公開森林実習Ⅱ -夏の北海道東部の人と自然の関わり-の実施

森林情報学分野 小林 和也


 公開森林実習Ⅱは、森林調査や森林施業などの野外体験を通して北海道の森林・湿原の生態系や人と自然の関わりについて理解を深めることを目的に、2016年度から開催しており、2018年度は8月6日から9日にかけて実施しました。本実習は、教育関係共同利用拠点事業として京都大学「ILAS セミナー:北海道の森林」と共催で行い、龍谷大学、京都府立大学から各2名、東京農工大学、北海道大学から各1名と、京大生12名が参加しました。
 北海道研究林の標茶区を利用し、一般的な学術調査手法を学ぶだけでなく、間伐作業を介して森林施業を体験するとともに、近隣の土地利用および国立公園の見学で、実習生たちは道東の自然環境と人間活動の関わりについて理解を深めました。学術調査手法を学ぶため、皆伐前後の人工林における下層植生の調査、ライトトラップとピットホールトップによる昆虫相の調査、天然林内の遊歩道沿いの樹木を同定しました。実習を通して本州では見られない動植物の観察やデータの収集を行うとともに、簡単な解析をしてもらいました。
 今回の実習では、実習生に北海道の自然環境と人間の生活がどのように関わっているのかを実際に肌で感じてもらえただけでなく、普段はあまり交流の機会がない大学間の学生がつながりを持てたかと思います。今年度は特に昆虫相調査を加えたことで、普段はあまりなじみがなく虫を気味悪がっていた学生が、徐々に虫に慣れていく様子が見て取れました。今回行ったような調査は実習が終わった後でも簡単に再現できます。また昆虫も樹木も日本のあちこちで見かける生物です。ふと「あぁそういえば、こんなことをして調べていたな」と思い出すことで、これまで見逃していた生き物の面白さに気が付けるかもしれません。実習という非日常での体験が、普段の生活をさらに楽しいものに変えていれば幸いです。

ニュースレター47号 2019年3月 教育ノート