新人紹介 深見裕伸

基礎海洋生物学部門 海洋生物進化形態学分野 深見 裕伸


 はじめまして。今年4月にフィールド研の瀬戸臨海実験所に助手として赴任した深見裕伸です。瀬戸臨海実験所に来る前は、中米のパナマ共和国に3年半、アメリカのカリフォルニア州に1年半の丸5年間、ポスドクとして海外生活を送っており、その間ずっとカリブ海の造礁サンゴの生態や進化について研究を行ってきました。加えて、修士と博士の間も沖縄の造礁サンゴの研究を行ってきたため、サンゴの研究ばかり10年ほどしていることになります。これまでの海外生活で特に思い出深いのが、パナマでの生活です。パナマはラテンの国ですから、日本とはまるっきり文化が異なり、みな非常に陽気で(あまりに陽気すぎて仕事をしないのは考えものでしたが)、日本人には憚られるほどスキンシップがあり、最初の頃はどぎまぎしたのを覚えています。
 今春、久しぶりに帰国し、瀬戸臨海実験所のある和歌山県は私の生まれ故郷ということもあって、非常に懐かしく感じています。嬉しいことに、この実験所は目の前がフィールドである上に、そこには多くの造礁サンゴが生息しており、サンゴ研究を行う私にとって、ここはまさに理想的な実験所といえます。
ここでの私の研究についてですが、やはり造礁サンゴを主体に研究を行います。和歌山県はそれほど有名ではないのですが、温帯域屈指の大規模なサンゴ集落があります。しかし、温帯域のサンゴの知見は乏しく、詳しいことは分かっていません。そこでまず、実態を知るために、和歌山、特に実験所周辺のサンゴの成長および分布が水温などの環境要因とどのように関連しているのかを調査しながら、サンゴの保全を含め、地域の中での役割などを探っていければと考えています。特に、和歌山は地元なので、研究を通じて地域との交流も深めていきたいと思います。また、和歌山などの温帯域は、造礁サンゴが生存できる限界域であるため、熱帯域の造礁サンゴと比較する上で非常に興味深い地域です。そこで、熱帯から温帯にかけて連続的に形態や遺伝的変異の研究を行い、日本国内もしくは太平洋全体で見た造礁サンゴの分類や進化についても研究を行っていく予定です。
 最後に、実験所のあるここ白浜は温泉があり自然も豊かなので、都会の生活に疲れている人で、サンゴに興味がありダイビング好きの方は是非訪ねてきて下さい。

ニュースレター5号 2005年 7月 新人紹介

(注)2010年7月1日に、宮崎大学(農学部・准教授)に異動されました。