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学生実習

龍谷大学「化学生態学研究室森林エクスカーション」実習報告

7月25日・26日に龍谷大学農学部化学生態学研究室の森林エクスカーションが行われ、学生14名が参加しました。

1日目は、松岡俊将講師から芦生研究林の概要説明を受けた後、研究室メンバー間での研究発表会が行われました。

2日目は、林内を散策しながら、冷温帯林の特徴や代表的な樹木、かつて芦生の森に暮らしていた木地師についての説明を受けました。また、大規模防鹿柵やクマ剥ぎの見学を通じて、野生動物による森林への影響と、人との関わりについて学びました。昼食後、大カツラに立ち寄り、畦畔林の見学を行いました。

普段は都市部で生活している学生にとって、芦生の自然に触れることは非常に新鮮だった様で、奥山の特徴や、シカの過採食と防鹿柵による植生保全活動など、熱心に学んでいました。また、川の中にいるアカハライモリやサワガニを見つけて歓喜する姿も見られ、貴重な経験を得ることができたのではないかと感じました。

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学生実習

京都大学「ユネスコチェアフィールドワーク:水と森と社会」実習報告

2025年7月11-12日の日程で京都大学のユネスコチェアフィールドワーク:水と森の社会が行われ、14名の学生が参加しました。今回はインド、ミャンマー、中国、台湾、インドネシア、フランス、日本と多様なバックグラウンドを持つ学生の参加がありました。

1日目は、京北にある北桑木材センターと美山かやぶきの里を見学して、木材や茅を活用した日本の文化や生活について学びました。実習担当教員の通訳を交えながら解説者と積極的な意見交換を行っていたのが印象的でした。

2日目は、上谷にある大規模防鹿柵と木地師の墓所(伝)・屋敷跡、中山神社、大カツラを見学しました。学生たちは芦生研究林の自然や、昔の木地師の暮らしについて学びながら、森と人とのつながりを体感しているようでした。

参加した学生達は普段は研究室で活動することが多いとのことで、実際に体験することで刺激をたくさん受けたという感想が印象的でした。この実習の経験が将来の研究活動の糧になることを期待します。

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学生実習

大阪産業大学「生物資源活用演習」実習報告

2025年6月28日に大阪産業大学の生物資源活用演習が行われ、5名の学生が芦生研究林を訪れました。林内では植生回復のための防鹿柵、大カツラの見学を行いました。学生たちはニホンジカの食害や柵による植生回復、ツキノワグマがスギの樹皮を剥いだクマ剥ぎなどを見学し、赤石大輔准教授(大阪産業大学)から解説を受けました。学生たちはカジカガエルのオタマジャクシやカワゲラなど水生昆虫を見つけて写真を撮ったり、触れてみたり、興味津々でした。

下山後には資料館の見学を行いました。資料館の剥製や昆虫標本などを熱心に見学されていました。

学生からは「普段見ることのできない原生的な植生やそこでのシカの食害の影響を見ることができ、森林保全や野生生物との共存の難しさを実感した」といった感想が聞けました。

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学生実習

カセサート大学「Summer Program」 実習報告

6月10日にタイのカセサート大学の実習が行われ、学生14名、教職員4名の計18名が参加しました。

実習は、鈴木華実助教による芦生研究林の概要説明から始まり、その後斧蛇館を見学しました。あいにくの雨で、予定していた軌道沿いの散策は実施できませんでしたが、最後に構内を散策しました。学生たちは斧蛇館の展示を熱心に見学していたほか、クラブ前の池でアカハライモリなどを興味津々に観察していました。

今回、芦生の自然の美しさを間近で感じられたことは、とても貴重な体験になったと思います。参加された皆さんにとっても、心に残る特別な時間になったのではないでしょうか。

