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教育活動

ポケゼミ報告2011「環境の評価」

森林資源管理学分野 吉岡 崇仁 教授


 A・B群のゼミナールとして開講し、自然環境を評価することの意味について、自然科学的、社会科学的側面から解説と討論の形式で実施した。受講生は、経済学部1名、法学部1名、工学部2名、農学部4名、総合人間学部2名の合計10名であった。教室で8回の講義形式の授業と芦生研究林での合宿を実施した。
 このゼミでは、「環境を評価する」とはいったいどういうことかという点について、環境の持つさまざまな価値を人間が認識し、自らの態度や行動を決定する際には、その環境の価値を判断している、という枠組み設定に基づいて議論を進めた。合宿では、あらかじめ用意したレポートを発表し、議論した。
 教室でのゼミでは、人が事物を認識し「評価」することの意味の確認から、環境の評価が環境の価値判断となり、人の環境への態度・行動につながるという因果関係について議論しながら検討した。その中で、環境を評価することの意味について意見を求めたところ、個人によってかなり異なる意見を持っていることが分かり、簡単なことではないという印象を持つ受講生が多かった。環境に価値、「値段」をつけることに関して議論したときには、賛否両論があったが、受講生に経済学部と法学部の学生がおり、それぞれ特徴のある意見を持っており、議論が深まった。1回生ではあるが、所属学部に特徴的な感性、発想をすでに持っていることが分かり頼もしく感じた。これらは、全学共通の少人数ゼミ形式であることの大きなメリットである。また、環境の価値評価を人間中心主義的観点から行っているのか非人間中心主義的観点から行っているのかを議論した際には、自分の観点を始めて認識し、他の学生の意見も聞くうちに自分の考えが変化する学生と変化しない学生がいたが、自問自答していることがよくわかった。
 レポートは、環境に関する新聞等の記事を選び、そこに含まれる「環境評価」の文脈の抽出と解説を課し、その内容を芦生研究林での合宿(8月18-19日)で披露し議論することにした。研究林内では、天然生林、人工林の観察(写真1)に加え、林内数カ所で実施されているシカ排除実験地を観察したあと、夜にはそれぞれのレポートの内容を発表して意見を交換した(写真2)。今年は、東日本大震災に関連し、合宿直前に話題となった京都五山の送り火での被災松使用を取り上げた受講生が2名いた。科学的に評価された放射能汚染の数値と放射能を怖れるという社会的評価の関係についても議論でき、大変有意義であった。