ポケゼミ報告2014「日本海に遊ぶ」

里海生態保全学分野 教授 山下 洋
助教 甲斐嘉晃
助教 鈴木啓太

 ポケゼミ(少人数セミナー)「日本海に遊ぶ」は、文、法、経済、理、医、工、農の7学部から10名の1回生を迎えて行われた。京都で2回の講義を行い、日本海に関する基本的な知識を身につけてもらったあと、2015年2月23日から25日にかけて舞鶴水産実験所を拠点に実習を行った。
 実習初日の23日には、午後1時に西舞鶴駅に集合した後、舞鶴市内の鮮魚店などを見学、日本海の海の幸にふれたあと、宮津市内にある水族館、「丹後魚っ知館」へ移動した。本水族館には、地元の定置網などで採集された生物も多く飼育されており、受講生達は水族館スタッフの説明を熱心に聞いていた。水族館のバックヤードにも案内していただき、表からは見えないたくさんのストック水槽や餌の準備の現場、他の水族館との協力体制などについても知識を深めることが出来た。
 翌24日は、調査船「緑洋丸」に乗船し、舞鶴湾内で調査を行った。湾内の3地点において、桁網による底生生物採集、および多項目水質計による環境観測など、フィールド調査の基本を体験してもらった。午後には実験所に戻り、所内で行われた4回生対象の研究発表会に参加した。この研究発表会は、舞鶴水産実験所の他、農学部の海洋生物増殖学、海洋生物環境学、さらに福井県立大学の富永研究室、鳥取環境大学の吉永研究室のメンバーが集まり、日本海を対象にした研究について熱く議論する場である。受講生には内容は少々難しかったようだが、3年後にはこの様な発表や議論ができるほどに成長して欲しいところである。
 最終日の25日には、前日の調査で採集された生物のソーティングと同定、計測を行った。同定には意外に苦労していたようだが、ポスドク研究員の協力も得ながら午前中には全ての作業を終え、午後に鈴木助教からまとめの講義を受け、得られたデータからの考察の仕方を学んだ。1回生には少々難しい内容だったようだが、本学キャンパスだけでは学べないフィールド研究の現場にふれることができ、貴重な体験になったものと信じている。