第19回芦生公開講座

芦生公開講座実行委員長 吉岡崇仁


 第19回公開講座『森のしくみとその役割「森の動きをつかむ Long Term Research」』を平成21年7月24日(金)から26日(日)に芦生研究林にて開催した。

 例年になく梅雨明けが遅れており、講座2日目の午前午後と3日目の午前に予定した研究林内での野外実習が実施できるかどうか危ぶまれた。2日目は、芦生研究林上谷上流にある由良川源流域から長治谷に向けて降りている途中、雨脚が強くなってきた。行程の3分の1ほど進んだ地点で、河川増水の危険性があると判断し沢筋を下ることを断念、モンドリ谷を登って林道に出てマイクロバスにて長治谷に向かった。午後からは雨はやや弱まったが、三国峠など山を登るのは危険と判断し、下谷を徒歩にて「大カツラ」まで行くことにした。時間的余裕があったため、途中、植物の同定実習やクマ剥ぎにあったスギを見学するなど、山行きとは違った意味で充実した実習になったと思う。講義室に戻った後、研究林内で採取した渓流水を用いて、水質の簡易検査の実習を行った。

 3日目の朝、雨は上がっていたが、後に降り出すと予想された。そこでスケジュールを変更して、「廃村灰野」での野外実習を先に行うことにした。芦生演習林(当時)の技官であった登尾二朗氏に、演習林の歴史や芦生の森に関わる興味深いお話を伺うことが出来た。とくに、チェーン・ソー導入に対する技官の態度が、使う前と後とでガラリと変わったというお話しには、受講生はじめ教職員も大笑いしていた。講義室に戻って、山下教授の講義が始まる頃、雨が降り出した。講義の途中から激しくなり、講義室の屋根を打つ雨音、雷の音に講義の声もかき消されるほどであったが、これが灰野での実習中でなくて良かったと一同安堵した次第である。

 今年の公開講座は天候に恵まれなかったが、受講生の皆さんには、そのことも含めて、芦生の森と研究林の活動に良い印象を持ってお帰りいただけたと思う。

ニュースレター18号  2009年12月 教育ノート