下村 通誉

shimomura_michitaka
フィールド科学教育研究センター 海洋生態系部門
基礎海洋生物学分野 准教授
瀬戸臨海実験所
E-mail:shimomura.michitaka.5w*kyoto-u.ac.jp(*を@に変えてください)
業績など(教育研究活動DB)

(2018-04-17 公開)

1.研究分野 

 地球上のどこにどんな種がどれくらいいるのかを明らかにするために記載分類を行っています。現在、誰もが生物多様性の保全の重要性を認識していますが、未だにその存在が認識すらされていない多くの生物が存在します。例えば、海の生物の90%以上の種にはまだ種名がついていないとするデータがあります。環境に多大な負荷をかける人間の活動がますます盛んになっていく昨今、存在を認識されることなく絶滅していく多くの生物がいるのではないでしょうか。我々分類学者は早急に地球上にどのような種がいるかを明らかにして行かなければなりません。存在を認識して初めて、それらの種を保護することも、生物学的に研究することも、応用や実用研究に供することもできるようになるのです。
 以上のような志で研究を行っている一方で、純粋に新種を発見して論文を書くことは大変楽しいものです。これまでに研究対象としてきた分類群は等脚目やアミ目など、フクロエビ上目Peracaridaに属する小型甲殻類です。主に下記の4つのテーマで分類学的研究を行っています。

1) 深海性甲殻類の分類学的研究
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 調査船に乗船して深海性の甲殻類を採集し、分類学的研究を行っています。比較的大型の甲殻類であるエビ・カニ類が棲まない水深数千メートルを超える深海にどんな甲殻類がいるのか、海溝間の甲殻類の種組成にどのような違いがあるのかなど明らかにしていきたいと考えています。
(右写真:千島・カムチャッカ海溝水深5,600mから採集・記載した端脚目ヨロイヨコエビ属の一種Epimeria abyssalis Shimomura and Tomikawa, 2016、体長47mm)

2) 寄生性甲殻類の分類学的研究、行動および生活史の解明
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 人間に被害を与える寄生虫や水産有用種に寄生する寄生虫は比較的よく研究されています。しかし、人間の生活と関わり合いの無い生物に寄生する寄生虫はほとんど研究されていません。そのようなマイナーな生物にどのような種が寄生し、どのような生活史を送っているのか、自然史学的視点で寄生性甲殻類の研究を行っています。
(左写真:アミ目ホシノキバアミMysidella hoshinoi Shimomura, 2016と背甲上に寄生した等脚目イノチヅナアミヤドリAspidophryxus izuensis  Shimomura, 2017の雌雄、宿主も寄生虫も新種であった。ホシノキバアミの体長は4mm(伊豆大島秋の浜水深35m、星野修氏撮影);
 右写真:イノチヅナアミヤドリAspidophryxus izuensis Shimomura, 2017の雌(腹側)と雄(側面)SEM写真、雌は体全体が袋状となり雄は雌の紐型の腹部にしがみついている、雌の体長は1.3mm)

3) 海底洞窟、砂粒間隙、地下水、地底湖など隠蔽環境にすむ甲殻類の分類学的研究
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 人の目に触れない隠れた環境(隠蔽環境)にはそれらの場所に適応的な形態と性質をもった生物がすんでいます。眼や色素の欠失などが分類群を超えた共通の特徴としてみられます。日本周辺ではこれまでに十分な研究が行われていません。そのため、次々と新種が見つかるだけでなく、日本近海や太平洋で初めての発見となる目レベルの分類群も多数存在するため、発見自体がその分類群の系統進化を考える上で大きなインパクトを与えます。このような隠蔽環境に棲む小型甲殻類の多様性を明らかにすることが目標です。主に沖縄県立芸術大学の藤田喜久博士と共同で研究を行っています。
(右写真:北太平洋で初発見の目であったテルモスバエナ目ダイトウコオイエビHalosbaena daitoensis Shimomura and Fujita, 2009、南大東島洞穴内地下水、体長2mm)

4) 浅海性甲殻類の分類学的研究
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 人の手の届きやすい潮間帯の動物相の解明は比較的進んでいます。しかし、水深数メートル程度から数10メートルとなればとたんに人の手が届きにくく、そのため研究はあまり進んでいません。特に南西諸島などではそのような水深に海産無脊椎動物の重要なハビタットであるサンゴ礁が広がっています。シュノーケリングやスキューバダイビングによるサンゴ礁やガレ場などでの採集で、小型甲殻類相の多様性の解明を進めています。
(右写真:等脚目サンゴミズムシの一種Prethura tuberculata Shimomura and Naruse, 2015、西表島水深4m、体長0.9mm)

2.好きなもの、趣味

 好きなもの採集調査、趣味は読書、映画鑑賞

3.その他

 自らの手で生き物を採集して新種を記載してみませんか?種の記載に興味のある大学生・大学院生を歓迎します。多様性の解明に貢献できることはもちろんのこと、分類学の研究成果は数百年(あるいはもっと)、将来にわたって残ります。


(フィールド研における経歴とページ履歴 情報整理 2018-04-17)
2018-04-01 基礎海洋生物学分野・瀬戸臨海実験所に着任