。こうしたデータを蓄積しておけば、将来、環境変化を把握することもできるようになるかもしれません。今後の発展が期待されます。

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公開実習「公開森林実習Ⅰ」実習報告

2024年公開森林実習Ⅰは、2024年9月4日(火)~6日(木)の3日間に開催されました。

実習の目的は、京都における里山と奥山の両方において、森林の歴史や現在の状況(ナラ枯れ・マツ枯れ・シカによる食害・人工林の管理)を体験学習し、森林をめぐる環境問題に対し、科学的な知識や研究手法を習得することです。本拠点事業では特に、地域の人々との交流や活動の体験を通じて、人間社会と森林の関係について考察し、持続的な人と森との関係のあり方を多面的に考えられるようになることを実習の特色として掲げています。

初日は京都市の里山について、上賀茂試験地で講義と実習を行いました。上賀茂試験地では、都市近郊林の自然植生とナラ枯れ・マツ枯れ被害、マツ類を中心とする外国産樹種とその特徴の解説に、受講生は興味深く耳を傾けていました。次に、イオン環境財団と協働で行っている「里山おーぷんらぼ」という、市民参加型の里山活動について、説明と活動場所の見学がありました。さらに、上賀茂試験地技術職員の指導のもと、一人ずつチェンソーを用いた木材の加工体験を行いました。

上賀茂試験地での実習の後、芦生研究林へ移動しました。夕食後に簡単な自己紹介のあと、二つの講義がありました。最初の松岡先生による「芦生研究林の概要説明」では、芦生の森林や生物多様性とその重要性、そしてシカの過採食による森の変化について解説が行われました。続いて、遠隔地会議システムを用いて、北海道研究林の小林先生による「北海道の森林と人との関わり」についての講義が行われました。京都とは自然環境が大きく異なる北海道の森林とその状況を深く掘り下げた内容でした。

2日目は、松岡先生、石原先生、張先生よる講義が行われた後に、芦生研究林内の見学を行いました。講義では、菌類という目に見えない生き物の森でのはたらきや、人と森の関わりについての社会学的な分析について紹介されました。林内では原生的森林の残るエリアを歩きながら、天然林・人工林の観察をしたほか、大規模シカ排除柵の見学を行いました。午後はきのこ班とトチノキ班に分かれ、きのこ相の調査やトチノキの種子の結実量調査を体験しました。そして、芦生のシンボルである大かつらの見学を行いました。受講生からは、「普段立ち寄ることのできない森林で、実際に見聞きした体験は貴重でした。」などの感想がありました。

夕方に、受講生から、それぞれの身近な森についてパワーポイントを使って説明してもらいました。受講生は、異なる地域や視点を持っていることから、一人ひとり全く異なる「森」の姿や人との関わりの紹介が行われ、とても良い交流の契機となりました。夕飯には芦生研究林のある美山町で獲れたシカ肉の料理を味わいました。その後、そのシカを捕獲した美山町で暮らす猟師さんから、猟師としての暮らし、「狩猟」と「駆除」の間で生きる葛藤などについて話を伺いました。普段は交流する機会のない猟師のお話はとても興味深い内容で、講義後は多くの質問が寄せられました。

3日目は午前に茅葺の里での里山景観やその歴史を学んだ後、京都市右京区京北の原木市場を訪問し、原木の競りの現場を見学しました。午後には大学構内にある北白川試験地において北山台杉やナラ枯れの研究および j.Pod(リブフレームによる木造建築)の見学を行いました。最後に、実習の振り返りが行われ、解散となりました。

今年は10名の学生が集まりました。参加者の所属大学は北海道大学(1名)、千葉大学(1名)、筑波大学(1名)、信州大学(1名)、名古屋工業大学(1名)、大阪大学(1名)、近畿大学(1名)、福井県立大学(1名)、大阪産業大学(1名)、(台湾)中央大学(1名)でした。農学部で森林を学ぶ学生だけではなく、水産学部で水産を学ぶ学生や、生物資源学部や工学研究科で都市工学を学ぶ学生など多様な背景を持つ学生が参加してくれました。また、今年は韓国からの交換留学生と台湾からの日本人学生の参加もあり、グローバルな視点の意見交換もできました。

参加した学生からは「様々な角度から森へのアプローチを学ぶことができ、実際に関わっている人の話を聞くことができたのがよかった。」「実際に生活している人々とコミュニケーションをとったり、教員や学生だけでなく技術職員とも様々な話をすることができた点が、普段の実習とは全く違った新しいもので良かった。」「少人数であったため、より深い学びや交流が可能であり、何かしらで一人一人がフォーカスされる場があったためアウトプットをする機会があって良かった。」という感想があり、実習を通じて人と森の多様な関わりや視点を学んでもらえたと思います。

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人間環境大学「奥山・里山管理実習」実習報告

2024年8月21-23日の日程で人間環境大学の学生実習「奥山・里山管理実習」が開催され、学生17名が参加しました。

この実習では近畿地方の奥山・里山において、森林生態系の特徴と課題、森と人の関わりを理解することを目的としています

1日目は上賀茂試験地で行われました。新しい里山・里海共創プロジェクト(里山おーぷんらぼ) で取り組む工芸用の樹木の植樹エリアの下刈り体験や、技術職員による炭焼きの説明、チェンソーの使用見学などを通じて、里山の利用や維持管理について学びました。

2日目は芦生研究林で行われました。大規模シカ柵内外の植生変化の見学や、植物班ときのこ班に分かれての調査体験を行い、奥山の自然の特色や生物多様性とその課題について学びました。

3日目は美山かやぶきの里で里地での暮らしを見学しました。その後、北白川試験地に移動して、技術職員による試験地内の説明やj.Pod工法による建物の見学などを行いました。

実習を通じて、奥山の原生的な自然と都市近郊林の里山を五感で感じ、学んでもらえたと思います。

学生からは「シカ柵内外の植生の違いなど、実際に環境を見ることでしか学べないことが多く学べた」「環境だけでなく、その地域の森と人との歴史について学べたのが良かった」といった感想をもらいました。

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京都大学「ILASセミナー:有人宇宙学実習」実習報告

2024年8月19~20日に、京都大学全学部生向けのILASセミナー*「有人宇宙学実習」が開催され、9名の学生が参加しました。

1日目は枡上谷にある環境省モニタリングサイト1000の調査プロットへ行き、毎木調査を体験しました。その日の夜には枡上谷の毎木調査データの解析を行い、森林の炭素蓄積量を推定しました。

2日目は集水域全体を防鹿柵で囲った試験地を見学して、シカによる過食採を通じ、生物間相互作用や、森林生態系の機能の安定性と回復力について学びました。

参加者の多くは森林分野を専門としていませんでしたが、実地で学ぶことで宇宙分野と森林や生態系の関連性を実感してもらえたかと思います。

実習を引率された土井隆雄先生は、世界で初めての木造人工衛星の開発に携わられており、宇宙開発での木材の有用性の話も聞くことができ、木材の新しい可能性を学ばさせていただきました。芦生研究林のホオノキも人工衛星に活用していただくため提供しています。