リレー講義「森林学」

森林生態保全学分野 徳地 直子


 森林や森林をとりまく環境は、私たちの生活様式や価値観の変化により、大きな変化を続けている。すなわち、従来、人間は木材や燃料の生産の場として森林を維持管理してきたが、近年は私たちの生活環境を調整し、改善する機能への期待が高まり、あるいはいやしの場などとして森林とつきあっている。しかしながら、このような森林との関係はまだはじまったばかりといえる。そこで、森林学では、森林をとりまく社会情勢、林業の現状、森林の生態学的把握、森林の生み出す機能、森林をよりよく利用するための方策など、多方面から森林を解析し、総合的に森林に対する理解を深めることを目的として、2006年度に全学共通科目としてフィールド科学教育研究センターが開講した。
 講義は、里域・森林系分野の教員および農学部の教員のリレー講義により幅広い視点をカバーしている。講義(担当教員)は、わが国の森林(安藤)、人工林と里山の現状(柴田)、森林樹木の生態(嵜元)、 森林と水・土(中島)、森林生態系の機能(徳地)、森林政策(森林政策学研究室、川村先生)、森林認証・CoC制度と生産システム(芝)、木材の消費・流通システム(坂野上)である。
 受講生は森林関係の学生のみならず、文系や医学系の学生もみられる。これらの学生にも、生物学的な森林とは何かといった問題から、今日の森林のかかえる問題点をわかりやすく説明しているとおおむね好評のようである。

ニュースレター13号 2008年3月 教育ノート