後藤 龍太郎

フィールド科学教育研究センター 海洋生態系部門
基礎海洋生物学分野 助教
瀬戸臨海実験所
E-mail:goto.ryutaro.8n*kyoto-u.ac.jp(*を@に変えてください)

(2017-03-23 公開)

goto_ryutaro

1.研究分野
 海産無脊椎動物の自然史、進化、生態について研究しています。特に、寄生や共生といった生物間の相互作用が生物の進化、多様化、群集形成において、どのような役割を果たしているのかについて興味を持っています。

(1) 寄生・共生関係を通じた生物の進化・多様化プロセスの解明
 海洋には、他の生物と共に暮らす「寄生」や「共生」といった習性を進化させた生物が様々な分類群で知られています。そして、しばしば著しい多様化を遂げ、海洋の生物多様性を形づくる重要な構成要素となっています。では、そもそも、「寄生」や「共生」といった生活様式はどのような利点があり、どのように起源したのでしょうか? そして、寄生・共生といった生物間の相互作用は、生物の種分化・多様化のパターンにどのような影響を及ぼすのでしょうか? さらに、他の動物と共に暮らす上で、どのような形態・生態・行動面での適応や特殊化が必要なのでしょうか? これらの問いに答えるべく、野外調査を通じた自然史・生態の解明、形態解析、分子系統解析などの手法を用いて研究に取り組んでいます。
 主要な材料としてきたのは、ウロコガイ科Galeommatidaeの二枚貝類です。この科は、二枚貝の科の中で最も種数が豊富で、その多くの種が他の動物に寄生・共生し、形態的・生態的にも多様化を遂げています。利用する宿主が9動物門にも及ぶなど、寄生・共生生物の中でも、抜きん出た宿主の多様性を誇ります。
【関連する業績】
Goto R, Kawakita A, Ishikawa H, Hamamura Y, Kato M (2012) Molecular phylogeny of the bivalve superfamily Galeommatoidea (Heterodonta, Veneroida) reveals dynamic evolution of symbiotic lifestyle and interphylum host switching. BMC Evolutionary Biology 12:172

(2) 寄生・共生が作り出す生物の群集パターンの解明
 生物の体表、巣穴、時に体内などのマイクロハビタットには、そこをすみかとする様々な寄生・共生生物が生息し、独特の生物群集を形成します。一方で、これらの生物群集の構成は、宿主の種・性別・サイズなどだけではなく、宿主以外の外的な環境条件や、共存する他の寄生・共生者との種間競争などによっても、大きく影響を受けます。寄生・共生をめぐる生物群集の多様性がどのように生まれ、どのように変動するのかについて明らかにすべく、野外調査や飼育実験を中心に研究しています。
【関連する業績】
Goto R, Kato M (2012) Geographic mosaic of mutually exclusive dominance of obligate commensals in symbiotic communities associated with a burrowing echiuran worm. Marine Biology 159: 319–330

(3) 著しい性的二型が生まれる生態的条件・進化的背景の解明
 自然選択はしばしば著しい雌雄間の形態差を生み出します。特に海洋では、雌に随伴して生活し、雌に比べ極めて矮小で退化的な形態をもつ雄(矮雄)が、多様な系統で進化しています。矮雄の起源と進化、繁殖戦略、異なる系統間での矮雄の収斂などについて貝類やボネリムシ類を材料に研究を進めています。
【関連する業績】
Goto R (2016) A comprehensive molecuar phylogeny of spoon worms (Echiura, Annelida): Implications for morphological evolution, the origin of dwarf males, and habitat shifts. Molecular Phylogenetics and Evolution 99: 247–260

(4) DNA解析を用いた干潟のベントスの系統分類
 干潟には、実に様々な底生の無脊椎動物(ベントス)が生息していますが、干潟環境の減少や環境悪化によって、個体群の減少・絶滅が危ぶまれているものも少なくありません。その一方、形態分類の難しさから、代表的な干潟のベントスでさえ、種の多様性の把握や系統関係の理解は遅れています。このような分類学的基盤の構築の遅れは、保全の観点からも、そして寄生や共生をはじめとした生物間の種間関係などを理解する上でも、大きなハードルとなります。そこで、貝類、甲殻類、環形動物、腕足動物などを対象にDNA解析などの手法を用いることで、分類の再検討を行い、この問題の解決を目指しています。

(5) 日本を舞台にした海産無脊椎動物の種分化パターンの検証
 多くの海産無脊椎動物は、幼生期にプランクトンで広域に分散します。そのため、限られた地理的な範囲で遺伝的な分化や種分化を捉えることはしばしば困難です。一方、チリハギガイという日本の岩礁に広く分布する二枚貝は、プランクトン幼生期を持たず、親貝が稚貝を殻の中で保育します。そのため、幼生期の分散が小さく、日本国内という比較的狭い地理的スケールであっても遺伝的分化や種分化のパターンが捉えられる可能性があるのではないかと考え、現在研究に取り組んでいます。

2.好きなもの,趣味
 研究が趣味を兼ねていますが、息抜きに雑談したり、本を読んだり、食べに出かけるのも好きです。海外のフィールドでのサンプリング、博物館での標本調査、学会も楽しいものです。

3.その他
 海洋生物の生態、進化、分類、系統、寄生・共生関係に興味のある学生・院生・ポスドクを募集中です。

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(フィールド研における経歴とページ履歴 情報整理 2017-03-23)
2017-03-01 基礎海洋生物学部門 海洋生物進化形態学分野 助教
2017-03-23 http://fserc.kyoto-u.ac.jp/wp/staff/goto でページ公開