教育研究部

フィールド研の教員は、教育研究部の4つの部門のいずれかに属しています。


研究推進部門

 本部門には,フィールド研および森里海連環学教育ユニットの教職員が所属し,森里海連環学に関わる研究プロジェクトや教育活動を実施している。この部門には,森里海連環学プロジェクト支援室が設置されており,フィールド調査や化学分析を支援している。

森里海連環学分野
 日本の沿岸域生態系は,多様な海洋生物を育んできたが,近年は深刻な問題を抱えるようになった。人間の過剰な経済活動が,水質汚染や藻場・干潟の消失を引き起こし,ダム建設,埋立,堤防建設といった経済開発による水・砂の流系の分断が生態系間のつながりを破壊している。当分野では,森里海連環学を通して,森から海までのつながりと人間の関わり方を統合的に管理していくことによって,問題の解決を図ろうとしている。
 森里海連環学教育ユニットはフィールド研とは独立した組織であるが,森里海連環学を主導してきたフィールド研とは,深く連携する必要があることから,ユニットの教員はフィールド研の本部門にも所属することとしている。

森林生態系部門

 本部門は,3ヶ所の研究林と3ヶ所の試験地の管理と運営を担当し,森林生態系に関するフィールド教育・研究活動を展開している。生態系サービスや多面的機能の定量的評価や社会的評価を目標として,森林生態学,森林育成学,森林管理学,生物地球化学などさまざまな分野にわたる手法と概念を用いて総合的に解析している。森里海連環学への取り組みとして,森林生態系と水域生態系の間の生物と物質のつながりも研究している。

森林育成学分野
 森林育成学分野では,森林生態系サービスをバランス良く享受できる森林資源の育成と管理,利用方法の構築を目的とし,窒素等の物質循環を通じた森林生態系機能と更新機構を中心とした森林動態の解明に関する研究を行っている。さらに,シカによる植生被害の影響および対策や,生態系情報に基づく持続可能な森林資源の育成・利用方法に関する技術的研究にも取り組んでいる。当分野は,協力講座として農学研究科に森林育成学分野を提供している。

森林情報学分野
 森林情報学分野では,森林から流域に流出する物質と森林環境の関係や,伐採等の人間活動が植生・土壌・流域の物質循環系におよぼす影響など,森と流域の連環について研究している。さらに,国産材の流通・消費の変化を解析することで,適切な森林資源の管理手法を検討している。これらの研究をもとに,地球環境変化や社会環境の変化のもとでの森林流域生態系の変化を把握するとともに,適切な森林利用と管理をするために人びとの森林環境に対する意識調査に取り組んでいる。当分野は,協力講座として農学研究科に森林情報学分野を提供している。

里域生態系部門

 山間部から沿岸部に至る広く,変化に富む地域は,人間の関与が様々な強度で継続しており,自然と人間の相互作用,もしくは人間と自然との共生によって生み出される特有の生態系を形成する。この生態系には,農業,林業,水産業という人間の生活を維持するために必要な基本的な生業による二次的自然が含まれるほか,居住域としての農山漁村や都市も含まれる。これらの人間が与えるインパクトを把握することは,現在の地球環境問題の本質の把握にも通じるものであり,本部門ではそのために不可欠な人間-自然相互作用環の解明を多くの視点から実践し,その共生システム構築のための教育研究を行う。

里地生態保全学分野
 里地生態保全学分野では,人里と一部に里山や里海,里空を含む,いわゆる里地に分布するかく乱依存性植生ならびにかく乱依存性植物の起源,伝播,歴史および生態的特性を,文明や地域文化的多様性とその変容と関連付けながら明らかにし,それらの管理保全体系ならびに持続的共存に関して考察をしている。

里海生態保全学分野
 里海生態保全学分野では,魚介類の生態,行動,系統分類などについて,多様な視点から研究を進めている。また,陸域の環境と人間活動が沿岸域の生物生産機構に与える影響を調べている。森から海までの生態系のつながりの分断によって,海の生態系が劣化しているという仮説を検証し,そのメカニズムの解明をめざす。当分野は舞鶴水産実験所および教育ユニット総合生態系管理領域(吉田キャンパス)を教育研究の拠点とし,協力講座として農学研究科に里海生態保全学分野,地球環境学舎に水域生物環境論分野を提供している。

海洋生態系部門

 本部門では,主に温帯性海産無脊椎動物を材料として用い,分類学・進化生物学・発生生物学・生理生態学・生物地理学といった様々な基礎生物学的な研究教育活動を,分子レベルから生態系レベルにわたって広範囲に展開している。更にその研究フィールドを熱帯域・北方域へと地球規模に広げながら,環境生物学や保全生物学といった応用的な領域へと,その研究教育活動の内容を拡大している。

基礎海洋生物学分野
 基礎海洋生物学分野では,海洋生物の多様性と進化プロセスを解明するための自然史研究を行っている。系統分類学は,形態および分子レベルにおける系統と分類学の研究,および,生物地理,地史をも含め,系統地理学,進化学的研究を進めている。機能形態学では,比較形態学的研究や,発生学,分子生物学的手法による形態形成のメカニズムを解明する研究を行うとともに,海洋生物の多様性を保全するために,多様な生物が環境の変動に対してどのように反応するのかを明らかにするべく,研究を行っている。当分野は瀬戸臨海実験所を教育研究の拠点とし,協力講座として理学研究科に海洋生物分科を提供している。

海洋生物環境学分野
 海洋生物環境学分野では,海洋をはじめ,湖沼や河川を含む水圏における,持続的な生物生産をもたらす水圏生態系の仕組みや,その変動機構ならびに水圏生態系に生息する魚類や海産ほ乳動物などの行動生態を研究している。そのための手法として,安定同位体分析,生態系モデルによるシミュレーションならびにバイオテレメトリーやマイクロデータロガーによるバイオロギングを用いた研究を行っている。当分野は,時限的にフィールド研にも所属する農学研究科からの流動分野である。