鈴木 華実

鈴木 華実

suzuki_hanami
フィールド科学教育研究センター森林生態系部門
森林育成学分野 助教
芦生研究林
E-mail:suzuki.hanami.2m*kyoto-u.ac.jp(*を@に変えてください)
業績など(教育研究活動DB)

(2024-10-10 公開)

1. 研究分野
 森林生態学、特に植物 (ササ) の更新や動物との相互作用に関した研究を行っています。

[興味のあるテーマ]

1) ササの一斉開花・結実・枯死現象に関連して
 ササは日本各地の森林などで見られる植物ですが、数十年から100年以上という種ごとに異なる周期を持って、地域個体群が一斉に有性繁殖 (開花、結実) し、その後枯死するという特徴を持ちます。
 枯死したササは、種子が発芽して出る芽生え (実生:みしょう) が成長することによって新たな個体群を形成するという形で世代交代を行いますが、その成長はササの種類や生育環境によっても異なることが分かっています。これまでに私はスズタケという120年周期で有性繁殖を行うササの更新を追跡してきましたが、他のササとはまた違った特徴が確認されています。
 このササの特異的な現象に付随して、森林に生息する動物がその生活に影響を受け、また逆に動物がササの更新に対して影響を与えるといった、生物間相互作用が発生します。実際にスズタケの有性繁殖時には、大量に供給された種子を起因とした野ネズミの個体数の急増や、発生した実生を食べる哺乳類が存在し、その採食が実生の形態を変化させることなどが確認されています。また、枯死したことによる林床の環境変化は、そこに生息する野ネズミの行動や地上徘徊性甲虫の群集構造にも変化を与えることが明らかになっています。

2) シカおよびシカ柵設置による植生への影響について
 ニホンジカの個体数の増加、それに伴う過採食がもたらした植生の衰退に関しては芦生研究林をはじめとして日本各地で問題となっている課題であり、関連した研究が多角的に進められています。
 シカの影響を排除するための方策の一つが、シカ柵を設置してシカを区域内から排除するものです。このシカ柵の設置による効果やそこに生息する動物への影響について、正と負両方の面から評価する研究を行っていきたいと考えています。

2. 好きなもの,趣味
 国内外問わずの旅行、特にその地ならではの国立公園を訪れ、野生動物を探したり、散策したりするのが好きです。国外であれば、生態学の分野で重要な場所でもあるアメリカのイエローストーン国立公園、地球のエネルギーを体感できるアイスランド、国内であれば、長野県の上高地、青森県の奥入瀬渓流などがお気に入りです。合わせて、旅先での風景・生物写真の撮影も趣味として楽しんでいます。

3. その他
 私が森林生態学という分野を選択したきっかけの一つに、シカの個体数増加、それに伴う植生衰退の問題に興味があったことが挙げられます。シカの影響を研究する上で芦生研究林はまたとないフィールドであり、その地にいることを存分に発揮した研究を進めていきたいと考えています。
 京都大学との関わりは、フィールド研 北海道研究林での公開森林実習に参加したのが始まりです。そこでの経験を今後の芦生研究林での実習、教育活動に活かしていければと思います。


(フィールド研における経歴とページ履歴 情報整理)
2024-10-01 森林生態系部門 森林育成学分野 助教