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センター長挨拶_2003


(資料:2006年度までのセンター長挨拶)

京都大学フィールド科学教育研究センター発足にあたって

京都大学フィールド科学教育研究センター長・田中 克

 私達が解決を迫られている地球的課題のなかで、環境保全は最も根元的な問題と考えられる。1990年代後半より、京都大学ではこの問題の解決を目的とした体系的な教育研究体制の整備が検討され、その一環としてフィールド科学教育研究センターが2003年4月1日に発足した。本センターは、これまで理学研究科、農学研究科に附属していた瀬戸臨海実験所(白浜)、演習林(京都・芦生・和歌山・徳山・北海道)、亜熱帯植物実験所(串本)ならびに水産実験所(舞鶴)を統合し、全学共同利用組織として、より広い視野とより長い視点を持った新たなフィールド科学の教育と研究の発展を目指している。各施設は、太平洋側から日本海側に至る近畿圏を中心に、北海道や山口県を含む広域に位置し、これらの統合化により、わが国を代表する温帯域のフィールド科学の拠点として機能することが期待されている。
 本センターの特徴は、言うまでもなく、近畿圏を中心とする多様な地域の特性を生かした、個性豊かな現地施設より成り立っていることである。各施設とセンター本部や総合人間学部をつなぐ遠隔生態観測・遠隔講義システムの整備により、それぞれの施設で貯えられてきた豊かな知的財産が、全学共通教育を通じて、自然と環境問題への問題意識の高揚に大きな力を発揮することを意図している。この高揚したモチベーションを、現場での実地教育や、大学院生としてのフィールド研究へと発展させることにより、各施設と統合体としてのセンターの存在価値は輝きを増すことになる。同時に、学術情報メディアセンターや総合博物館との連携を進め、現場に根ざした「生」の生物圏情報を社会へ公開していくことにより、学内でもユニークな組織として独自の社会貢献が可能となる。
 私達の日本は、森と海に代表される類い希な豊かな自然に恵まれている。この豊かな自然環境を大切にし、自然との共生のあり方を学ぶことを基本とした新たな教育と研究を展開し、私達自身の価値観を自己改革することが、地球環境問題の解決に不可欠と考えられる。当センターはこの理念の実現に向かって、これまで個別に進められてきた森林生物圏、人と自然の共生系としての里域生物圏、沿岸海洋生物圏に関する基礎生物学と応用生物学を森・里・海の連環学として統合し、日本発の新たな科学の創生に挑戦する。 (2003年4月)

(元URI http://fserc.kyoto-u.ac.jp/main/aisatsu.html -2007.03.31)