平成20年度 日本水産学会論文賞受賞

沿岸資源管理学分野 益田 玲爾

『マアジ稚魚はクラゲを捕食者回避のためおよび餌のコレクターとして利用する』
Jack mackerel Trachurus japonicus juveniles use jellyfish for predator avoidance and as a prey collector. Fisheries Science 74 (2): 276-284.
益田玲爾・山下 洋(フィールド研舞鶴)・松山倫也(九州大学)


 フィールド研舞鶴水産実験所の教員らによる上記の論文が、日本水産学会の論文賞に選ばれ、2009年3月29日に東京で開催された同学会の春季大会において表彰された。学会誌に投稿された350報あまりの論文のうち、今年は8本の論文が選出されたとのことである。

 上記の論文は、マアジの稚魚がクラゲに寄り付く生態的な理由について、室内実験と潜水観察の両面から明らかにしようとした。飼育実験は舞鶴水産実験所で、また潜水観察は若狭湾沿岸のフィールドで行った。結果の概要は、論文のタイトルが示す通りである。関連の内容については、岩波書店『 科学4 vol.79 』でも紹介されているので、興味のある方は参照されたい。

 今春の水産学会では、フィールド研の山下洋教授らが企画したシンポジウム「水産実験所から始まる新しい水産研究と教育」そして田中克名誉教授(初代センター長)と山下洋教授の企画による「森と里と海のつながり」のセッションが開催されたこともあり、フィールド研から多くの教員や学生が参加した。また、同セッションに限らず、今回が学会発表デビューという学生も数名いた。学生たちが練習の末、立派な発表をしてくれるのは、成長を見てきた者として、他に替えがたい悦びである。

ニュースレター17号  2009年8月 ニュース