2025年9月22日から24日の日程で、京都大学の「ILASセミナー:芦生研究林に棲む動物たちの探索」が開催されました。本ILASセミナーは、森林に生息する動物の生態への理解、およびそれらが生息する森林生態系というものに対する理解を深めることを目的として、本年度より新たに開講され、農学部、工学部、医学部から計5名の1回生が参加しました。
森林は生育する植物や地形などによって複雑な構造を有し、それぞれの場所を選好する多種多様な動物が生息する場です。しかしながら、本来ヒトの生活圏から離れて生活する野生動物 (特に哺乳類) はなかなか姿を見ることはできない存在であり、容易にはその行動や生態を観察することができません。本実習では、実際に森に入り、様々な調査、研究ツールを用いることによって、動物の存在を可視化できること、あわせて、動物の生活を支える森林植生についても観察や簡単な調査から学ぶ機会を提供することを目指しています。
芦生研究林では、哺乳類、鳥類、節足動物といった動物、および植生を対象とした6つの項目を3日間で実施しました。哺乳類は、生け捕り罠 (シャーマントラップ) を使用した野ネズミの捕獲、自動撮影センサーカメラを使用したカメラトラップによる撮影、および林内での足跡や食痕、糞といった痕跡探しによって、節足動物はピットフォールトラップによる捕獲によって、鳥類はバードウォッチングによって、それら森林に生息する種の特定や生活の一端を探索しました。あわせて、簡易的な毎木調査や下層植生の被度調査を経験し、動物の生息地として重要な鍵となる植生の把握を行いました。
実習を行うにあたっては、対象とする森林棲動物を一人ずつに割り振り、それらについて文献調査を行うという事前課題が出され、1日目の夜にはスライドを用いた発表会を実施しました。それぞれの動物について、分布や生息地、体サイズや食性などの生態、残す痕跡や観察調査方法の例、人間や環境との関わりについての具体的な事例を発表し合い、森林棲動物に関しての理解を深めました。 カメラで撮影されたイガに包まれたクリを採餌するイノシシの様子から「痛くないのか」と想像したり、強烈な匂いを発するタヌキの糞に顔を歪めたり、ピットフォールで捕獲された節足動物の種同定に苦戦したりと、フィールドに入らなければ分からないこと、普段とは異なる経験と学びが得られた実習になったと思います。


