報告 「大学の森で学ぼう2018~冬の森をしらべてみよう~」

ひらめき☆ときめきサイエンス「大学の森で学ぼう2018~冬の森をしらべてみよう~」

北海道研究林長 舘野隆之輔

 京都大学フィールド科学教育研究センター北海道研究林では、日本学術振興会の研究成果の社会還元・普及事業「ひらめき☆ときめきサイエンス~ようこそ大学の研究室へ~」の一環として、小学校高学年、中学生、高校生を対象に「大学の森で学ぼう~冬の森をしらべてみよう」を開催した。開催日は、平成31年1月12日(土)で、参加者は小学生1人、中学生1人、高校生7人に加え、引率教員1人が参加し、実施代表者の舘野と実施分担者の北海道研究林教職員がプログラム実施に携わった。
 北海道研究林では、これまで様々なテーマで開催してきたが、今年は、はじめて冬季に開催した。開講式では、開講の挨拶に続き、科研費に関する説明を実施代表者から行った。開講式に引き続き大学の講義を体験するミニ講義では、「厳冬期の森林環境」についての講義で、大学の講義を体験してもらった。その後、構内で積雪や凍結土壌の観測や雪の採取を行った。さらにお昼休みをはさんで、午後の野外観測を行った。開催時に積雪が十分でなかったため、事前に高さ1m程度の雪山を作り、雪山の中の地表面に温度ロガーを設置し、また同時に気温と薄く雪が覆った場所の地表面の温度を併せてモニタリングしておいた。その雪山を崩して、深さごとの温度を測定するとともに、温度ロガーからデータを回収し、雪の断熱効果について学んだ。その後、実験室では、採取した雪のpHとECの測定を行い、また融かした雪の体積を測り、雪の密度を測定した。最後に学んだことや自分たちでとったデータから冬季の環境や雪の機能について考察を行い、短い発表を参加者全員が行った。今回の参加者は、町内や近郊の学生たちであったが、雪のことを改めて学ぶ機会はあまりなかったようで、深さごとに雪の温度が変わる様子がとても興味深かったようである。
 過去にも何度か参加してくれた学生が今回も参加してくれ、この度、推薦入試に合格し、来年度から大学生になると報告してくれた。北海道研究林は、教育関係共同利用拠点として、他大学向けの公開実習も開講しているため、今度は大学生として参加してくれるように誘っておいた。

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