河村 真理子

kawamura
フィールド科学教育研究センター 海洋生態系部門
基礎海洋生物学分野 特定講師
瀬戸臨海実験所
E-mail:kawamura.mariko.7e*kyoto-u.ac.jp(*を@に変えてください)
業績など(教育研究活動DB)

(2023-10-10 公開)

1.研究テーマと教育活動

・クラゲの平衡石を用いた生活史推定
 刺胞動物のクラゲには刺傷被害や大量出現を引き起こすものがおり、よく知られた存在ですが、その発生源となるポリプの所在がわかっていることは少ないです。私はクラゲがポリプからの変態時に形成する平衡石に注目し、これを分析することでクラゲの日齢、発生時期、発生環境(ポリプの生息場所)などを推定することを目的として研究しています。

・クラゲの刺胞
 クラゲは触手などに捕食のためにたくさんの刺胞を備えています。刺胞から刺糸(さしいと)が餌生物などに刺しこまれると、毒液が注入されます。この刺糸が長いと人間の表皮をも貫通し刺傷被害につながる恐れが増大します。海や水族館でよく見ることができるミズクラゲについて和歌山県の田辺湾で調査を行ったところ、東京湾のミズクラゲよりも長い刺糸をもっていることがわかりました。この長い刺糸がどのような意味をもつのか、生態的視点から調査を行っています。

・クラゲ群集と環境
 和歌山県田辺湾では他にも多様なクラゲが出現します。出現頻度の高いヒドロクラゲ7種が優占する群集と環境要素の関係を解析したところ、ポリプを持つ種は浅い水深で出現する傾向があり、高密度になる出芽性ヒドロクラゲと餌である甲殻類プランクトンとの負の相関がみられました。田辺湾で最も多数出現した出芽性のミサキコモチエダクダクラゲは、適温下では高塩分で無性生殖を活発に行い、沿岸が近くポリプのすみか確保が想定される低塩分で有性生殖が活発になることがわかりました。

・実習テキスト制作
 臨海実習で得た経験を活かし、白浜の海岸生物観察ガイド(企画編集と分担執筆)、Japanese Marine Life(分担執筆)、Functional Morphology and Evolutionary Biology of Marine Invertebrates(企画編集と分担執筆、臨海実習で配布)などのテキスト制作を行ってきました。

2.趣味
 カメラ(当初は研究対象のクラゲの写真ばかり撮っていましたが、観察ガイドに掲載するために様々な海岸生物の写真を撮ることがライフワークとなりました。海岸で出会う生物はいつも同じではありませんから、日をあけて再訪するとまた別の発見があり楽しみとなっています)


(フィールド研における経歴とページ履歴 情報整理)
2011-04-01 瀬戸臨海実験所 特定研究員
2012-04-01 瀬戸臨海実験所 研究員 (2023-03-31 退職)
2023-10-01 海洋生態系部門 基礎海洋生物学分野 特定講師
2023-10-10 http://fserc.kyoto-u.ac.jp/wp/staff/kawamura でページ公開