新人紹介 加賀谷 勝史

白眉センター 特定助教 加賀谷 勝史

 2015年4月1日より、白眉センター特定助教として採用され、フィールド研を受け入れ部局、朝倉彰教授を受け入れ教員として、瀬戸臨海実験所を拠点に研究活動を開始いたしました。
 幼少期をタイ・バンコクで7年ほど過ごし、家族で海へ出かけたときには、砂浜で飽きずにカニが巣穴を作っているのを見ていた記憶があります。また、小学校で七夕の短冊に「海のことを研究する人になりたい」と書いたこともあります。
 その後、日本各地を転々として育ちましたが、北海道大学進学を機に、学部・大学院を通して札幌で過ごしました。動物の環世界(Umwelt)とそれを支える神経機構に興味を持ち、高畑雅一教授のもと、アメリカザリガニが明確な外部感覚刺激が存在しない条件でも自発的・内発的に行動を開始するときの脳内神経機構の研究に9年間没頭しました。その結果、ザリガニの脳内で約1秒も前に行動を準備する機構があることを発見しました。ヒト、サルなどの霊長類、げっ歯類で同様の機構があることは知られていましたが、無脊椎動物にも行動開始を内的に準備する機構が存在することが明らかになったのです。それでは、特徴的な行動を示す他の動物ではどうか、そのような素朴な疑問を持っていたある時 、 YouTubeにてハマグリを超高速パンチで叩き割るモンハナシャコを見つけました。その行動の鮮烈さに魅せられて、シャコの打撃運動のバイオメカニクス、進化生物学の研究をしている Duke 大学の Sheila Patek 博士のもとでシャコの打撃行動の機構について研究をするために2012年より渡米し、今春帰国して現在に至ります。
 これまでは実験室で動物の行動をひたすら待つことの多かった研究生活でしたが、フィールドでの研究について、新たな視座を獲得し研究を深めて行きたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。

ニュースレター36号 2015年6月 新人紹介