ポケゼミ報告2014「北海道の森林」

森林情報学分野 准教授 舘野 隆之輔

 北海道研究林を使った少人数セミナー「北海道の森林」を8月6日から9日にかけての3泊4日で行った。今年で3回目の開講となるが、今年度はフィードバック期間の開始に伴い、実習日数を1日短くした。10名の募集に対して、参加学生は、文学部1名、経済学部3名、工学部3名、農学部2名の計9名であった( 1名はガイダンス後に参加辞退)。担当教員と北海道研究林職員8名と研究員1名が指導の補助を行った。また今年度は標茶高校のインターンシップの高校生2名が、スタッフとして、ポケゼミの準備やポケゼミの一部メニューをサポートしつつ、大学生たちと一緒に学んだ。
 本セミナーは、北海道の森林・湿原の生態系や人と自然の関わりについて森林調査や森林作業などの野外体験を通して理解を深めることを目的として行っている。セミナーでは、緯度や標高の傾度に対する植生の変化、林床の光環境と下層植生の関係、湿地や火山ガスなど特殊な環境傾度に対する植生の変化、間伐前後の光環境の変化など、特に植生と様々な環境条件との関係について学んだ。
 集合時間までに京都から集合場所である標茶駅まで移動してもらうこととしていたが、学生たちは4月のガイダンス時に連絡先を交換しあって、既に何度か食事会などを開催していたようで、途中で個人・グループで連絡をとりつつ、フェリー・高速バス・JRなどを乗り継いで、最後は揃って標茶までやってきた。猛暑の続く京都からやってきた学生にとっては、本州と北海道の自然環境の違いを大いに実感したことであろう。
 その後、北海道研究林においてガイダンスや植生に関する講義、切り枝を使った樹木識別実習を行った。2日目は、研究林内で山に生えた樹木で樹木識別実習を行った後に、様々な植生タイプや伐採跡地において、光環境の測定や植生調査を行った。3日目は、北海道研究林内のアカエゾマツ人工林において間伐体験を行った。間伐の前後には、2日目と同様の調査を行い間伐によって林内光環境がどのように変化するか、また間伐によってどのように下層植生が変化していくかについて考察した。生まれて初めて触るチェーンソーにどきどきしながらも、二班に分かれ、一人2~3本の立木を伐倒し、各班1列分の伐倒作業を無事に終えることが出来た。最終日は、摩周湖・硫黄山を見学し、火山活動により出来た地形や植生を学んだ後、釧路湿原のオンネナイの木道を散策し、湿原の植生について学んだ。実習は、ここで解散であるが、1名が釧路空港より帰路についた他は、そのまま7名は標茶に戻って宿泊し、翌日の朝に帰路についた。
 フィードバック期間の開始に伴い、夏季休業中の実習日数の確保が難しくなっており、短いメニューでも満足いく内容にしていくことや他の実習との日程調整など、これまで以上に工夫が必要となった。また、以前はほとんど無かったことだが、抽選で参加が決まったにも関わらず、欠席する学生が他の実習でも増えており、実習を実施する側としては、追加募集など柔軟な対応を可能にして欲しいものである。