瀬戸臨海実験所畠島での45年以上にわたるウニ類の継続調査

2018年4月25日、瀬戸臨海実験所畠島での45年以上にわたるウニ類の継続調査をまとめた中野智之助教、加藤哲哉技術長らによる論文が、電子ジャーナル『Ecological Indicators』に掲載されました。

Ohgaki, Shun-Ichi; Kato, Tetsuya; Kobayashi, Naomasa; Tanase, Hidetomo; Kumagai, Naoki H.; Ishida, So; Nakano, Tomoyuki; Wada, Yoko; Yusa, Yoichi
(故 大垣俊一 ・加藤哲哉・故 小林直正・田名瀬英朋・熊谷直喜・石田惣・中野智之・和田葉子・遊佐陽一)
Effects of temperature and red tides on sea urchin abundance and species richness over 45 years in southern Japan
(45年以上の継続調査による日本列島南部における温暖化と赤潮がウニ類に与える影響)
Ecological Indicators, (2018)

DOI: 10.1016/j.ecolind.2018.03.040 (電子ジャーナル閲覧のための認証が必要です)

 本論文は、瀬戸臨海実験所が管理する和歌山県田辺湾の畠島において、1963年以来ほぼ毎年実施しているウニ類の個体数調査、1983年からおよそ5年毎の底生生物86種の個体数調査、1973年から実施している畠島周辺の海水を用いたムラサキウニの発生実験による正常発生率をもとに、ウニ類の長期変動の傾向とヒトによる活動の影響を評価しました。その結果、1970年代後半からを中心にウニ類の個体数が減少した時期には、赤潮の発生日数が多く、ムラサキウニの幼生の正常発生率に影響を与えていたこと、その後徐々に個体数が回復していることなどが確認されました。このような海洋生物の長期継続調査は世界でも貴重で、時岡隆所長(2001年没)らが始め、大垣俊一(南紀沿岸生態研究室・2012年没)や小林直正(同志社大学名誉教授・2017年没)ら瀬戸臨海実験所に縁の深い研究者が引き継いできた「海岸生物群集一世紀間調査」のいわば中間発表となります。

 詳しくは、京都大学ページの研究成果発表「ウニ類に対する人間活動のインパクトを解明 -半世紀の長期継続調査による世界初の成果- 」、および 解説PDFファイル を参照下さい。

(参考)
畠島 (瀬戸臨海実験所 紹介ページ)
畠島実験地(瀬戸臨海実験所 紹介冊子)1969年
大垣俊一 「チョコレート・クランチ:時岡隆さんのこと」 (関西海洋生物談話会「Argonauta」第6号 PDF) 2002年
大垣俊一「浅海生物相の長期変動 – 紀州田辺湾の自然史」 2011年
畠島全島調査 (瀬戸臨海実験所公式ブログ) 2013年
中野智之 京都大学所有の無人島「畠島」での半世紀にわたるウニ類の継続調査からわかったこと (academist Journal) 2018年 (2018-05-23追記)