ポケゼミ報告2011「日本海に遊ぶ~日本海学入門」

沿岸資源管理学分野 助教 上野 正博

 昨年度は受講選抜にレポートを課したところわずか4名での開講となり,それに懲りて今年は無作為抽選にしたところ,めでたく12名の定員一杯での開講となった.日本海の形成から始めて,環境・漁業・日本人の暮らしとの関わりなど事前授業を京都で2012年1月13日に二コマ続けて行い.2月21日から2泊3日の実習にそなえた.
 病欠などで9名が参加した実習は,21日11時に西舞鶴駅前で開始.すぐに車に分乗して宮津市外の小さな水族館「魚っ知館」にむかう.水族館自体は小さいが,普段お目にかかれないバックヤードを見学し,飼育員の方に色々と珍しい話を伺う.
 13時半からは宮津市の「みやづ歴史の館」で開かれた「丹後の海の恵みを生かす」試験研究成果報告会に参加.ナマコ,アカアマダイ,アカモク,アサリ,サワラ,ズワイガニといろいろな水産物の増養殖技術や資源管理技術等について,京都府北部にある各研究機関からの報告を聞く .現場での試験研究の最前線なので,成功した研究成果の報告だけではなく,失敗談や直面する課題も聞くことができ,いろんな学部の学生にとっても面白かったようだ.
 17時からは舞鶴水産実験所で水産物調理実習. TAの院生達に指導されていろんな魚貝類を調理する.意地悪な私が仕入れたナマコ,生シラス,ホウボウ,カワハギ,サバフグなど,普段余りお目にかからないものの調理をワイワイとやり,おきまりの宴会.ほとんどの学生にとって初体験の味が多かったが,予想外のうまさに堪能したらしい.
 22日は実験所の緑洋丸に乗船し,海洋調査を体験する予定だったが,少し時化模様だったため午前中で切り上げて帰港.午後は各自が準備してきた日本海をお題にしたプレゼン大会.一人30分の持ち時間でプレゼンと討論を夕方まで行った.気候やエチゼンクラゲから日本史,呼称問題まで幅広いテーマでプレゼンがあったので学生と楽しむ.
 最終日は朝から魚市場を見学.京都府各地から運び込まれたいろんな魚貝類の生態や漁法,暮らしとの関わりを解説.学生たちは初めて見るセリが何をやっているのかまったく分からずかなり驚いた様子であった.最後は恒例の成相山に上り,この冬の豪雪に埋もれた境内にびっくり.眼下に天橋立を眺めながら海岸地形のでき方や海面にできた潮目の解説などを講義して2泊3日のポケゼミは今年も無事終了した.