施設紹介 里域ステーション 徳山試験地

徳山試験地長 竹内 典之


 山口県周南市徳山鉢窪に所在する。本試験地は、昭和6年(1931年)徳山砂防演習地として設置され、昭和17年(1942年)徳山市笹葉ヶ丘へ移転し、徳山試験地と改められた。その後昭和41年(1966年)に市街地の北東部郊外に位置する現在地に大蔵省より所管換を受けて移転した。
 標高は102~351mで、比較的急斜面が多い。地質は古生層に属し、基岩は強度の変成作用を受けた緑色片岩である。土壌は比較的深いが、やや乾燥気味である。積雪は少なく、降雨は梅雨期に集中し、早春と夏季の乾燥が著しい。
 天然生林は、試験地(面積約42ha)の半分を占め、潜在植生はシイ、カシ類やタブノキ、クロキなどの照葉樹(常緑広葉樹)林帯に属する。しかし、都市近郊であるため、アカマツに落葉広葉樹のコナラ、クヌギ、ヤマザクラなどが混交し、落葉広葉樹は構成樹種の6割を占める。これらの森林は近年マツクイムシの被害によりアカマツの大半が消失し、照葉樹林に遷移していく過程にあると考えられる。
 本試験地面積の49%を占める人工林は、所管換以前に植栽された林齢70~80年生の林分と、その後の造林地とに分けられる。試験地設定後は瀬戸内海沿岸の森林育成を目的に、外国産を含め産地別、母樹系統別にマツ類を植栽し、生育試験を続けてきたが、マツクイムシにより壊滅的な被害を受けた。被害跡地には、ケヤキ、クヌギ、ウバメガシなどの広葉樹を植栽し、生育試験を行っている。
 現在行われている試験研究項目は、
(1)二次林の植生遷移に関する研究
(2)ヒノキ人工林の取扱いに関する造林学的研究(ヒノキ林樹下植栽試験、ヒノキ林の間伐と施業に関する研究など)
(3)広葉樹人工林の生育試験
(4)桧皮の保続的生産に関する研究
などである。

ニュースレター5号 2005年 7月