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学生実習

京都大学「環境マネジメントセミナーB」実習報告

5月27日、京都大学大学院地球環境学堂・地球環境学舎・三才学林実習「環境マネジメントセミナーB」が行われ、留学生14名、日本人学生21名が参加しました。

この実習は、地球環境学に関する幅広い素養を身につけ、自らの力で地球環境の理解に必要なデータを収集する能力を養うことを目的とされています。5日間で、「森林」・「地域」・「土」・「動物」・「川」という5つのテーマについて、各1日ずつ実習を行い、

この日は「地域」をテーマに、芦生で農林業作業を体験しました。

学生は芦生わさび生産組合のワサビ圃場で作業を行うワサビ班と、芦生研究林事務所構内の竹林で作業を行う竹林班の2つに分かれ、午前と午後で入れ替わることで両方の作業を行いました。

ワサビ班では、作業に入る前に、芦生わさび生産組合の方々から芦生地域の人々とワサビの関係(狩りの安全や豊穣を祈るために正月から4月10日のわさび祭りまでワサビを食べない)の説明を受け、自然と深くかかわる地域の生活について学びました。

その後、組合の方々から指導を受けながらワサビの移植を行いました。

参加した学生からは、ワサビ生産の取組みに協力したいという積極的な意見や、移植したワサビの成長を確認するためにまた芦生を訪れたいという感想がありました。

竹林班は、芦生区に住み、林業に従事されている方がチェンソーで竹と樹木を伐倒する様子を見学した後、獣害によって衰退した竹林の回復を目指す整備作業を行いました。ま

た、研究林職員の指導を受けながら、竹用ののこぎりで伐倒された竹を玉切りする体験もしました。

休憩時間には、整備を行った竹林のかつての姿や、芦生区での生活における竹林との関わり、獣害に関する話を聞きました。参加した学生からは、竹林が回復した暁にはタケノコを食べたいという感想が多く聞かれました。

本実習の「地域」をテーマとしたパートを芦生で実施するのは、今年度から始めた試みです。ワサビの栽培と利用、獣害による竹林の衰退という、芦生に特徴的な事柄を扱い、芦生という地域を実感してもらえたと思います。今後はワサビ圃場の作業の継続と、竹林回復過程のモニタリングを行っていく予定です。

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学生実習

東邦大学「野外生態学実習Ⅱ」実習報告

2025年5月26-30日 東邦大学の学生実習「野外生態学実習Ⅱ」が行われ、16名の学生が参加しました。

27日は森林軌道、28日は上谷において、生物相の調査を行いました。生き物好きの学生が多く参加していたこともあり、上谷ではサンショウウオやマムシを見つけて熱心に観察していました。また、松岡講師の解説のもと、関西地域の森林の特徴や、シカ過採食による植生被害と排除柵による保全について現場を見ながら学びました。28日の午後は、技術職員の指導のもと長治谷のイヌカラマツ人工林で毎木調査を行い、毎木調査データの取り方を体験しました。

29日は、実際に芦生研究林の毎木調査データを使って解析に取り組みました。芦生研究林がこれまで取得した毎木調査データは膨大で、学生達は取り扱いに苦労していましたが、グループごとに考えたテーマに沿って解析を行い、最後には樹木の成長や多様性に関する立派な発表をしていました。

芦生研究林は生き物や植生などの点で東邦大学のある関東とは異なっているので、たくさんの経験が積めたと思います。この実習が将来の研究に役立つよう願っています。

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学生実習

京都府立林業大学校「森林科学Ⅰ」実習報告

 5月28日に京都府立林業大学校の実習が行われ、12名の学生が参加しました。「森林科学Ⅰ」という科目の一環で行われた実習です。京都府立林業大学校は、2012年に設立された西日本初の林業大学校です。詳細につきましては京都府HPよりご確認下さい。

