報告 「大学の森で学ぼう2014」

ひらめき☆ときめきサイエンス「大学の森で学ぼう2014」

北海道研究林長 舘野隆之輔


 京都大学フィールド科学教育研究センター北海道研究林において、日本学術振興会の研究成果の社会還元・普及事業「ひらめき☆ときめきサイエンス~ようこそ大学の研究室へ~」の一環として、中学生、高校生を対象に「大学の森で学ぼう2014」を開催した。今回で3回目の開催である。開催日は、平成26年7月30日(水)で、参加者は高校生4名と引率の高校教員1名で、実施代表者の舘野と実施分担者の北海道研究林教職員9名に加えて、北海道研究林に在籍する学術振興会特別研究員(PD)が実施協力者として、プログラム実施に携わった。
 過去の開催では、大学の研究林を使った自然観察や野外観測を通して、森のはたらきや樹木の不思議を学ぶことを主要な目的として行ってきたが、今回は土壌に着目した講義や実験により森林土壌の働きを理解することを主な目的として行った。
 開講式では、開講の挨拶に続き、科研費や研究活動に関する説明を行った。開講式に引き続き大学の授業を体験するミニ講義では、「森林土壌のはたらき」について学んだ。野外観測体験では、「森林土壌のはたらき」について野外で観測する方法について、測器を手に取って受講生自らがデータをとる体験ができるように工夫した。森林と最近伐採を行った伐採跡地で、土壌水分センサーや土壌硬度計などで土壌の測定を行い、土壌の採取方法を学んだ。また実験体験では、採取した土壌から栄養塩を抽出し、土壌抽出液中のアンモニア態窒素の定量に関する化学実験を行った。最後のクッキータイムでは、受講生一人一人が一日学んだことをみんなの前で紹介する時間を設け、「未来博士号」の授与式も行われた。
 はじめて行う野外観測や化学実験で戸惑いながらも、楽しく科学について学べたのではないかと感じている。今回は、広報がうまくいかず、昨年度より大幅に参加人数が減った点が反省材料であるが、広報方法やプログラム、実施日程などを改善していくなどを今後の課題としたい。

年報12号

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