新人紹介 田城 文人

里海生態保全学分野 特定助教 田城 文人

 2016年7月1日付けで特定助教として舞鶴水産実験所に着任しましたが、2014年4月から研究員として勤務していたため、「新人」のカテゴリーからは少し外れるかもしれません。実験所では、魚類学に関する研究・実習の指導に加え、フィールド教育全般と教育関係共同利用拠点事業に関わる業務を担っています。学生の皆様に生物や自然に対する“興味のタネ”を見つけるきっかけと、それを育むための環境を提供できるよう努める所存です。
 専門は魚類分類学・生物地理学で、学位取得まで一貫して北海道大学で学びました。現在は、『深海性ウナギ目魚類の多様性解明』と『日本海産魚類の多様性解明』の二本柱で研究を進めています。深海性ウナギ目魚類は学生時代からの興味の延長ですが、日本海産魚類は舞鶴赴任後に興味をもち、現在の中心研究課題に置いています。実験所が面する日本海からは1,300種を超える魚類が報告されていますが、それを裏付ける明確な証拠は示されていません。そこで、実験所の所蔵標本を主軸にして、国内外の研究者、水族館、漁業・市場関係者の皆様と協力して包括的な魚類相の解明を進めています。舞鶴生活も3年目となり、日本海産魚類相の大枠と、それに付随した様々な事象が明らかになりつつあります。
 また、大切な職務として実験所に所蔵されている魚類標本の維持・管理も担っています。実験所と本学の総合博物館には国内2番目の規模となる約40万点の魚類標本があり、半世紀以上の歴史をもつ京都大学の貴重な財産です。これらの標本を国内外の研究者と学生の皆様に研究・教育利用してもらうために、甲斐嘉晃助教、総合博物館のポスドク研究員そして所属学生とともに日々標本の整理に励んでいます。

ニュースレター40号 2016年10月 新人紹介