ILASセミナー報告2017「環境の評価」

森林情報学分野 教授 吉岡 崇仁



 このゼミは、自然環境を評価することの意味について、自然科学的、社会科学的側面から考えることを目的としている。教室では、講義形式で環境評価に関わる概念、環境哲学や倫理学に関する考察を、そして徳山試験地では合宿を実施した。受講生は、工学部2名、農学部2名,経済学部1名の計5名であった。
 講義室では6回のゼミを行い、環境の価値や環境意識などについて討議するとともに、環境を評価する意味について議論した。また、最終レポート作成の予習として、新聞に掲載された環境関連の話題について、その要約と記事に表れた環境評価の扱われ方をまとめた上で、その記事内容に対する自らの考えなどを発表した。フィールド合宿は、8月25日〜26日に、山口県周南市にある徳山試験地で行い、TA1名のほか、試験地の職員(技術班長、技術補佐員2名)も加わり実施した。安全教育と森林整備方法の概要を学んだ後、檜皮(ひわだ)生産のために維持されているヒノキ人工林の整備作業(林床植生の刈り取り)を行った。蒸し暑い中での作業であったが、休憩をはさみながら実施した。これにより、狭い面積ではあるが、ヒノキ人工林は見違えるように明るくきれいになり、人手をかけることで森がよくなることを実感することができた(写真1)。
 翌日は、試験地の事務室にて、最終レポートの発表を行った。徳山高校および光丘高校の生徒計4名と教職員4名も議論に参加した(写真2)。レポートの内容は、サンゴの白化減少、産業廃棄物の違法投棄、地球温暖化、パリ協定、ニホンウナギ絶滅危惧に関する話題であった。ゼミで何度も議論された、人間中心主義、非人間中心主義の観点から質疑応答がなされるとともに、高校生からの質問にも答えていた。午後は、移転前に徳山試験地があった周南市西緑地に移動し、万葉の森を散策するとともに試験地当時から植栽されてきた国内外の樹木の観察をしながら、森林と人間の関わりについて考察を深めた。
 森林整備作業では、徳山試験地の境技術班長、技術補佐員の石丸さん、徳原さんにお世話になりました。また、ゼミ発表でお世話になった徳山高校の爲國先生はじめ先生の皆さん、高校生の皆さんにお礼申し上げます。