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京都大学「森里海連環学実習Ⅲ」実習報告

 2025年度の森里海連環学実習Ⅲが2月18日から2月20日の日程で、芦生研究林において行われました。参加した学生は京都大学農学部、医学部、大学院地球環境学舎のB1~M2の8名でした。この実習では、冬、特に積雪に注目し、地球温暖化・人口減少・シカの食害などの課題を学び、それらの解決にむけて新たな森と人とのつながりについて議論することを目的としています。

 実習初日はまず、かやぶきの里と美山民俗資料館の見学を行いました。美山民俗資料館では館長から、建物や昔の暮らしについての解説をしていただきました。その後、地域の公民館に場所を変え、かやぶきの里の住民の方にご協力をいただき、幼少期の生活や山の利用実態、害獣等について、教員が主体となり、3班に分かれ聞き取り調査を行いました。
 山が遊び場としても生活の場としても、個人だけではなく地域全体にとって、非常に身近であり重要であったことが分かる貴重なお話をお聞きすることができました。
 
 その後かやぶきの里をあとにして芦生に移動し、松岡講師が「温暖化と菌類」、TAの太田さんが「冬の野生動物の生態」というテーマで講義を行いました。

 実習2日目は冬季の森林散策と栃へし(栃の実の皮を剥く作業)を行いました。

 午前は、スノーシューを履いて林道を歩き、3時間ほどフィールドワークを行いました。2班に分かれ石原准教授が樹木の冬芽や、寒さに対する植物の防御方法や進化などについて解説を行い、鈴木助教が動物の痕跡などについて解説を行いました。
 午後は芦生山村活性化協議会の皆様を講師にお招きし、ご指導のもと、栃もち作りの重要な工程である「栃へし」を行いました。今年度は約10kgの栃の実をご用意いただき、学生は約2時間半にわたる作業に熱心に取り組みました。
 
 また、この日の夕食には美山産の鹿肉ときのこをふんだんに使ったカレーを調理し、地域の恵みを堪能しました。

 実習3日目は研究林にて聞き取り調査のまとめと発表、ビジターセンターにて美山町の課題解決についてのディスカッションを行いました。

 午前は聞き取り調査の内容を各班でまとめて発表を行いました。各班とも聞き取り調査の内容がしっかりとまとめられていました。
 午後はビジターセンターにて、京都丹波高原国定公園ビジターセンターの青田様から、「暮らしに根ざす観光のかたち~美山における持続可能な地域づくり~」というテーマで、美山町の現状と将来像についてご講義いただきました。

 講演と聞き取り調査を受け、「美山のどういう所を残し伝えていくべきか」「それをどう地域づくりの中で活かしていくか、伝え残していけるか、新しいものを創っていくか」というテーマで、グループディスカッションを行いました。ディスカッションの後、各班がこの実習を通して得た学びや肌で感じたことを踏まえ、プレゼンテーションを行いました。

 今回の実習では、地域の皆様に多大なご支援・ご協力を賜りました。研究林教職員だけではなく地域の皆様とも交流を行うことで、より芦生研究林らしい地域に根差した実習を行うことができました。

 学生からは、「この短い三日間を通して、私にとっての美山の魅力は、住んでいる人々そのものだと思った。この方たちあっての美山であり、やはり自然と人は切っても切れない、密接に関わりあっているのだと身をもって体験することができた。」といった感想があり、非常に有意義な実習となりました。

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京都府立北桑田高校「森林科学演習」実習報告

 10月23日に京都府立北桑田高校の「森林科学演習」が行われ、14名の生徒が参加しました。北桑田高校は京都府内で唯一の林業に関する専門学科(京都フォレスト科)が設置されている高校です。この実習は「芦生の森について、講義を受け、実際にその森に入ることで地元地域の有する貴重な森林資源を体験的に学び、専門学科の学びを深める機会とする」ことを目的として行われました。
 
 当日は入山前に松岡講師による説明と資料館の見学により、芦生研究林の概要を学びました。
 林内では、杉尾峠から長治谷までの上谷エリアと大カツラの見学を行いました。上谷エリアでは宮城技術職員が解説を行い、安全確保を西岡技術職員が行いました。職員の解説を通じて、芦生の山を特徴づけるアシウスギ・ブナ・トチノキについて、獣害による被害状況について、人と森の関り(かつて森で生活していた木地師)についてなど、多様な視点から芦生研究林について学びました。生徒たちは、解説を聞きながらメモを取ったり質問をしてくれたりと、非常に熱心に学んでいました。
 芦生研究林に来る一年前には、屋久島に屋久杉の見学に行かれていたようですが、屋久杉にも引けを取らない大カツラの迫力を前に歓声が上がりました。
 
