見学者1万人を目指した総合博物館春季企画展「森と里と海のつながり-京大フィールド研の挑戦」

フィールド科学教育研究センター長 田中 克


 京都大学フィールド科学教育研究センターは発足(平成15年4月)以来、森と里と海のつながりに関する新しい統合学問領域の創生を目指して研究・教育・社会連携活動に取り組んできた。当センターのこのような理念やこれまでの研究実績を広く市民や中・高・大学生に知ってもらうことを目的に、総合博物館春季企画展として「森と里と海のつながり-京大フィールド研の挑戦」を平成16年6月2日にオープンした。日本の自然の根幹をなす森と海の再生を、そのつながりのメカニズムの解明や人と自然の共存原理を内包する里の知恵より実現することを目的に、多くのパネルを準備するとともに、全国に分布する各施設が持つ貴重な標本や直接触れることのできる展示物などを集め、海と里と森のコーナーに配置している。また、学術情報メディアセンターと共同で、海中に設置した全方位型デジタルカメラより送られる映像をドーム型ディスプレイで観察できるシステムが配置されている。京都大学においても開かれた大学への道が模索される中、本企画展は市民や次代を担う中・高生が“気軽”に入館し、京都大学のフィールド研究への理解を深めてもらうとともに、21世紀の最重要課題である地球と地域の環境問題の大切さを改めて感じてもらうことを願って企画された。
 6月2日のオープンに先駆け、6月1日には尾池和夫総長や多くの役員の皆さんをはじめとする学内関係者ならびに報道関係者に御出席いただき、内覧会を開催した。8月29日までの3ヶ月の開催中、ほとんどの土曜日には講演会やレクチャーガイドを行うとともに、世界に誇るべき割り箸細工の小池正孝さん(千葉県在住)の作品展示と実演など多くの学外の皆さんの御協力を得て、好評のうちに最終盤を迎えている。開かれた企画展の一つのモデルケースとして成功させるべく、総合博物館とフィールド科学教育研究センターが密接に連携し、目標とした“1万人”の入館の達成が待望されている。なお、企画展パネルにさらに詳しい図表や説明を加えた図録「森と里と海のつながり-京大フィールド研の挑戦」が好評発売されている。

ニュースレター2号 2004年11月 ニュース