平成19年3月31日、平成19年度日本水産学会大会において、シンポジウム「森、里、川と沿岸域の生物生産」が行われました。
日 時:平成19年3月31日(土) 9:20-17:30
会 場:東京海洋大学品川キャンパス(東京都港区港南4-5-7)
主 催:日本水産学会
企画の趣旨:
我が国は海に囲まれた森の国であり、健全な森と里と海の各生態系が川を介して相互に密接につながることで、流域環境が維持されてきた。ところが、近年の急速な人間活動の増大とそれに伴う自然環境の改変は、生態系を変質させ生態系間のつながりを分断しつつある。そのために水圏の生物生産の仕組みと生物多様性が損なわれ、河川・沿岸環境や漁業において多様な問題が表面化している。健全な森、里、川、海の再生と生態的なつながりの回復は、水圏をめぐる豊かな地域社会の構築に不可欠であるが、これらの連環機構に関する科学的知見はほとんどない。近年、沿岸海域の環境を守るために海辺の民が山に木を植える運動が盛んであり、このような社会運動に触発される形でいくつかの研究拠点が構築され、新たな研究の展開が始まっている。本シンポジウムでは、森、里、川と海の生物生産との関係を科学的に解明する第一歩として、これまでの知見を整理し、今後の研究の新しい方向性を探求することを目的とする。
企画責任者:山下 洋(京大フィールド研)、上 真一(広大院生物圏科)
上田 宏(北大フィールド科)、青海 忠久(福井県大生物資源)
田中 克(京大フィールド研セ)
-プログラム-
9:20~9:30 開会の挨拶 山下 洋(京大フィールド研セ)
Ⅰ.河口沿岸域の生物生産に対する陸域起源物質の役割
座長 上田 宏(北大フィールド科セ)
9:30~ 9:55 1.陸域起源物質はどの程度沖合まで生産に寄与するか
富永 修(福井県大生物資源)
9:55~10:20 2.河口域高濁度水塊における魚類生産
小路 淳(広大院生物圏科)
10:20~10:45 3.安定同位体比から見た河口域の二枚貝による物質利用
笠井 亮秀(京大院農)
10:45~11:10 4.由良川河口から沿岸域の生物生産
上野 正博(京大フィールド研)
11:10~11:25 質 疑
Ⅱ.森林と水圏生物生産 座長 青海 忠久(福井県大生物資源)
11:25~11:50 1. 森林渓流から河口域に供給される有機物量
長坂 晶子(道林業試道南支場)
11:50~12:15 2. カレイ幼稚魚による森林起源有機物の利用
櫻井 泉(道中央水試)
13:15~13:40 3. 森林起源有機物によるアメリカンシャッド(Alosa sapidissima)稚魚の生産(US Environmental Protection Agency)
Hoffman, J.C.
13:40~14:05 4.森が養うサケの稚魚、天塩川プロジェクト
上田 宏(北大フィールド科セ)
14:05~14:20 質 疑
Ⅲ.人による流域利用の影響 座長 上 真一(広大院生物圏科)
14:20~14:45 1.河川流量の時間変化に対する河口域生態系の応答
山本 民次(広大院生物圏科)
14:45~15:10 2.黒部ダムの排砂が富山湾の環境と生物生産に与える影響
青海 忠久(福井県大生物資源)
15:10~15:35 3.農業濁水が水産生物へ与える影響
藤原 公一(滋賀水試)
15:35~16:00 4.マングローブ植林による沿岸海域生物環境の改善
玉栄 茂康(UAEアブダビ首長国環境省海洋環境調査センター)
16:00~16:25 5.流域の利用形態と河口・沿岸域における生物生産
向井 宏(北大フィールド科セ)
16:25~16:40 質 疑
16:40~17:20 総合討論 座長 田中 克(京大フィールド研)
青海 忠久(福井県大生物資源)
上田 宏(北大フィールド科セ)
上 真一(広大院生物圏科)
山下 洋(京大フィールド研)
17:20~17:30 閉会の挨拶 田中 克(京大フィールド研)
関連ホームページ:日本水産学会のホームページはこちら。