 林業では木を植える際の目安として「尾根マツ谷スギ中ヒノキ」と言い、スギは谷部に植えるのが良いとされています。しかし、芦生ではこの言葉とは異なり、天然のスギの多くは尾根付近に自生しています。これは積雪量に起因するのですが、実際に森を見ることで、自然から学ぶことができることが非常に沢山あります。

 卒業後にはこの実習での経験を活かし、生態系の在り方を多様な視点から考えられる、広い視野を持った森林・林業技術者などになって活躍されることを期待します。

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京都大学/龍谷大学「宇宙森林実習」実習報告

2025年10月6~7日に、京都大学と龍谷大学の合同実習「宇宙森林実習」が開催され、京都大学1名、龍谷大学2名の学生が参加しました。

1日目は枡上谷の調査プロットへ行き、毎木調査を体験しました。その日の夜には枡上谷の毎木調査データの解析を行い、森林の炭素蓄積量を推定しました。

2日目は集水域全体を防鹿柵で囲った試験地を見学して、シカによる過食採を通じ、生物間相互作用や、森林生態系の機能の安定性と回復力について学びました。

参加者の多くは森林分野を専門としていませんでしたが、実地で学ぶことで宇宙分野と森林や生態系の関連性を実感してもらえたかと思います。

実習を引率された土井隆雄先生は、世界で初めての木造人工衛星の開発に携わられており、宇宙開発での木材の有用性の話も聞くことができ、木材の新しい可能性を学ばさせていただきました。芦生研究林のホオノキも人工衛星に活用していただくため提供しています。

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京都大学「森林利用学実習及び実習法」実習報告

 9月24日~27日の日程で京都大学の実習「森林利用学実習及び実習法」が行われました。この実習は芦⽣研究林において、森林の毎⽊調査、森林の現存量調査、林業に関する知識と技術を習得することを目的として行われており、農学部3回生及び4回生の学生21人が参加しました。

 1日目は南丹市美山町内にて美山町森林組合の伐採現場の見学を行いました。現場で稼働している高性能林業機械の見学や森林組合の職員の方々から現場での体験談や、伐採から市場・工場までの木材流通に関する話など聞くことができました。

 2日目は研究林内の人工林にてコンパス測量を用いた森林調査プロットの設定や毎木調査、樹木位置落としを行いました。この実習の前に北海道研究林で行われた研究林実習Ⅲでコンパス測量や毎木調査の方法を学んできた学生も多く参加しており、フィールドでの作業はスムーズに進んでいました。

 3日目は2日目に設定したプロットにて、職員による立木伐採の見学、チェンソーでの輪切り体験、木材の現存量調査を行いました。学生たちはチェンソーの扱いに少し恐怖を感じながらも、職員指導の下で安全に操作していました。

 最終日は午前中に講義室にて3日間の実習レポートを作成しました。午後からは北桑木材センターに向かい、木材市場に関する説明を受けながら見学しました。

学生たちは、林業現場の⾒学やチェンソー体験などを通して林業作業を学ぶとともに森林の現存量を測定するための基礎的な調査方法や、樹⽊の位置図、頻度分布図の作成などから林分構造についても学ぶ事が出来たのではないでしょうか。

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京都大学「ILASセミナー:芦生研究林に棲む動物たちの探索」 実習報告

2025年9月22日から24日の日程で、京都大学の「ILASセミナー:芦生研究林に棲む動物たちの探索」が開催されました。本ILASセミナーは、森林に生息する動物の生態への理解、およびそれらが生息する森林生態系というものに対する理解を深めることを目的として、本年度より新たに開講され、農学部、工学部、医学部から計5名の1回生が参加しました。

森林は生育する植物や地形などによって複雑な構造を有し、それぞれの場所を選好する多種多様な動物が生息する場です。しかしながら、本来ヒトの生活圏から離れて生活する野生動物 (特に哺乳類) はなかなか姿を見ることはできない存在であり、容易にはその行動や生態を観察することができません。本実習では、実際に森に入り、様々な調査、研究ツールを用いることによって、動物の存在を可視化できること、あわせて、動物の生活を支える森林植生についても観察や簡単な調査から学ぶ機会を提供することを目指しています。

