舞鶴・海のつながりフォーラム

2013年3月9日(土)、舞鶴市政記念館において、舞鶴水産実験所が「舞鶴・海のつながりフォーラム」を開催しました。参加者は180人でした。

【報告】

舞鶴・海のつながりフォーラム:アサリを軸とした里海再生

舞鶴水産実験所長 益田 玲爾

 2013年3月9日、舞鶴市政記念館において、標記の研究集会を開催した。地域の環境について調査を続ける市民団体の「環境!みる・きく・考える会」と、フィールド研舞鶴水産実験所および水産海洋学会による共同開催である。上記学会と京都府地域力再生活動の支援を受けたため、これらの資金により豪華なポスターとチラシを作成した。ただし、豪華な講師陣を招待するには予算が足りず、フィールド研関係者を中心とした顔ぶれとなった。
 まず前座的な講演として、筆者が「海のいきものたちのつながり」と題して、舞鶴の海の環境の多様性と豊かさについて概観した。続いて「環境!みる・きく・考える会」の青海典子氏が「舞鶴の水と空気を読む」として、市内の大気や水質の調査、また過去20年にもわたるアサリ調査の結果を総括した。また髙橋宏司研究員が「舞鶴のアサリをどうふやすか」として、アサリの減少にカキが関わるとの仮説を述べ、方策案を展開した。京都府海洋センターの谷本尚史氏は、「アサリの太らせ方」として畜養に関わる新技術を紹介した。さらに本学修士1年の熊谷洋一郎氏は、「舞鶴と気仙沼の環境教育:伊佐津川と舞根川は一つの海へ」として、環境問題における教育活動の重要性を強調した。総合討論では、山下洋教授の進行により、「アサリのいる海を蘇らせるには?」とのテーマで議論した。
 参加者は170名であり、中学生・高校生から子育て世代、シニアまでと、地方で行う市民向けの講演会としては幅広い年齢層であった。総合討論では、会場の一般市民や漁業関係者、行政職員らから活発な質問や意見が出された。またアンケートでも、「大学の研究を今回のようにオープンにしていってもらえるとうれしい(30代小学校教員)」「研究が私たちの生活に役立っていくことを再認識しました(50代教員)」「宮津でも同じ様にアサリがいなくなっており、原因がわからない中でこのような調査をされた情報を聞かせていただけたことをありがたく思います(60代漁業)」等の感想があり、大変好評であった。休憩時間には、おにぎり、舞鶴産ワカメのサラダ、同じく舞鶴産牡蠣の吸い物を振る舞い、これらも好評であった。

ニュースレター30号 2013年8月 社会連携ノート掲載)

(当日写真)

【開催通知】
maizuruForum2013

「舞鶴・海のつながりフォーラム」開催のご案内

 このたび,下記の予定にて,一般市民向けの講演会を企画しております。舞鶴の環境を考えて,さまざまな調査をしてきた市民団体の「環境!みる・きく・考える会」と,地元の海をフィールドに研究する京都大学フィールド科学教育研究センター舞鶴水産実験所,および京都府海洋センターの研究者から,市民に向けての情報発信の場としたいと思います。
 今回,特に焦点を当てるのは,アサリです。ひと昔前までは舞鶴湾のあちこちで,当たり前にとれていたアサリが,最近20年の間で激減しています。鮮魚店でも,地元産のアサリは滅多に見なくなりました。なぜ,どのように減ってきたのでしょうか? また,回復する方法はあるのでしょうか?
 アサリについてだけ掘り下げていても,アサリの真の姿は見えてきません。いろんな生き物とのつながりの中で,アサリも生きています。そう考えて,舞鶴周辺の海の生き物についての,ごくおおざっぱな話もします。そして,海の未来を担う子供たちのために行っている環境教育についても,舞鶴市伊佐津川および気仙沼市舞根川で京大の院生が参加した事例を紹介します。
 広く一般の皆様に親しんで頂ける内容の企画を目指しておりますので,どうぞよろしくお願いします。

主催:環境!みる・きく・考える会,京都大学フィールド研舞鶴水産実験所水産海洋学会
後援:京都府中丹広域振興局,舞鶴市,舞鶴市教育委員会

日時:2013年3月9日(土)13:00-17:00(受付 12:30)
場所:舞鶴市政記念館(京都府舞鶴市北吸1039-2,舞鶴市役所のとなり)
コンビーナー:益田玲爾・山下 洋(フィールド研舞鶴水産実験所)・青海典子(環境!みる・きく・考える会)
  ※入場無料、申込不要、定員150名(先着順)

  -プログラム-
12:30-    受付
13:00-13:20 開会挨拶
        木村伸吾(水産海洋学会副会長・東京大学)
        伊藤靖枝(環境!みる・きく・考える会)
(第1部)講演
 司会進行 福西悠一(フィールド研舞鶴水産実験所)
13:20-14:00 1. 海のいきものたちのつながり
        益田玲爾(フィールド研舞鶴水産実験所)
14:00-14:50 2. 舞鶴の水と空気を読む
        青海典子(環境!みる・きく・考える会)
 ―休憩―
(第2部)講演
14:50-15:10 3. 舞鶴のアサリをどうふやすか
        髙橋宏司(フィールド研舞鶴水産実験所)
15:10-15:30 4. アサリの太らせ方
        谷本尚史(京都府海洋センター)
15:30-15:50 5. 舞鶴と気仙沼の環境教育:伊佐津川と舞根川は一つの海へ
        熊谷洋一郎(フィールド研舞鶴水産実験所)
 ―休憩―
パネルディスカッション
16:10-17:00 テーマ「アサリのいる海を蘇らせるには?」
        座長 山下 洋(フィールド研舞鶴水産実験所)

問い合わせ先:
 京都大学フィールド研舞鶴水産実験所
 電話 0773-62-5512 / ファックス 0773-62-5513