芦生研究林における一般者入林規定の改定

芦生研究林長 長谷川 尚史

 これまで芦生研究林では、教育・研究に支障のない範囲で、2〜9人のグループであることなどを条件に、事務所または構内の仮入林受付ボックス内の用紙にご記入いただくことにより、林道・軌道(現在はフタゴ谷より奥は橋の崩落により通行止)・歩道に限って、一般の方の入林を許可してきました。しかし近年、ナラ枯れによって枯死した大木からの倒木落枝による事故の危険が高まっており、またニホンジカの増加によって下層植生が失われたことにより、歩道が明確でなく遭難しやすい箇所や通行が危険な箇所も多くなっています。
 研究林の第一の目的は「教育・研究」であり、その支障にならない範囲で枯死木の伐採や看板の設置などをすすめるなど、一般入林者の安全と教育・研究の両立を図ってきましたが、職員数の減少などで十分な対応ができず、同時に調査対象植物の盗掘や研究資材の盗難なども発生しています。一方、例えば1人での入林を認めて欲しい、など、より柔軟な受付に関する要望もいただいておりました。これらの状況を踏まえ、研究林では一般者入林規定の見直しを進め、2012年4月より、一般の皆様の入林規定を改定しました。
 新たな一般者入林規定では、事務所または構内の仮入林受付ボックスで申請書に記入していただくことによる入林は、4月~12月の積雪のない期間かつ林道・軌道・樹木園等の一部歩道の日帰り利用に限らせていただきます(2~9名のグループ、事務所側からのみ。当日でも可)。ただし、この条件を満たさない場合でも、入林2週間前までに詳細な行動計画を伴う事前申請書を提出していただければ、許可する場合があります。ただし、上記エリア外への入林や10人以上のグループの場合は、グループ中に山岳会等の団体に所属する人または森林インストラクター等の資格を持っている人がいること、1人での入林の場合は平日の日帰りであること、など、いくつかの安全面を考慮した条件を付けさせていただいております。また、長治谷のテントサイトの利用にも、事前申請が必要となります。詳細については、芦生研究林ホームページでご確認下さい。なお、教育研究利用の場合は、一般者の入林規定とは別に、従来通りの要領で審査いたします。
 一般の皆様にはご不便をおかけしますが、上記の経緯および研究林の目的等につきまして、どうかよろしくご理解いただき、ご協力くださいますよう、お願いいたします。

ニュースレター27号 2012年6月 ニュース