 芦生研究林では、哺乳類、鳥類、節足動物といった動物、および植生を対象とした6つの項目を3日間で実施しました。哺乳類は、生け捕り罠 (シャーマントラップ) を使用した野ネズミの捕獲、自動撮影センサーカメラを使用したカメラトラップによる撮影、および林内での足跡や食痕、糞といった痕跡探しによって、節足動物はピットフォールトラップによる捕獲によって、鳥類はバードウォッチングによって、それら森林に生息する種の特定や生活の一端を探索しました。あわせて、簡易的な毎木調査や下層植生の被度調査を経験し、動物の生息地として重要な鍵となる植生の把握を行いました。

 実習を行うにあたっては、対象とする森林棲動物を一人ずつに割り振り、それらについて文献調査を行うという事前課題が出され、1日目の夜にはスライドを用いた発表会を実施しました。それぞれの動物について、分布や生息地、体サイズや食性などの生態、残す痕跡や観察調査方法の例、人間や環境との関わりについての具体的な事例を発表し合い、森林棲動物に関しての理解を深めました。 カメラで撮影されたイガに包まれたクリを採餌するイノシシの様子から「痛くないのか」と想像したり、強烈な匂いを発するタヌキの糞に顔を歪めたり、ピットフォールで捕獲された節足動物の種同定に苦戦したりと、フィールドに入らなければ分からないこと、普段とは異なる経験と学びが得られた実習になったと思います。

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京都大学「ILASセミナー :芦生研究林の菌類多様性に触れよう」実習報告

2025年9月22日から24日の日程で、京都大学のILASセミナー「芦生研究林の菌類多様性に触れよう」が開催され、農学部、理学部、工学部、文学部の1回生が計5名参加しました。

菌類は、きのこやかび・酵母として知られる生物グループです。そして、菌類は、我々ヒトを含む、他の生物と密接にかかわりながら生活をしていて、自然界において他の生物には見られないユニークなはたらき(機能)を持つ生物です。この実習では、芦生研究林において、きのこ相調査を通じて、菌類の生き方、森でのはたらき、そして多様性や生態の研究方法について学ぶことを目的としています。

1日目の研究林到着後は、早速林内に入り、ブナ科広葉樹が優占する天然林を歩きながらきのこを採集、観察しました。数日前から一気に気温が下がったことがきのこの発生を刺激したのか、たくさんのきのこを発見することができました。下山後、採集したきのこの同定を行い、きのこの本体である菌糸の生き方についての講義を受けました。

2日目は、天然林に加えて、スギの人工林内でもきのこの採集と観察を行いました。2日間の調査を通じて、森の姿と菌類の多様性の関係について実際に現場を歩きながら学びました。下山後には採集したきのこの同定を行い、前日の成果とあわせて植生ときのこの多様性について成果をまとめました。夜には調査の成果を、同時期に北海道研究林で開催されているILASセミナー「北海道のきのこの多様性と生き方」との合同発表会(オンライン)で発表しました。

3日目は講義と菌類の多様性についてのレポート作成、実習のまとめと意見交換を行い、終了しました。

この実習で学生たちは、たくさんの種類のきのこを野外で観察し、色や形やにおい、さらにきのこと森との関係など、きのこの生態や観察方法を実際に体験しながら学びました。生態系における菌類のはたらきや生育環境について知ることで、我々の暮らしと菌類の繋がりを学ぶことができたと思います。

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京都大学「研究林実習Ⅱ」実習報告

9月16日~18日の日程で京都大学「研究林実習Ⅱ」が行われ、京都大学農学部森林科学科の学生10人が参加しました。

 初日は、はじめに伊勢武史准教授による講義が行われました。その後下谷の大カツラ周辺に移動し、顔認証AIを利用して顔の表情から、その時どんな感情だったのか読み取る実験を行うために、それぞれが森の中で自由に活動しながら学生同士で写真を撮影しました。AIが導き出した学生たちの活動中の表情は、驚き、怒り、喜び、悲しみなど様々な感情が検出されていました。ただ、読み取る際に写真の向きを揃えていないと正しく認識されないなど、必ずしもAIが自動で読み取る訳ではなく、少し手を加える必要がありました。

