新人紹介 河村 真理子

基礎海洋生物学分野 河村 真理子 特定講師

 2023年10月に瀬戸臨海実験所に特定講師として着任しました。私はこれまで、「黒潮海域における海洋生物の自然史科学に関するフィールド教育共同利用拠点」に認定されている同実験所の研究員として、11年間教育研究活動を行ってきました。
 教育活動としては、同実験所で実施する公開臨海実習、他大学による共同利用実習、他大学生による共同利用研究において、指導および教育支援に携わりました。フィールド実習と多様な生物の観察を重ね、また様々な分野の先生から専門の知識を学び、海洋生物に対して広く興味をもって接することができるようになりました。その成果として、実験所員を中心に制作し利用者全員に配布している「白浜の海岸生物観察ガイド」の企画編集を行い、最近では広く利用される教科書や図鑑の執筆を担当させていただきました。
 研究活動としては、刺胞動物のクラゲを対象とした生態学的研究を進めてきました。刺傷被害や大量出現を引き起こすクラゲは、発生源となるポリプ(クラゲの生活史における一つのステージ)の所在がわかっていることは滅多にありません。私は、クラゲがポリプからの変態時に形成する平衡石を分析することで、クラゲの日齢・発生時期・発生環境(ポリプの生息場所)などを推定することを目的として研究しています。特に箱虫綱のハブクラゲの輪紋数や鉢虫綱のエチゼンクラゲの平衡胞重量など齢指標の探索を行っており、最近では平衡石中の微量元素とクラゲが経験した環境の関係を調査しています。

ニュースレター62号 2024年 2月