 当日は資料館で簡単に芦生研究林の解説を行った後に、杉尾峠から長治谷までの上谷エリアを歩きつつ技術職員の宮城(京林大卒業生)が解説を行い、その後 大カツラの見学を行いました。
 事前に石原林長が京林大で気候と植物の分布・遷移・森林生態系と生物多様性等について講義を行っており、座学での学びを実際に山に入り観察することで、より学習を深化させる狙いがあります。
 杉尾峠までの道中では暖温帯から冷温帯への植生の変化や林道の整備と地質の関係、森林や生態系保全に関する世界や日本、そして企業の動き(30by30、J-クレジット、TNFDなど)ついての解説を行いました。
 上谷エリアでは芦生の山を特徴づけるアシウスギ・ブナ・トチノキ、渓畔林、獣害の影響、人と森の関わり、窒素循環などについて解説をしました。今年度の学生も真面目に解説を聞いていました。休憩中には技術職員の仕事のことについて質問があり、幅広く業務を行っていることを伝えました。
 上谷歩道での見学後に大カツラに移動し、見学と記念撮影を行いました。今年度は東邦大学の実習と重なったので、松岡先生に大カツラでの解説をしていただきました。
 下山後には再度資料館の見学を行いました。資料館には色々な展示物がありますが、標本については特に気になったようで、熱心に見ている姿が印象的でした。

 京林大の実習では人工林の見学が非常に多く、芦生の山のような原生的な森に入ることは少ないです。芦生の原生的な自然やそこでの保全・教育・研究活動を学んでいただき、卒業後には生態系の在り方などについても考えられる、広い視野を持った森林・林業技術者になって活躍されることを期待します。

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京都大学「森里海連環学実習III :暖地性積雪地域における冬の自然環境と人の暮らし」実習報告

2024年度の森里海連環学実習Ⅲが2月18日から2月20日の日程で、芦生研究林において行われました。参加した学生は京都大学農学部、法学部、総合人間学部、工学部、理学部の1〜4回生9名でした。この実習では、冬、特に積雪に注目し、地球温暖化・人口減少・シカの食害などの課題を学び、それらの解決にむけて新たな森と人とのつながりについて議論することを目的としています。

実習初日は京都丹波高原国定公園ビジターセンター(以下、ビジターセンター)の見学や多雪地域での生活の様子を見学しました。

午前はビジターセンターの見学を行い、美山観光まちづくり協会(以下、美山DMO)の職員の方から、美山町の人口減少とそれに伴う様々な課題、そうした課題がある中でのまちづくりについて講義を受けました。

午後は佐々里地区に移動し、まず、中山間地域が直面する買い物の不便さを解消する方法の一つである移動販売車を見学し、お話を伺いました。次に、地域住民の方から、佐々里地区の歴史、現状や生活についてお話を伺いました。また、集落内の神社や家屋も見学しました。

佐々里での見学の後は芦生に移動し、「冬の植物・食害」、「温暖化と菌類」について講義があり、夕食をはさみ、「冬の野生動物の生態」というテーマで講義が行われました。

実習2日目は冬季の森林散策と栃へし(栃の実の皮を剥く作業)作業を行いました。

午前は、スノーシューを履いて林道を歩き、樹木や植物などの解説を交えながら、3時間ほどフィールドワークを行いました。前日からの大雪のために野生動物の痕跡を見つけるのには苦労しましたが、樹木の冬芽やシカの食痕など、様々なものを観察することができました。

午後は芦生山村活性化協議会の方を講師としてお招きし、その指導の下、栃もち作りの工程の一つである、栃へし作業を行いました。約2時間半の栃へし作業を終えたところで、栃餅をいただきました。また、この日の夕食は自炊して美山産鹿肉ときのこのカレーを食べました。