 2日目は、山崎理正准教授による昆虫の多様性に関する実習が行われました。異なる森林、地形間で昆虫の多様性を比較し、樹木の多様性と昆虫の多様性の関係について考察しました。この実習で調査対象となる昆虫はアリで、捕獲には事前に設置していたピットフォールトラップと、ツナ缶を餌として利用したベイトトラップの2パターンで行いました。午前中に16ヵ所、午後からは20ヵ所の計36ヵ所でトラップの回収・設置を行いました。ベイトトラップは設置後90分後にどんなアリが誘引されているか確認し、ムネアカオオアリやアメイロアリなどが見られました。

 3日目は2日目の調査のデータ解析を行いました。ピットフォールでは7種類、ベイトトラップでは4種類のアリが確認できました。地形による種の違いは今回の調査地では確認できないという結果でした。解析後は斧蛇館の見学を行いました。参加した学生からは森の中で爬虫類から昆虫まで様々な生物が観察出来て楽しかったなどの意見がありました。

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京都大学「ILASセミナー :京都の文化を支える森林:地域の知恵と生態学的知見」実習報告

2025年9月10日から12日で、京都大学のILASセミナー「京都の文化を支える森林:地域の知恵と生態学的知見」が開催され、総合人間学部・理学部・工学部・農学部・公共政策大学院の学生12名が参加しました。

京都は豊かな森林・水などの自然に支えられ、その資源を利用することによって古より発展を遂げてきました。多くの文明が環境破壊と生態系サービスの劣化によって失われた事実とは対照的に、京都の周辺は現在でも多くの森林や渓流が残り、京都の文化を支えています。

本科目は、京都文化を支えるこれらの自然の利用方法や森林に対する人々の知恵を知り、森林と人間の関係を科学的に捉える研究手法を実習を通して学び、人間社会と森林との新しい関係を考えることを目的としています。

1日目は、かつての里山、現在は都市近郊林である上賀茂試験地で行いました。里山の典型的な樹種やナラ枯れを観察し、炭焼き窯を見学し「新しい里山」としてのイオン環境財団との連携事業を学び、チェーンソー体験を行いました。その後、芦生研究林へ向かい、夜は芦生研究林の概要について講義を行いました。講義後は学生さん同士で交流を深めていました。

2日目は、原生的な森林である芦生研究林で、天然林とそこに生育する樹木などの生き物や大規模シカ柵内外の植生の見学を行いました。午後からは、栃の実の生産量や利用に関する調査を行いました。下山してから、「猟師として野生動物と向き合う」と題して、合同会社田歌舎の藤原誉さんに講演していただきました。夜は、「京都の文化を支えてきた森林−森と人の歴史−」と題して講義を行いました。

3日目は、美山町の茅葺の里、京北町の木材市場「北桑木材センター」を見学しました。その後、北白川試験地へと移動し、北山台杉、間伐材を有効利用した建物を見学しました。その後、フィールド科学教育研究センターの会議室で、振り返りを行いました。

参加した学生さんの感想からは、フィールドでの学びの意義が浮き上がりました。一例を紹介します。

「実習で最も良かった点は、フィールドに出て実際の生態系に触れることで、自分の中に『生物の命が宿る』という感覚を持てたことである。

私たち人間の生命は、決して個人だけで成り立っているのではなく、目に見えない微生物や、実習中に私たちに取りついていた蛭や蜂、さらには害獣とされるシカやイノシシといった多様な生物とつながっている。その感覚を実体験として改めて得られたことが、私にとって大きな学びであった。(中略)

自らの心が動きにくい自然から隔絶された環境では、いくら概念として「生物多様性」を学び研究しても、人の心を動かす言葉は生まれにくい。その結果として、人々は里山や奥山の現状に目を向けることがなくなり、こうした里山や奥山の危機に立ち向かう様子はあまり見られない。 そこには、ヘレン・ケラーが述べた『科学は人類の困難をたくさん解決してきたけれども、最悪のもの―それは人間の無関心―には無力である』という言葉が重なってくる。だからこそ、本セミナーのようにフィールドで学ぶ機会の重要性を改めて強く感じた。」

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公開森林実習Ⅰ 実習報告

 2025年公開森林実習Ⅰは、2025年9月3日(水)~5日(金)の日程で開催しました。京都先端科学大学、近畿大学、筑波大学、宮崎大学、明治大学から計9名の学生が参加しました。

