新人紹介 杉山 賢子

森林情報学分野 杉山 賢子 助教

 2022年5月1日付で北海道研究林の助教に着任いたしました杉山賢子です。着任当時の5月の北海道はちょうど木々が芽吹き始める時期でした。空港から研究林に向かう道中、葉っぱが少なく視野のひらけた車窓には釧路湿原が延々と広がっており、北海道の広大さを実感しました。
 私の専門は菌類生態学です。これまで、植物共生菌である外生菌根菌を対象に、その分布や群集組成がどのような要因で決まるのかを研究してきました。特に興味を持ってきたのは宿主の影響です。外生菌根菌は宿主植物なしでは生育できないため、どこにどんな樹種がいるかが、どこにどんな外生菌根菌が定着できるかを決める重要な要因の一つとなります。これまでの研究では、様々な空間スケールで外生菌根菌の定着・組成に対する宿主の影響を検証してきました。
 一方で、植物には菌根菌を含め、寄生菌・内生菌など様々な機能群の菌類が感染しており、樹木の方の定着や生育がこれら菌類から受ける影響も無視できません。これからは菌類から樹木への影響にも着目し、植物と菌類の相互作用が森林動態に与える影響を見ていきたいと考えています。
 北海道研究林は、広葉樹からなる天然林の中に外生菌根性であるマツ科樹種の人工林がモザイク状に配置されており、巨大な操作実験場のようなサイトです。そのため、生物的環境と非生物的環境・分散制限の影響を分離しやすく、このようなサイトで研究を行えることにワクワクしております。また、これまで住んでいた関西とは植生もきのこ相も異なり、あまり見たことのないきのこに出会えることも楽しみです。
 これからどうぞよろしくお願いいたします。

ニュースレター58号 2022年10月