9月23日~25日の日程で京都大学の1回生を対象としたILASセミナー 「芦生研究林の菌類多様性に触れよう」が開催され、5名の学生が参加しました。
この実習は、菌類の子実体 (きのこ) 相調査を通じて、菌類の生き方、森でのはたらき、そして多様性や生態の研究方法について学ぶことを目的としています。
1日目と2日目は冷温帯林の植生を観察しながら、落葉広葉樹林やスギの人工林など異なる植生の場所できのこを探しました。発見したきのこの種類を記録し、一部は持ち帰り図鑑と見比べながら同定作業を行いました。様々な色や形のきのこ、においの強いきのこなど多様なきのこが採集され、同定は五感を活用して進められました。2日目の夜には北海道研究林で開催されているILASセミナー「北海道のきのこの多様性と生き方」とオンライン発表会を行い、それぞれどのようなきのこが採集されたか、また自分の推しきのこを発表し合いました。
3日目は、野外調査を踏まえて菌類の多様性はどのように生まれているのかについて議論し、レポート作成を行い実習終了となりました。学生からは「色鮮やかなものや変な形のもの、臭いが強いものが多いことが意外だった」「菌類の多様性を調べるには、ほかの人物との協力が欠かせないと思った」「普段は目に見えない、気にも留めない菌類が自然の生態系の中でどのように分布しているのか、どんな役割を果たしているのかについて入口だけでも知ることができ、非常に貴重な体験となった」「京都に戻ってからも自然に想いを馳せることができるよう今回の体験をしっかりと心に刻み込みたい」といった感想が寄せられました。
今回作成されたきのこリストや標本は、実習だけではなく、芦生研究林の菌類多様性の解明に向けた研究としても活用されます。 参加した学生たちは、学部がばらばらで、10年以上のきのこ好きから初めてきのこを勉強するという学生まで様々でしたが、互いにコミュニケーションをとり楽しみながら菌類の生態について学べて、きのこや自然を身近に感じることができるようになった事でしょう。