 実習の目的は、京都における里山と奥山の両方において、森林の歴史や現在の状況(ナラ枯れ・マツ枯れ・シカによる食害・人工林の管理)を体験学習し、森林をめぐる環境問題に対し、科学的な知識や研究手法を習得することです。本拠点事業では特に、地域の人々との交流や活動の体験を通じて、人間社会と森林の関係について考察し、持続的な人と森との関係のあり方を多面的に考えられるようになることを実習の特色として掲げています。

 初日は京都市の里山について、上賀茂試験地で講義と実習を行いました。上賀茂試験地では、都市近郊林の自然植生とナラ枯れ・マツ枯れ被害、マツ類を中心とする外国産樹種とその特徴の解説に、受講生は興味深く耳を傾けていました。次に、イオン環境財団と協働で行っている「里山おーぷんらぼ」という、市民参加型の里山活動について、説明と活動場所の見学がありました。さらに、上賀茂試験地技術職員の指導のもと、チェーンソーを用いた丸太の輪切り体験を行いました。

 上賀茂試験地での実習の後、芦生研究林へ移動しました。夕食後に二つの講義がありました。最初は松岡先生が「芦生研究林の概要説明」という講義を行いました。この講義では芦生の森林や生物多様性とその重要性、そしてシカの過採食による森の変化について解説を行いました。続いて、遠隔地会議システムを用いて、北海道研究林の小林先生が「北海道の森林と人との関わり」についての講義を行いました。

 講義後に受講生から、それぞれの身近な森についてパワーポイントを使って説明してもらいました。受講生は、異なる地域や視点を持っていることから、一人ひとり全く異なる「森」の姿や人との関わりの紹介が行われ、とても良い交流の契機となりました。

 2日目は、芦生研究林内での見学と調査体験を行いました。午前中は、林内では原生的な自然の残るエリアを歩きながら、天然林と奥山の人工林の観察をしたほか、大規模シカ排除柵の見学を行いました。午後からは芦生のシンボルである大かつらの見学や、トチノキの種子の結実量調査体験とトチノミを利用する文化を守るための芦生研究林と地域協働の取り組みを学びました。
 夕方から美山町で暮らす猟師さんから、猟師としての暮らし、「狩猟」と「駆除」の間で生きる葛藤などについて講演をしていただきました。普段は交流する機会のない猟師のお話はとても興味深い内容で、講義後は多くの質問が寄せられました。
 夕食は芦生研究林のある美山町で獲れたシカ肉でカレーを作りました。夕食後に張先生が「農山村の生業」という講義を行いました。

 3日目は研究林事務所を発つ前に、坂野上先生が「森と人の歴史」という講義を行いました。午前に茅葺の里での里山景観を観察しながら、その歴史や生物多様性との関わりを学びました。
 午後には大学構内にある北白川試験地において北山台杉やj.Pod(リブフレームによる木造建築)の見学を行いました。最後に、実習の振り返りが行われ、解散となりました。
 学生からは「森林について、人間の利用という観点から歴史や文化について学ぶことができた。森林と人の生活や文化が密接に関わっていることがわかって、森林について学ぶ意義の新たな視点が得られた」、「やはり、座学で習うよりも実際に自分の目で見て、音を聞いて、触ることで得られる知識は、座学で習うよりもスッと知識として頭に入ってくるんだなと実感しました。」といった感想が寄せられました。

 3日間という短い時間でしたが、里山から奥山までを観察することができたと思います。この実習を通して森林がもつ魅力を伝えられるとともに、現状の問題点を考えられる人材になられることを期待します。

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京都大学「研究林実習Ⅰ」実習報告

8月25日~29日の日程で、京都大学の「研究林実習I」が行われました。この実習は8月25日~8月27日と、8月27日~8月29日の前半・後半の2グループに分かれて行われ、前半グループは38名、後半グループは30名の農学部の学生が参加しました。

前半・後半とも実習内容は同じで、実習1日目は幽仙谷付近から事務所までの区間で樹木識別を行い、2日目は杉尾峠から長治谷までの区間で樹木識別や防鹿柵の見学等を行いました。

樹木識別の実習では、代表的な樹木の腊葉(さくよう)標本作成を通じて、樹木の観察や識別のポイント、検索表の使い方を学びました。標高の違いによる自生樹種の多様性や、鹿の影響による林内植生の変化などを、実際に現場で観察することは、学生たちにとって貴重な学びになったと思います。