朝倉 彰

朝倉 彰

asakura akira
フィールド科学教育研究センター 海洋生態系部門
基礎海洋生物学分野・瀬戸臨海実験所 特任教授
京都大学 名誉教授
E-mail:asakura.akira.6w*kyoto-u.ac.jp(*を@に変えてください)
業績など(教育研究活動DB)

(2013-02-26 更新)

1.研究分野
 これまでの研究内容の概要としては、海洋生物とその多様性をキーワードとして、無脊椎動物、特に甲殻類を中心に個体群動態、群集構造の解明、動物行動学、系統分類と進化、生物地理等を基盤とするグローバルかつ歴史的なプロセスも含めた総合的な視点からの研究を行ってきた。

(1) 海洋生物の多様性のあり方と歴史性
 系統分類・生物相成立に関する国際共同プロジェクト:地球生命の源である暖温帯〜熱帯海域を中心に研究を行ってきている。日本・米国・北マリアナ連邦の共同研究チームを組織し、関東、伊豆諸島、小笠原諸島、ミクロネシアに至る南北3000kmの島列に生息する植物・動物の分類、種多様性、緯度的変異に関する研究を行い、1992年世界初の北マリアナ無人島群総合学術調査を行い、採集生物は国内外の100名以上の研究者によって研究され多数の新種記載を含む新知見を60本あまりの論文集として出版し、さらにその後も継続し研究を続けている。
 世界の大型自然史博物館が管理する大規模Expedition標本、例えばAlbatross号世界周遊航海標本(Smith. Inst., U.S.A.)、Challenger号世界周遊航海標本(Nat. Hist. Mus., U.K.)、Campagnes MUSORSTOM (Polynesia〜東南アジア, France)、Diversification in Tropical Pacific Project (Univ. Florida & Univ. Guam), Pacific Biological Survey: Studying biodiversity throughout the Pacific Basin (Bishop Mus.) , PANGLAO: Marine Species Richness in the Context of Indo-Pacific Biodiversity Gradient (Mus. Ntn. d’Hist. Nat. France, & Univ. Singapore, etc.)等の研究に参加し、太平洋~インド洋域を中心に、また比較検討のための大西洋産種も含め、十脚甲殻類を材料として系統分類、生物地理の研究を行っている。
 深海性甲殻類の分類学:東京大学海洋研究所の白鳳丸と淡青丸、長崎大の長崎丸、広島大の豊潮丸などの調査船により採集された材料をもとに、深海、超深海の稀少無脊椎動物の系統分類、生物地理の研究を行っている。
 岩礁潮間帯群集の構造と地理変異:日本列島の岩礁潮間帯ベントスについて、伊豆諸島、小笠原諸島、ミクロネシアに到る南北3000kmの島列の種多様性、緯度的変異に関する研究を行い、近い緯度にある琉球列島のそれと比較し、その成立プロセス、進化、生物地理的研究を行っている。それらの知見をもとに、全地球的な海洋生物の進化、生物地理、種多様性の解明を目指している。
 分子系統地理学:首都大学東京集団進化遺伝学研究室と共同で、温帯域のフォーナの進化的成立プロセスについてmtDNA・核DNAをマーカーとし、冷帯域及び熱帯域から温帯域への侵入、Amphi-Pacific分布種、Amphi-polar分布種、sibling speciesの分子系統学的、集団遺伝学的解析の研究を行っている。今後それらの生態的、行動的違いをも詳細に調べ、総合的な種分化機構の解明を目指している。

(2) 海洋生物の多様性の挙動
 個体群動態と生活史学:潮間帯~浅海砂泥底の甲殻類を材料にその生活史、個体群動態、幼生定着機構、脱皮成長様式とその雌雄差、資源利用様式とその雌雄差、資源をめぐる種内競争、生残率の雌雄差の研究を行っている。
 種間関係とその動態:岩礁に同所的生息する甲殻類について、種間の生息地と資源利用の違い、種間攻撃行動と競争に関する研究を行っている。またサンゴ礁の多種共存システムと群集構造、資源分割、ニッチ共有の実態に関する研究を行っている。
 行動生態学:甲殻類の比較行動学、特に社会的行動(配偶様式、ディスプレイ、攻撃行動)の研究を行った。雌雄の行動様式の違いとそれから生ずる個体群内の役割に関して研究を行っている。ヒトを含む哺乳類から下等無脊椎動物に至る社会構造の進化の一般法則を見い出すべく、全動物群の比較行動学の体系化を目指している。

(3) 水生生物の多様性の危機と保全
 自然破壊が著しいウエットランド生態系の保全・環境問題の研究を、淡水域を中心として河川、湖沼、潮間帯で行い、絶滅のおそれのある甲殻類(レッドデータ種)に関する調査を、特に淡水産のエビ・カニ類を中心に行っている。

2.好きなもの,趣味
 今は時間がなくてやっていませんが、かつては朝顔の栽培、金魚や熱帯魚の飼育、クラシック音楽の鑑賞(シベリウス、ブルックナー、モーツアルト、マーラー、ハイドンなど)。

3.その他
 国際甲殻類学会(The Crustacean Society)の会長Presidentを2010-2011年にやっていました。下記に世界の甲殻類研究者に向けた私からのメッセージがあります。
 http://www.thecrustaceansociety.org/uploads/ecdy30-2.pdf
 http://www.thecrustaceansociety.org/uploads/Newsletter_30-1.pdf
 http://www.thecrustaceansociety.org/uploads/Newsletter_29-2_Nov_2010.pdf
 http://www.thecrustaceansociety.org/uploads/Newsletter_29-1_May_2010.pdf

 今は日本甲殻類学会の会長をやっています。甲殻類に興味のある人、プロ、アマを問わずしてぜひご入会ください。下記にその情報があります。
 http://rose.hucc.hokudai.ac.jp/~s16828/cr/j-site/j-Top_page.html

 朝倉彰紹介ホームページ
 http://akiraasakura12.blogspot.jp/


(フィールド研における経歴とページ履歴)
2011-01-01/2013-07-31 基礎海洋生物学部門 海洋生物多様性保全学分野 教授 着任
2011-04-01 http://fserc.kyoto-u.ac.jp/wp/staff/yamashita でページ公開
2012-02-07 ページ修正(国際学会ページアドレスの修正)
2013-02-26 ページ修正(個人ページの追記、国際学会ページの削除)(現内容)
2013-08-01 海洋生態系部門 基礎海洋生物学分野 教授 (部門分野名変更)
2013-08-21 ページにメールアドレスの追加
2019-04-01/2021-03-31 副センター長
2021-04-01 センター長、瀬戸臨海実験所 担当
2024-03-05 教育研究活動DBへのリンクを修正
2024-04-01 京都大学名誉教授
2024-05-01 瀬戸臨海実験所 研究員 着任