ポケゼミ報告2014「海産無脊椎動物-分類群と形の多様性」

基礎海洋生物学分野 講師 宮﨑 勝己

 このポケゼミは、題名の通り海産無脊椎動物の分類群と形態の多様性について、京都での講義と、瀬戸臨海実験所における実習での実物の採集・観察を通じ理解を深めていくことを目的として行うものである。今年度の受講学生の内訳は、理学部2名、農学部2名、工学部・法学部各1名で、男女比は4人:2人であった。
 2回の講義は、いずれもフィールド研会議室にて放課後の時間帯に行った。4月21日に行った第1回目の講義では、オリエンテーションとして各自の自己紹介の後、ポケゼミ全体の概要説明を行い、志望動機や連絡先などの記入と提出をさせた。また、ある英語の海洋生物学の教科書の一部を抜き出し、その和訳を宿題として課した。5月30日に行った2回目の講義では、海の動物の多様性に関する講義を行った後、実習に関する説明を行い、最後に前回課した宿題を回収した。
 実習は、前回と同じく海の日の祝日を利用して、7月18日から21日の3泊4日の日程で行った。実習初日は平日(金曜日)であり、全員が五限目の講義を受講してからの移動となり、白浜駅着最終の特急で到着した。その日は簡単なオリエンテーションのみ行った。2日目はフィールドに出たが、今回は例年に比べ潮の状態がよくなかったので、毎回行う実験所周辺の番所崎での磯採集に加え、実験所の海洋観測研究実習船であるヤンチナの船着き場へ行き、そこの浮き桟橋のロープに付いた付着生物の採集を行った。3日目は前日の採集物の同定に加え、メイオベントスの抽出・観察・同定と走査電顕観察用の試料作成・観察・写真撮影を並行して行った。少々タイトなスケジュールであったが、何とか夕食までに全ての観察・同定作業を終えることが出来、夜は実験所宿泊棟食堂にてささやかな反省会を行った。最終日の午前中に宿泊棟及び実習室の片付けと掃除を行い、レポートの提出をもって終了・解散した。
 このポケゼミの実習日程は、前回から従来(4泊5日)より1日短くなったが、そのため前回は課題を完了させるのに相当苦労した。今回はそれを踏まえて、これまで実習中に説明していた内容の一部を京都での講義で事前に説明したり、作業の一部を簡略化したりするなどして、前回よりは効率よく進めさせることが出来た。また今回の磯採集は、潮の条件が悪くいつもに比べ採集種数が少なかったが、今回初めて付着生物の採集を行ったこともあり、実習全体を通して観察出来た動物門の数は計14門に達し、ここ最近では最も多かった(例年は10門前後)。来年度以降もほぼ同じ日程で講義・実習を行うことになるので、海産無脊椎動物の多様性に対する理解を更に深めていく工夫を重ねていきたい。