実習3日目は研究林資料館と美山かやぶきの里の見学、美山町の課題解決についてのディスカッションでした。

午前は研究林資料館を見学した後、美山かやぶきの里に移動して集落を見学しました。

午後はビジターセンターにて、美山DMOの職員の方から、Iターン者として美山町に来られた経緯や現在のお仕事についてお話を伺いました。大学卒業後、就職してまだ1年という学生に近いご年齢だったこともあり、その後、「美山町の抱える課題解決について学生としてできること」をテーマにグループディスカッションを行いました。グループディスカッション終了後、京都への帰路につきました。 今回の実習を通して、たくさんの地域の方によるご支援・ご協力を賜り、より芦生らしい実習を行うことができました。研究林教職員だけではなく地域の方とも交流を行うことで、冬山でのフィールドワークのみならず、地域生活や文化や課題といった幅広い知見を学生達は得られました。学生からは、「講義だけでなく、フィールドワークや地域の人との交流を通じて、暖地性積雪地域の自然環境の現状や、山村地域の実情について、実感を持って学ぶことができた」、「ディスカッションが多く、いろんな意見、考えが聞けた」といった感想がありました

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ボゴール農科大学「Winter Program」実習報告

1月23日にボゴール農科大学(IPB University)の学生14名、教職員3名の計17名が芦生研究林で実習を行いました。これは、京都での1週間にわたるボゴール農科大学 Winter Programの一環で、芦生研究林にて冬の日本の森を学ぶ事を目的として実施されました。

実習は、鈴木華実助教による概要説明から始まり、その後、林内を約1時間散策し、最後に斧蛇館を見学しました。例年よりも積雪が少ない芦生でしたが、参加者ほとんどが雪を見るのは初めてであり、高揚した気持ちを抑えきれず、まるで子供のように無邪気に楽しんでいました。芦生の自然の美しさや雪の景色を堪能できたことは、非常に貴重な体験だったと思います。参加者にとって特別な思い出となったことでしょう。

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京都府立北桑田高校「京都大学芦生研究林見学実習」実習報告

 11月14日に京都府立北桑田高校の「京都大学芦生研究林見学実習」実習が行われ、当日は21名の生徒が参加しました。北桑田高校は京都府内で唯一の林業に関する専門学科(京都フォレスト科)が設置されている高校です。この実習は「芦生の森について、講義を受け、実際にその森に入ることで地元地域の有する貴重な森林資源を体験的に学び、専門学科の学びを深める機会とする」ことを目的として行われました。

 当日は入山前に資料館で石原林長による、芦生研究林の概要説明が行われました。杉尾峠まで林道を約45分も車で走ることや、約4,200haという芦生研究林の広さに生徒たちは驚いていました。

 林内では、杉尾峠から長治谷までの上谷エリアと大カツラの見学を行いました。上谷エリアでは宮城技術職員が解説を行い、安全確保を山中技術職員が行いました。芦生の山を特徴づけるアシウスギ・ブナ・トチノキの解説、獣害による被害状況の解説、人と森の関り(木地師)など、幅広い解説を行いました。生徒たちは、解説を聞きながらメモを取ったり質問をしてくれたりと、非常に熱心に学んでいました。

 大カツラの見学では西岡技術職員による解説を行いました。芦生研究林に来る数週間前に、屋久島に見学に行かれていたようですが、屋久杉にも劣るとも勝らない大カツラを前に歓声が上がりました。

 実習後の生徒代表のお礼の挨拶では、「林業の専門学科といったこともあり、原生的な森の姿をみることは非常に少なくとても良い経験になりました。今日の経験を今後の進路にも活かしていきたいです。」という言葉をいただきました。生徒たちの言葉から、実習の目的を達成することができたことが伝わりました。

 林業では木を植える際の目安として「尾根マツ谷スギ中ヒノキ」と言い、スギは谷部に植えるのが良いとされています。しかし、芦生ではこの言葉とは異なり、天然のスギの多くは尾根付近に自生しています。これは積雪量に起因するのですが、実際に森を見て、自然から学ぶべきことは非常に沢山あります。

 卒業後には生態系の在り方などについても考えられる、広い視野を持った森林・林業技術者等になって活躍されることを期待します。